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自衛隊ニュース   991号 (2018年11月15日発行)
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平成30年度日米共同統合演習(KS19)
自衛隊員約4万7千人、艦艇約20隻、航空機約170機が参加
 自衛隊は10月29日から11月8日まで、「平成30年度日米共同統合演習(実動演習)=Keen Sword19/30FTX」を、自衛隊施設、在日米軍基地、対馬及び日本周辺海空域、グアム、北マリアナ諸島及びその周辺海空域で実施した。
 当演習は、武力攻撃事態等に対する自衛隊の運用要領や日米共同対処要領を演練し、自衛隊の即応性と日米の相互運用性の向上を図ることが目的。昭和60年から概ね毎年、実働演習と指揮所演習を交互に行っており、実動演習は14回目。
 河野克俊統合幕僚長は演習開始にあたり「日米の部隊が、まさにサイド・バイ・サイドで活動することを通じ、日米共同対処能力を向上させることが、日米同盟の更なる実行性向上につながる」との所感を発表した。
 自衛隊からは人員約4万7000名、艦艇約20隻、航空機約170機、米軍から人員約9500名が参加。今年度自衛隊が行う実動演習では最大規模のものだ。また、オーストラリア軍、カナダ軍、フランス軍、韓国軍、イギリス軍からオブザーバー要員が参加するとともに、カナダ軍の艦艇が海上作戦の訓練に参加する等、各国との相互理解、関係強化を図った。
 我が国周辺地域の安定のために不可欠な日米同盟。期間中に実施された水陸両用作戦、BMD(弾道ミサイル防衛)・防空作戦、海上作戦、航空作戦等の演習を通して、日米共同対処能力の向上を図り、自衛隊と米軍との協力関係が更に強固なものになったことを国内外に示すことができた。

平成30年度日米最先任下士官等会同
 10月24日から26日までの3日間、統幕最先任主催による「日米最先任下士官等会同」が行われた。本会同は今年で8回目であり、初めて海上自衛隊硫黄島航空基地にて開催された。
 本会同は「日米下士官の相互運用性向上のため、自衛隊及び米軍の現況を情報共有するとともに意見交換を行い、日米相互理解の深化及び信頼性の醸成を図る」を目的とし、統幕最先任荻野准空尉を始めとする陸海空自衛隊最先任上級曹長等17名、在日米軍最先任上級曹長グリーン最上級曹長を始めとする在日米陸海空海兵隊最先任上級曹長等11名の28名が参加した。
 会同では、統幕最先任から日本の防衛の基本方針である「実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備し、統合運用を基本とする柔軟かつ即応性の高い運用に努める」との発表があった。また、在日米軍最先任上級曹長から過去の統合作戦時における実例とその反省・改善点の紹介や、平時からのJoint-Mindの涵養が大切であると発表があり、日米最先任下士官は統合の重要性を再度確認した。
 意見交換・グループ討議は自衛隊、在日米軍に分かれて実施し、理想とする下士官の育成・下士官交流を実現するため、何ができるかをテーマに活発に議論が交わされ、相互理解の深化や陸海空の更なる連携に向けた前向きな意見が出ていた。
 戦跡研修において、参加者一同は天山慰霊碑、米軍将兵の碑等を参拝し、英霊に対し哀悼の誠を捧げた。また再会記念碑においてはその碑文(「かつての戦地、昨日の敵は、今や友好の地となり、今日の友である。Where we once met in war. We now meet in peace=v)の前で、参加日米最先任下士官等が共に手を組み記念撮影を行った。これは、1945年(昭和20年)の激戦の地となった硫黄島の戦いから73年後の2018年に日米最先任下士官等が訪れ、改めて日米同盟の強化と友好と絆を象徴するものとなった。
 本会同の所見として、荻野統幕最先任からは「今回参加した日米最先任下士官の一人一人が過去を見つめ、現在を活かし、未来に向けて何を繋げていくかを全員が感じとったと思っている。今回の会同は我々にとって小さな一歩かもしれないが、未来に向けての確実な一歩になる。本会同は、最先任下士官等だけでは実現不可能であったが、最先任上級曹長等制度の意義を日米各司令官及び関係幕僚等の理解を得て実現できたことは、今後更なる制度の活性化及び理解促進にもつながるものであると思っている」とあり、日米会同参加者の多くの賛同を得ていた。
 期間中、最先任下士官等の交流と意見交換を通じて統合運用の在り方やその重要性を認識し、日本と米国の強固な同盟力を改めて確認することができ、意義深い日米最先任下士官等会同となった。

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