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1035号 (2020年9月15日発行) |
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雪月花 |
「もういい加減にしないか」と思うアメリカの人種差別。今度の混乱はまた一段とエスカレートしている。原因になったあの場面がテレビに映される度に日本に住む我々の胸にも苦しさを覚える。白人の警察官数人が一人の黒人青年に馬乗りになったり、脛で首が折れるほどに締め付けている、その間8分46秒、息が止まるまで容赦しない、人は人をこんなにも憎めるものなのか。米国における人種差別という憎悪の頂点を見た気がした。不謹慎な引例になるが日本ではイノシシやシカなどの害獣駆除でもこんな残虐なことはしない。50年前になるが中学校で習った「オールド・ブラック・ジョー」というアメリカの歌が好きだった。アフリカから連れて来られ歳を老いた奴隷のジヨーが臨終を迎えている。その家の主人や娘が励ますが殆どの友が逝って待つ所に行きたいと言い娘を悲しませる、本当の家族のようなシーンにアメリカは素晴らしい国だと思ったことだった。数年前アメリカ中央部の街を歩いてきたがこれが差別だなと思う事に何度か出会った。催事会場で行き先がわからなくなり前を歩いている人に聞くと黙って指してくれた、そのあと筆者がアジア系だとわかると触れた肩を汚らわしいものを落とすようにパタパタとはたいた、アフリカ系の女性だった。アメリカ東部の近距離航空は席の指定はなく勝手に座る。早く着いたので3人掛けの窓側に座り外を見ている間にドアーが閉まった、満員である。だが筆者の席の隣二つは空いている、「きゅうくつなのにこちらに座れば」と思ったがアジア系の筆者を避けたことに気が付いた、同時多発テロ9・11の後だったから余計嫌われたようだ。乗り物の中や公園でも日本では考えられない仕打ちが些細なことだがいっぱいある、これらが鬱積して人種差別という大きな問題になっていくのだろうか。その後も警察官による同じ様な事件は続いている。米国の人種間の融和など遠い先のことか。天国のオールドジョーのため息が聞こえる。(所谷) |
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