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自衛隊ニュース   920号 (2015年12月1日発行)
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ミャンマー空軍気象要員研修
〈空自第4術科学校〉
 埼玉県熊谷基地にある航空自衛隊第4術科学校(学校長・阿部睦晴空将補=当時)は8月6日、ミャンマー空軍気象要員に対する部隊等研修の受け入れを実施した。これは、防衛省として推進する能力構築支援の一環である。ミャンマー連邦共和国に対する能力交流事業としての位置付けであり、ミャンマー空軍気象要員に対する空自気象部隊等研修を実施し、同空軍が予定している空軍気象部隊新設に資した。
 今回の4術校研修は、今年1月に航空気象群がミャンマー空軍シャンテ基地にて実施した航空気象セミナーに続くものであり、空自が有する気象機能の全体像(教育機能を含む)について紹介。内容としては、航空自衛隊における教育体系、気象に関する教育状況等の概況説明、各教育部及び教育参考館等の基地内研修、第2教育部教場にて教育実習の視察及び教官との懇談等であった。
 ミャンマー空軍の飛行訓練基地副司令 空軍大佐 アウン・コー・コー・チョウ、フモービー空軍基地軍事気象隊長 空軍少佐 ミョウ・ルイン、地上訓練基地業務訓練学校訓練将校 空軍大尉 アウン・コー・コー・ゾー、ミンガラドン空軍基地司令部飛行調整指揮所気象将校 空軍大尉 チョウ・タン・ウーの4名の他、内局、航空幕僚監部の隊員等6名が同行、ミャンマー空軍からは「実のある研修ができてよかった。ありがとう」との言葉があり、第4術科学校長が見送りをする中、熊谷基地を後にした。
 ミャンマー空軍による部隊等研修の受け入れは、第4術科学校としては初めてではあったものの、各部課隊等の連携した協力の下、万全の態勢で受け入れる事が出来た。

入浴支援訓練を実施
〈陸自需品学校〉
 10月29日、陸上自衛隊需品学校(学校長・今金元陸将補=松戸)において、学生教育の一環として第47期初級陸曹特技課程「需品器材」入校学生16名による野外入浴セット2型等を用いた災害派遣を想定した入浴支援訓練が実施された。当日は駐屯地所在隊員のほか、16時から20時まで(屋外に設けた)野外入浴所が一般開放され一般市民など計約300名が訪れた。「野外入浴セット2型」は、トレーラーに搭載された発電機・揚水ポンプ・ボイラー、半円型の10トンの貯水タンク、大型の天幕(テント)で構成され、一日約1200名が入浴可能。全国の師団、旅団、需品学校等が所有している。師団・旅団隷下の後方支援部隊が運用し、阪神淡路大震災や東日本大震災、先の関東・東北豪雨に伴う災害派遣でも大活躍した。東日本大震災では全国から補給隊(野外入浴セット2型)が集結しフル稼働。需品学校(需品教導隊)所有の同セットも石巻市、いわき市にそれぞれ派遣され"松戸の湯"は東北の寒さ厳しい避難所生活に大いに潤いをもたらした。
 同訓練(学生教育)は、東日本大震災に伴う災害派遣以降、入浴支援の重要性が改めて認識された事をきっかけに「より実際的な訓練」を狙いとして平成24年度から始まった。駐屯地行事や各地の防災イベントでは同セットが装備品展示される機会はあっても、実際に器材を稼動させ、一般市民が参加できる入浴支援訓練は、全国的に見ても需品学校が行う同訓練(学生教育)以外にほぼ例が無い。年度内に2期ある同教育課程で一回ずつ実施される貴重な訓練だ。「入浴支援を要する大規模な災害派遣はいつ生起するか分からない。東日本大震災以降に入隊した同課程学生が増えていくため、本訓練(学生教育)の意義は年々高まっていると感じる」(需品学校教育部・山本裕1陸尉)という。
 同訓練(学生教育)では、同課程学生の施設の開設及び器材操作に関する能力向上は勿論、部内外から訪れる老若男女いろいろな入浴者に対する接遇にも重きを置く。入浴支援訓練が始まると、器材操作と同時並行で入浴者の受付、誘導等の多様な勤務を学生全員で交代しながら貴重な経験を積んだ。受付勤務では、貴重品の有無を確認しロッカーを案内し、3つの入浴所の入浴者数に応じた誘導。器材操作では、浴槽やシャワーの湯温を常時確認。浴場勤務では、無線機等で器材操作をする学生と連携し、入浴者数に関わらず快適な湯温を保つよう努める。浴槽への足し湯の際には、入浴剤を小まめに投入し手で攪拌するetc…。また、一般市民向けにスピーカーを用いたラジオ放送、水分補給のために麦茶等も備え付け。先輩隊員たちの災害派遣での経験則を基に、学生からの創意工夫も採用。想像以上のキメ細かい対応には驚かされた。入浴終了後には「お湯加減はいかがでしたか」と、笑顔での声かけも欠かさない。訪れた一般市民に入浴の感想を尋ねると「何度来てもお湯はとても気持ち良かったですし、何より若い隊員さんたちの応対が素晴らしかった。地道な努力の積み重ねがいざ災害が起こった時に傷ついた避難者の心身を癒すのでしょうね」(60代男性)等と絶賛の声が相次いだ。
 同課程学生に話を聞くと、東日本大震災の避難所での支援に携わる隊員をテレビや新聞報道等で知り、入隊を志した隊員が多い世代という。入浴支援への思い入れも強いようで、それが入浴者への真情あふれる支援に繋がっているのだろう。47期生は入校してまだ3週間程。大勢の入浴者たちの笑顔の数々は新鮮な原体験として、来春までの課程教育、ひいては、先の長い彼らの需品科隊員としての成長にも好影響を与えるに違いない。

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