防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1023号 (2020年3月15日発行)
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衛生科幹部等集合訓練
(第63回北部防衛衛生学会)
<札幌病院>
 1月29日、自衛隊札幌病院(病院長・大鹿芳郎陸将)は、北海道青少年会館コンパスにおいて、令和元年度衛生科幹部等集合訓練(第63回北部防衛衛生学会)を開催した。
 学会長(大鹿陸将)は、本学会のテーマを『新たな時代における衛生の躍進』とし、訓練開始にあたり、令和という新たな時代において自衛隊衛生の進むべき未来についての議論をしてもらいたいと挨拶した。
 北部方面総監の吉田圭秀陸将は、「時代の大転換期における我が国の安全保障」と題した講話において、時代における日米同盟の役割、我が国を取り巻く戦略環境における北海道の役割、リーダーに求められる資質について述べ、衛生にとって極めて重要なことは、第一線救護、後送という所を徹底的に詰め、いかに損耗を減らすか、災害救援は傷病者に対する情報共有、広域搬送に対する他の組織との協力を如何に進めるかに尽きると述べた。
 特別講演では、防衛問題研究家の桜林美佐講師が「世界の視点から見る自衛隊のこれから」について講演し、国際平和協力活動が現地での活動からアジアやアフリカの国々に教育し、能力を付与する支援に変わっていくと述べた。
 教育講演では、札幌医科大学保健医療学部の今井富裕教授が、「パーキンソン病治療の変遷」についてご講演し、治療の歴史や日常生活に表れる症状、投薬による副作用について映像を交えながらわかりやすく説明するとともに、今後の治療の展望について述べた。
 一般演題としては部隊等から7題の発表があり、第5旅団司令部衛生班の「離島医務室を活用したDCSの検証及び収容所の開設・運営に関する考察」と、別海駐屯地業務隊衛生科の「別海駐屯地禁煙施策について」が優秀演題として表彰された。
 パネルディスカッションでは、「新たな時代における人材育成を考える」をテーマとし、当院副院長の菊池将補を座長として、陸上幕僚監部衛生部医務・保健班長(小俣1佐)、自衛隊中央病院看護部長(曾田1佐)、陸上自衛隊衛生学校教育部運用教官室総括担当教官(吉武2佐)、北部方面衛生隊長(蝶野1佐)、第7後方支援連隊衛生隊長(中村3佐)、当院先任診療科部長(吉積1佐)、当院診療技術部研究検査課長(大坂3佐)7名のパネリストによる発表の後、人材育成に関する現状と課題について討論を行い、任務・役割及び時代の要請に応じた人材育成、一般の有資格者と遜色のない技能の維持、救命ドクトリンを達成するための運用のスペシャリストの養成等について活発な討論が行われた。
 以上の講演等によって、本集合訓練の目的である、「衛生科隊員の衛生科部隊運用、治療・後送、健康管理、メンタルヘルス、防疫及び衛生器材等に関する識能の向上」を達成し、新たな時代における衛生の躍進を確信する1日となった。

女性自衛官と関係機関女性職員との勉強・交流会
<信太山駐屯地>
 信太山駐屯地(司令・山田篤1陸佐)は、令和元年11月12日、駐屯地周辺自治体に所在する関係機関との会同により、女性活躍推進のための勉強・交流会を開催した。
 これは、関係機関の女性職員を取り巻く勤務環境を知ることにより女性自衛官の意識改革を促すとともに、信太山駐屯地と関係機関との間の信頼関係を深めることを目的とし、当日は、駐屯地から業務隊の森1陸尉以下18名が参加し、和泉市役所・堺市役所・和泉市消防本部・堺市消防局・大阪府鳳土木事務所から女性職員9名が駐屯地を訪れた。
 駐屯地司令挨拶を皮切りに、自衛隊OG(元空将補)の柏原敬子氏による講話及びグループ討議を実施し、「女性にとってのキャリアアップの意義」及び「男性が主体である職場における女性リーダーのあり方」について、柏原講師の助言を受けつつ活発な意見交換により、男女がともに働きやすい職場環境作りに関し、組織の枠を超えた認識共有を図ることができた。
 その後、勉強会の一環として、自衛隊が実施している施策の一例として緊急登庁支援施設の開設・運営要領について展示・説明したが、関係機関の職員からは「平成30年台風21号では、和泉市・堺市も甚大な被害を受け、我々は、市民の生活を守る当事者であることを改めて強く認識した。自衛隊が組織として隊員家族を支える態勢を整備していることは大変参考になる」といった意見が聴かれた。
 勉強会終了後、場所を駐屯地隊員クラブに移し、交流会を開催した。参加者からは家庭と仕事の両立、特に結婚、子育て、人事異動についての悩み等、昼間の勉強会では明かせなかったざっくばらんな本音トークが続出し、人間関係・信頼関係を醸成した。
 信太山駐屯地では、今後も関係機関との連携を図り、女性活躍推進のためこの勉強・交流会を継続していく計画だ。

駐屯地成人行事
<えびの駐屯地>
 えびの駐屯地(司令・中川宏樹1陸佐)は1月28日、駐屯地内において招待者(防衛協会女性部会えびの支部7名およびえびの駐屯地売店会会長)の列席のもと駐屯地成人行事を実施した。
 駐屯地新成人者は、それぞれの決意表明をレンジャー訓練塔高所から駐屯地隊員達の前で宣言し、続けて勇気と決断力を植え付けるため懸垂降下(ロープ訓練)を体験した。当初、駐屯地司令が訓練塔高所より自ら懸垂降下を実施し、新成人者へ激励を送った。
 新成人者19名のうち練成を積み重ねた16名が懸垂降下を体験し3名が決意表明をしたあと、式を見守っている全員から拍手が送られた。
 引き続き招待者から新成人者へお祝いの言葉とともに記念品が手渡され、記念撮影では全員が20歳の記念に右手にピース左手にゼロで20を作り笑顔で写真を撮影することが出来た。
 また、記念会食においては駐屯地の美味しい食事とともに20歳の抱負を交えながら談笑し和やかな内に終了した。

雪まつり雪像制作協力
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第71回さっぽろ雪まつり
<第18普通科連隊>
 第18普通科連隊(連隊長・渡邊孝太郎1陸佐=真駒内)は、1月6日から2月3日までの間、札幌市で開催された「第71回さっぽろ雪まつり」に第2雪像制作部隊(制作隊長・本部管理中隊長●橋1陸尉)として、北海道テレビ放送株式会社と協力し、大雪像「ウポポイ(民族共生象徴空間)2020・4・24OPEN」の制作を実施した。
 今回は、記録的な雪不足と度重なる暖気を克服し昼夜を問わず雪像制作に邁進した。さっぽろ雪まつり大通り会場は2月4日から11日までの間開催され、国内外約202万人の来場者にダイナミックな雪像を披露し夢と感動を与えた。
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第29回しんとつかわ雪まつり
<第10即応機動連隊>
 第10即応機動連隊(連隊長・伊與田雅一1陸佐=滝川)は、1月26日に開催された「第29回しんとつかわ雪まつり」を支援した。
 第2普通科中隊を主力とする約30名の隊員たちは、昨年12月中旬から約1カ月半にわたり連日の厳しい冷え込みの中で作業に当たり、ジャンボ滑り台や、特設メインステージの制作を行った。
 雪まつり当日は晴天に恵まれ、約5800人の町民や観光客らが来場。多くの来場者が見守る中、オープニングセレモニーが行われ、隊員たちが制作した滑り台等雪像が「雪まつり実行委員会」に引き渡された。
 本雪まつりは、雪像に加え、各出店が冬鍋の味を競い合う地元の名物イベント。隊員たちが制作した滑り台には子供たちの長蛇の列ができ、特設ステージ上では雪の上で中華鍋に乗って押し合う「国際中華鍋押相撲選手権」も行われ、終日にぎわいを見せていた。

ノーサイド
北原巖男
校長先生

 新型コロナウイルスの脅威が止まりません。拡散は世界中に及んでいます。
 全国の小中学校・高校等では、春休みまで休校措置が取られています。卒業式も感染防止の観点から家族や来賓の皆さんの参加が取りやめになるなど、かつて経験したことの無い厳しい対応を余儀なくされています。
 3月9日には、中国・韓国からの入国を制限する緊急措置も発動されました。訪日客の5割弱を占めて来た両国との人の往来は一段と激減し、観光業のみならず国内企業・地方経済に与える打撃は甚大です。
 一日も早い終息を願って止みませんが、まず入念な手洗い、マスク着用そして食事と睡眠をしっかりとって体力をつけること等、引き続き冷静な感染予防に努めて参りましょう。
 感染ルートの追求やクラスター連鎖の遮断等が懸命に行われています。
 しかし感染した人たちの年齢や濃密な接触関係、職業や勤務場所、ライブハウスなどの立ち寄り先等についての情報が連日盛んに報じられますと、どうしても社会全体がどこか戦々恐々としたものになって参ります。お互いが疑心暗鬼に陥る特異な空気の存在です。
 トイレットペーパーが無くなることなど無いと根拠の無いデマを否定しつつも買いに走る社会現象も出て来ています。「万一足りなくなったら困る。毎日使う物だから」
 こうした中で、感染してしまった皆さんは、ご家族やお医者さん、看護師さんと懸命に新型コロナウイルスと戦っています。闘病に勝ち、ウイルスは陰性となり、元気に退院した人も沢山います。
 でもそれだけでは済まない、退院後むしろ精神的にはもっと辛い環境に直面している皆さんの存在があります。
 僕自身、強く自戒しなければならないことです。それは退院した彼らが自分に近づいて来ると自分も感染してしまうのではないかという根拠の無い怖れ・不当な差別意識に捕らわれていないかということです。感染から復帰しても、周りの人たちから近づいてほしくないと思われていると敏感に感じ、どうしたらよいのか分からない立場に追い詰められている元患者の方。涙ながらのインタビューを忘れることは出来ません。
 そんな中、話題になっているのが新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため休校となったイタリアの高校の校長先生が生徒たちに送ったメッセージです。既にご存知かもしれませんが一部を紹介いたします(筆者抜粋)。
 「冷静さを保ち、集団のパニックに巻き込まれないでください。予防措置を講じながらいつもの生活を続けてください。せっかくの休みですから、散歩や良質な本を読んでください。体調に問題が無ければ、家に閉じこもる必要はありません。スーパーや薬局に駆け付ける必要もありません。マスクは体調の悪い人に必要なものです。
 世界中にあっという間に拡散した感染の速度は私たちの時代の必然的な結果です。ウイルスを食い止める壁が無いことは、今も昔も同じです。その速度が、以前は少し遅かっただけなのです。このような危機に打ち勝つ際の最大のリスクは、社会生活や人間関係の荒廃、市民生活における蛮行です。見えない敵に脅かされたとき、人はその敵があちこちに潜んでいるかのように感じてしまい、自分と同じような人々も脅威だ、潜在的な敵だと思い込んでしまいます。それこそが危険なのです。
 私たちには進歩した現代医学があり、それは更なる進歩を続けており、信頼性もあります。合理的な思考で私たちが持つ貴重な財産である人間性と社会とを守って行きましょう。それが出来なければ、本当に "ペスト" が勝利してしまうかもしれません」

北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事


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