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自衛隊ニュース   990号 (2018年11月1日発行)
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平成30年度自衛隊記念日観閲式
陸自新体制下で初の実施、威風凛々と
 「平成30年度自衛隊記念日観閲式」が10月14日、陸上自衛隊朝霞訓練場で主催者・岩屋毅防衛大臣、実施責任者・山崎幸二陸上幕僚長、執行者・住田和明陸上総隊司令官として執り行われた。
 陸自を中心に3自衛隊から29個部隊、人員約4000名、車両約260両、航空機約40機が、観閲官・安倍晋三内閣総理大臣を前に堂々と観閲行進・飛行を行った。米海兵隊所属MV-22オスプレイが祝賀飛行を、同じく米海兵隊所属水陸両用車AAV-7×5台が陸上自衛隊水陸機動団所属AAV-7×5台と圧巻の合同祝賀行進を行った際には、会場中がどよめき一斉にシャッター音が響いた。
 昨年度末に敢行された「陸上自衛隊創設以来の大改革」後に初めて実施された観閲式。陸海空自持ち回りで本来は海上自衛隊の年であるが、朝霞駐屯地の施設が2020年東京五輪の会場となっているため、整備等の関係から今年に入れ替わったのは偶然とは言え不思議な巡り合わせだ。
 安倍首相は訓示で、国内の災害派遣、緊急輸送、海外での緊急援助活動、警戒監視活動、能力構築支援等に従事する隊員たちを労うとともに国民からの信頼を「正に、諸君自身の手で勝ち得た」と称賛。続けて「全ての自衛隊員が、強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える。これは今を生きる政治家の責任だ。私はその責任をしっかり果たしていく」と決意を述べた。
 第1空挺団(習志野)の隊員3名が高度約1200mから自由降下し、見事な着地で観客から歓声を浴びたあと、徒歩による11部隊の観閲行進、14種の航空機による観閲飛行、車両による19部隊の観閲行進と続いた。徒歩行進では対ゲリラ・特殊部隊(第32普通科連隊)が初めて参加。陸自中央音楽隊と陸自女性自衛官が新制服で行進を行った。車両行進ではネットワーク電子戦システム(電子戦部隊)と「陸上自衛隊大改革」の目玉、水陸両用車AAV-7(水陸機動団)と16式機動戦闘車MCV(即応機動連隊)が初めて参加。機動展開を想定した順序で次々と車両行進が続いた。観閲飛行では空自C-2輸送機とF-35Aステルス戦闘機が初参加。F-35Aは展示飛行自体が国内初。着陸形態で車輪を出したままの訓練飛行を披露した。また多くの女性隊員が、指揮官、旗手、操縦手といった表舞台のみならず整備・回収業務といった後方支援においても活躍する姿が印象的であった。
 約1万7000名が来場した観閲式。一般の入場受付では、バックに入っているポーチの中までチェック、未開封のペットボトルもその場で飲むという厳重なチャックを行なっていた。会場の外では、暗いうちから警察官の姿が見られ、茂みの中まで覗いていた。
 早朝から訓練場最寄の朝霞駅でシャトルバス待ちの列に並び、初めて観覧したという都内の男性は「こんなにすごいものだとは思わなかった。自衛官の威風堂々とした姿が頼もしかった」と目を輝かせながら感想を述べてくれた。

御遺志を引き継ぐ
平成30年度自衛隊殉職隊員追悼式
 10月13日、防衛省メモリアルゾーンで自衛隊記念日記念行事「平成30年度自衛隊殉職隊員追悼式」がしめやかに行われた。
 自衛隊殉職隊員追悼式は、不幸にも任務遂行中に職に殉じた隊員を追悼するため、昭和32年から実施されているもの。今年度は新たに30柱(陸自8柱、海自15柱、空自6柱、その他1柱)が顕彰された。これにより顕彰者数は1964柱となった。
 式には、内閣総理大臣、防衛大臣をはじめとした現職、新遺族、殉職後10年目および20年目等の遺族、来賓として歴代防衛大臣等や関係協力団体の長等約370名が参列した。
 岩屋毅防衛大臣が新殉職隊員名簿を奉納した後、参列者全員で拝礼・黙祷を行った。安倍晋三首相は「その尊い犠牲を無にすることなく、御遺志を受け継ぎ、国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜いていきます」と追悼の辞を述べた。岩屋大臣は「このような不幸な事態が再び起こることがないよう最善を尽くします。そして御霊のご功績を自衛隊員の鏡として永く顕彰します」と述べた。
 指名献花ではそれぞれが慰霊碑を前に想いを馳せた。
 遺族代表として、昨年8月に青森沖での夜間発着訓中の事故により殉職した海自第25航空隊(大湊)・田島裕顕2海尉の父・田島隆茂氏が挨拶。「自衛隊に入隊した志を褒め称え誇り続けていきたい。そしてその志は事故の教訓と共に生き続けてほしい」と時折言葉を詰まらせながら述べた。
 最後に鳥のさえずりしか聞こえない静寂の中、特別儀仗隊による弔銃が曇り空に向けて放たれた。閉式後も献花の列は途切れる事無く続いた。

平成30年度 防衛大臣感謝状贈呈式
 同日、ホテルグランドヒル市ヶ谷(東京都新宿区)で「平成30年度防衛大臣感謝状贈呈式」が行われ、個人59名・団体81件が表彰された。岩屋毅防衛大臣は「自衛隊が誇りを持って日々の任務にまい進できるのは、皆様方のお支えがあってのことです」と挨拶を行った。
 ※受賞者については次号に掲載します。

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