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機略縦横(20)
航空自衛隊 第4航空団准曹士先任 准空尉 三浦 誠 |
東北地方に甚大な被害をもたらした東日本大震災から10年が過ぎ、被災した地域では、復旧、復興が進み、震災前と同じ景色を見ることはできないが、元の生活を取り戻しつつある。震災当時私は、松島基地内で勤務をしており、避難した場所から、津波で流される航空機を見ながら家族の安否を確認していた。震災の翌日以降、自宅から約50km離れた場所から帰宅できない長女の心配をしながら、災害派遣の拠点とするため、基地の復旧作業に従事していた。自衛官である我々は時に、たとえ家族の安否が不明であっても、自衛官としての任務を果たさなければならない。しかしながら、自衛官である前に人間である。ストレスが重なれば、心や体に変調を来し、人によっては病んでしまい、任務遂行に影響を及ぼす。心をいくら強く保とうとしても、傷つき、折れてしまうこともある。自分の心を守るためには、心を強くしようと頑張るのではなく、しなやかにすることが大切である。最近は、感染症との戦い等でストレスを感じることが多々あることと思う。こういう時にこそ、ストレスをうまく受け入れ、自分の心をしっかりと守っていただきたいと思う。 |
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市ヶ谷台ツアーに大本営地下壕跡のバーチャル体験コンテンツを追加 |
7月1日より、市ヶ谷台ツアーに新しいコンテンツが追加された。
昨年8月に午後のコースに加わった「大本営地下壕跡」。昭和17年12月に建設された防空壕で、現在の防衛省敷地内の地下15mに位置する。幅48m×奥行52mの内部には、陸軍大臣室、通信室、炊事場、浴場等が備えられていた。
ただ、これまでのツアーで立ち入ることができたのは一部分のみで、それらの跡地を含む大部分は見学できなかった。建設から80年、老朽化等による安全上の理由からだそうだ。
だが今回、見学者の要望に応える形で、ついに地下壕全体をバーチャル上で体験できるようになった。操作は簡単。タブレットに映し出された、360度カメラで撮影された地下壕の画像。これを行きたい方向にタッチするだけ。南北に3本、東西に2本の壕が交差した構造の全体に隈なく立ち入ることができる。道に迷ったら俯瞰モードで現在地を把握できる。本コンテンツは部外業者に1月に発注して3月末に納入された。4月から試験導入を始め、評判も上々なことから7月1日から本格的に採用された。
地下壕見学及びバーチャル体験ができるのは、午後の見学コース(13時30分〜15時45分・定員10名)のみ。これまで同様高校生を除く18歳以上は700円の入場料が必要。予約・お問合せ等はホームページまで。 |
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AC-TESCを実施
第7師団 |
第7師団(師団長・中村裕亮陸将=東千歳)は、6月3日から18日までの間、北海道大演習場恵庭・千歳地区において、令和3年度機械化部隊戦闘訓練(AC-TESC)を実施した。
第7師団長を担任官として、北海道に所在する各師・旅団が参加した本訓練は、戦車・機械化連隊等の中隊を基幹とした諸職種部隊が赤部隊と青部隊に別れ、対抗方式により戦闘行動を行うもので、交戦訓練装置(バトラー)を使用し、戦場(演習場)にて防御及び攻撃部隊としての行動を演練した。
訓練間は、綿密に練り上げた作戦と迅速な敵の発見により攻撃側が一心に攻めるも、防御側も鉄壁な守りと攻撃に対応した柔軟な防御を見せ、各中隊がそれぞれ白熱した戦いを見せつけた。
また、10式・90式戦車や89式装甲戦闘車、87式自走高射機関砲等の重車両が参加するため統裁部も含め確実な安全管理を徹底するとともに、新型コロナウイルス感染対策として昨年同様センター内において各人の間に飛沫防止用の間仕切りを設置する等の対策を行った。また、前線で戦闘する隊員も迷彩のフェイスマスク等を着用し、戦場を意識しつつも万全を期して最大限の感染防止に努めて訓練を実施した。
今後第7師団は、今回の戦闘訓練の成果を踏まえ、更に精強な部隊へと進化を続けていく。 |
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令和3年度連隊検閲受閲
<第12普通科連隊> |
第12普通科連隊(連隊長・今井健太1陸佐=国分)は、6月10日から21日までの間、霧島演習場及び日出生台演習場において「令和3年度連隊検閲」を受閲した。本検閲では、応急出動準備、対着上陸戦闘準備及び対着上陸戦闘を含む「島しょ防衛に任ずる普通科連隊としての行動」を実施した。連隊は、10日早朝の訓練非常呼集から応急出動準備を開始し、日出生台港に先遣隊を機動展開させつつ、主力は綿密なミッションリハーサルを実施。主力の日出生台島への機動展開後は戦闘陣地の構築、現地における戦闘予行等の対着上陸戦闘準備を推進した。
16日早朝から敵の艦砲射撃を受け、連隊は対着上陸戦闘を開始した。敵の奇襲攻撃に対しても臆することなく、情報・火力・機動及び障害を連携させ、機動的に部隊を運用して流動的な戦闘を繰り広げ、一進一退の激闘の末、敵部隊を撃破し、敵の日出生台港への侵攻を阻止して任務を完遂した。作戦間の終始を通じ、連隊長要望事項どおりに最後まで勇猛果敢に戦った12連隊は、本検閲で得た成果・教訓を糧に、鎮西機動師団第8師団の基幹連隊たるべく更に錬磨に励むことを改めて誓った。(検閲評価「優良」) |
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雪月花 |
今年の始め、高知市の商店街の一角に一台のピアノが置かれていた。通りかかった人の多くはなんで?と言う顔で行ってしまうが立ち止まった人の中には思い切った顔をしてピアノを弾き始める、通行中の人が遠巻きに集まってくる、ミニコンサートだ。噂を聞いた人たちで9日間も続き402人が演奏した(NHK)。京都からこれが目的で来たという母娘もいた、地元の演奏仲間、高校生、サラリーマンらもピアノに向かったが中にはギターやフルートなどを持参するグループもいた。この様子は、NHKが仕掛けた定点カメラで全部記録され一部はライブ放送された。高知地方局だけの企画なら面白いと思い問い合わせると「コロナ禍で今音楽をどのように楽しんでいるのか、これが少しでも皆さんの癒しになればと全国で展開している」ということだった。検索してみると「街角ピアノ」としてあちこちで行われている。札幌では昨年の暮れに地下鉄大通り駅に設置しており駅職員がプロ顔負けの演奏を毎日行った。ここのピアノは市の交通局から持ち込まれたもので世界のトップブランドと言われるスタインウエイ、このピアノを弾きたくて来る人もいたそうだ。浜松はユネスコから音楽創造文化都市に認定された街だけあって演奏希望者も多い。日本での駅ピアノ、街角ピアノ、森のピアノなどと同様に海外の多くの国からも同じような配信が見られる。アメリカ、タイ、シンガポール、フランス等々。チェコはヨーロッパの中心に位置しているからプラハの空港ピアノには周辺の国の人が立ち寄る。ノルウェーから観光に来た中年夫婦の演奏、ドイツから移住した髭の男性の格調高い演奏、世界中の人が行き交う。世界の交差点でたまたま通りかかった人と人を繋いだピアノ。音楽には人の心を癒すだけではなく民主主義国家VS専制主義国家などと軋みが見え始めた地球人に平和を気付かせる役目もありそうだ。 |
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