「FPが勧める資産形成法」(その2)
前回は、資産形成の基本について解説しました。今回は、具体的に資産を形成する方法について解説します。
5.共済組合の貯金を活用
資産形成の目的は、結婚や子育てマイホームなどの夢を叶えるために必要な資金を準備するためです。
したがって、何時までにいくらの積立が必要か、資産形成の目的と目標額を設定しましょう。もし、目標額が決まらないのであれば、給与と賞与の手取り額の少なくとも一割を当面の積立額としましょう。
積立額が決まったら、給与から直接天引きされる共済組合の定額積立貯金を利用して毎月の給与とボーナスから一定額を積立てましょう。
また、共済組合の貯金は、都市銀行などに比べて金利が高いので、定額積立貯金に加えて定期貯金と普通貯金を活用すると良いでしょう。
そして、定期貯金の預入限度額である300万円を資産形成の第一目標としましょう。
6.「つみたてNISA」で投資を始める
次に、収益性資産を形成する方法として「つみたてNISA」を紹介します。
NISA(小額投資非課税制度)とは、国が国民に投資を勧めることを目的として導入した制度で、(1)一般NISA、(2)ジュニアNISA、(3)つみたてNISAの3種類があります。
なお、今年の制度改正で、「一般NISA」は2024年から新しい仕組みの「新NISA」に移行するとともに、「ジュニアNISA」は2023年に終了することになりました。
ここでは、皆様に投資の手段としてお勧めする「つみたてNISA」を中心に解説します。
「つみたてNISA」は、日本国内に居住する20歳以上の方(口座開設年の1月1日現在)であれば、一人1口座を開設することができます。なお、「つみたてNISA」と「一般NISA」は、何れかを選択する必要があり併用することはできません。
「つみたてNISA」の最大の特徴は、最長20年間にわたり分配金や譲渡(売却)益が非課税となることです。さらに、「つみたてNISA」で購入することができる金融商品は、金融庁が定める条件を満たした長期の積立・分散投資に適した投資信託に限られています。
そこで、年間の預入限度額として定められている40万円の範囲内で毎月一定額を拠出してあなたの選んだ投資信託を購入すると、20年後には最大で元本800万円の収益性資産を形成することができます。
なお、投資信託は、株式や債券を組み合わせて運用される金融商品ですから、これを毎月一定額買い続け、20年間にわたり保有すれば、投資の基本である「時間と金融商品の分散」および「長期運用」の全てを満たすことになります。
7.「つみたてNISA」の始め方
「つみたてNISA」を利用するためには、(1)つみたてNISAを始める金融機関を選ぶ、(2)積立投資する投資信託を選ぶ、(3)毎月の積立額を決める必要があります。
金融機関を選ぶ:商品ラインナップ、最低積立金額などを比較して選ぶ。
投資信託を選ぶ:金融庁が指定する約180本の投資信託から自分に合った商品を選ぶ。
積立額を決める:いつでも変更は可能ですので、無理のない積立額から始める。
具体的な金融機関や金融商品を選ぶ際には、特定非営利活動法人「確定拠出年金教育協会」が運営している「つみたてNISAナビ」(https://www.tsumitatenisa.jp/)を利用されると良いでしょう。
自衛隊員の資産形成は、共済組合の定額積立貯金から始め、「つみたてNISA」を利用した投資に進むことをお勧めします。
辻 章嗣
ウィングFP相談室代表
元航空自衛隊パイロット、ファイナンシャル・プランナー、社会保険労務士 |