防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   979号 (2018年5月15日発行)
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近間から遠間から
龍の剣
 見事に澄み渡った秋晴れの空の下、穏やかにたゆたう紺碧の海を8隻の護衛艦が単縦陣で進む。先導する「うみぎり」の次を行く観閲艦「しらね」と、これに続く随伴艦による威風堂々の行進の中に、私もいた。平成9年10月26日、相模湾で行われた第21回観艦式。右舷に城ケ島を望む頃、自衛隊最高指揮官である総理大臣が搭乗したヘリが「しらね」に着艦し、モーニング姿の橋本龍太郎総理が降り立つのが遠望できた。ふと、この2年前にテレビ越しに見た情景が脳裏に浮かんだ。双方一歩も引かぬ日米自動車交渉で米通商代表のミッキー・カンターから贈られた竹刀を、橋本通産相がその場でカンターに構えさせ、自らの喉元へ剣先を擬させたときの、尋常ならざる真剣な顔。趣味が剣道と知った米側が戯れに贈ったのだろうが、これを端に外交の最前線で日本の政治家が剣士に変貌し、ほとばしった国のため命をかける覚悟に、歴戦の交渉人カンターが一瞬たじろぐのを多くの日本人が見逃さなかった。この厳しい交渉をしのぎ切ったことから宰相への道が開け、翌8年1月、第82代総理大臣に就任した。総理の椅子が社会党委員長など三代を経て約2年半ぶりに自民党総裁に戻ったが、この間、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件など未曾有の国難が日本を襲い、危機管理態勢の立て直しが喫緊の課題となっていた。官邸に自衛隊制服組を入れないという奇妙極まる不文律を橋本総理は歴代総理で初めて破り、統幕議長や3幕僚長を総理執務室や内閣安全保障室に呼び、懇談する機会を積極的に持ったという。
 「観閲官、内閣総理大臣乗艦」の声がスピーカーから響くと、艦隊を吹き抜ける海風にじわりと緊張が混じったように感じた。自分たちの理解者である最高指揮官に、日ごろ鍛えし業前をご覧に入れる。武人たちのそんな意気込みだったのかも知れない。
 舷側に等間隔に並ぶ隊員たちの登舷礼が美しい受閲艦艇部隊と行き違うと、頭上には海自機に続き空自のF-1、F-4EJ改、F-15Jも各3機編隊で飛来し艦上にどよめきが起きた。戦闘機の観艦式への参加は、中央観閲行事が3自衛隊による年一度の輪番制になった今回が初なのだ。展示訓練では巨大な水柱の直後に衝撃波が伝わってくるP-3Cからの対潜爆弾投下はかなりの迫力だった。日本自衛隊の精強さを体感する中、最高指揮官の橋本総理の訓示が聞こえてきた。21世紀に対応できる防衛力、危機管理態勢の強化などに触れた後、「隊員が高い資質を保ち、3自衛隊の統合的な運用を進めることが重要」と締めくくった。
 「まるで国宝に触っているようでした。その国宝が、どうしようもなく強いんです」
 観艦式から1年が過ぎた10年11月5日、私は橋本前総理と相対していた。この約3ヶ月前に橋本内閣は総辞職。総理としての在任期間は2期2年半だった。全日本学生剣道連盟会長に就任したことへの表敬のため事務所を訪れた私に、橋本前総理は慶応大学の剣道部時代に持田盛二・範士十段に頂戴した稽古の思い出を、国宝に触れた、という独特の表現で語ってくれた。最高位である十段を持つ剣道家は史上5人しかおらず、持田十段は昭和4年の天覧試合の優勝者でもあった。さらに、舩坂弘という渋谷の大盛堂書店社長にして剣道教士六段の著書「昭和の剣聖・持田盛二(講談社刊)」によれば、持田十段との稽古で舩坂は手も足も出ず、己の剣の未熟さを悟らされた、とある。舩坂は先の大戦の激戦地、パラオ諸島で幾度もの苛烈な白兵戦を戦い抜き「不死身」の異名で呼ばれた元軍曹である。「剣を以て国を治める、という一剣治国の境地には遠く及ばないし、近づけたなどとうぬぼれてもいないが、近づこうとする努力は必要でしょう」死線を越えてなお戦果を上げ続けた強兵をも心服させる剣聖から教えを受け、その神業を国宝に触れた、と感得した剣士が、日本の総理であり自衛隊最高指揮官だった時代が、かつてあった。
  
桑沢 慧(くわさわけい)
 明治神宮武道場至誠館剣道科出身のフリーライター。これまでセキュリタリアン(防衛弘済会)、歴史群像(学研)などに執筆。

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アー ユー エニイ チャンス ミスターサガワ
Are you by any chance, Mr.Sagawa?
ひょっとして、佐川さんですか
 Hi! How are you doing? 皆さん、お元気でしょうか。連休が終わりましたが、関東では長袖が必要な肌寒い日と半そででも暑い日が交互にきたり、大雨や嵐になるなど、大変な異常気象です。体調が悪くなりますね。ただ、雲の切れ間から、日が差し、青空がひろがるとすがすがしい気持ちになり、散歩したい気になります。5月の青空とさわやかな風を満喫したいですね。
 さて、今回の表現は、"Are you by any chance, Mr. Sagawa?"「ひょっとして、佐川さんですか」です。街で、長く会っていない知人を偶然見かけることは、よくあります。あるいは、有名な歌手や俳優、女優さんと出くわすこともありますね。そんなときは、by any chanceを使って、「もしかしたら、ひょっとしたら」と声をかけてみるといいですね。If you〜は、残念ながらそういう意味はありません。知り合いであれば、すぐに懐かしい会話が始まるでしょう。人違いであったら、"No"と返ってきますから、簡単に"Thank you"といってわかれましょう。そこから、会話に入ることも可能かもしれません。まずは、簡単に自己紹介から始めましょう。話が盛り上がるかもしれません。
 連休疲れが出ている人もいるかもしれません。いきなり仕事が立て込み、残業に励んでいる方もいるかもしれません。休暇を取るということは、その分仕事がたまるということかもしれませんね。これから初夏にかけて、木々の緑が美しく、青空も多く見ることができます。自然の中で、ストレスを発散して、仕事をこなしていきたいものです。陽気に楽しく、できる限りストレスの少ない日々をお過ごしください。それでは、皆さん。See ya!
<スワタケル>

「頑張っています」新しい職場
活躍するOBシリーズ
西日本高速道路サービス九州(株) 川久保 薫
川久保氏は、平成29年10月に航空自衛隊第8航空団司令部防衛部を
准空尉(特別昇任3空尉)で定年退官。54歳(記事作成時)
 「お客様こんにちは!」この笑声(えごえ)で私の仕事が始まります。私の職場は、東九州自動車道・椎田料金所です。NEXCO西日本グループの一員として高速道路の料金収受業務を行っております。料金収受員は、24時間365日「笑顔で接客」を基本とし、安全・安心・お客様の立場に立ったサービスを提供しています。
 その中で、私たちの職場には、「笑声」という言葉があります。インターホン越しにお客様と会話する際、笑顔が提供できませんので、笑声を提供します。研修が始まって最初の壁が、この笑顔と笑声でした。今まで笑うことはあっても、相手へ笑顔を提供するという思いはありませんでした。在隊中のしかめっ面に反省です。再就職して数ヵ月がたち、ぎこちなかった笑顔も少しは自然な笑顔になってきたと思います。
 次に、私が定年3年前から取り組んだ事を紹介します。第1に、地域住民の方々へ顔と名前を売り込むため、自治会役員をやらせていただきました。ゆっくりと地域へ溶け込み、仕事・私生活・友人関係全てが自衛隊一色だった自分を変えようとの思いからです。
 第2に、資格取得です。かといって、取得した資格が、今の仕事に役立っているかというとそうではありません。では何のために?それは、定年に向けて頑張っている自分の姿を実感し、自信をつけるためです。私が、その事を自覚したのは、採用試験の面接の時でした。面接官へ自信満々に売り込む自分の姿に気づき、今までの取り組みは無駄ではなかったと実感しました。
 皆さん、まず一歩踏み出してみましょう。手探りでいいのです、不安な世界へ進む道なのですから。立ち止まり、振り返りながらでいいのです。3年かけてゆっくりと進んで下さい。
 「お客様!椎田料金所をご利用下さい」私が、とびっきりの笑顔でお出迎えいたします。

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