4月1日、いつもより市ヶ谷が華やいでいたのは、満開の桜のせいだろうか。
朝7時過ぎ、市ヶ谷の防衛省前には希望に満ちた若い顔の男女が溢れていた。彼ら彼女らの入省式が、朝9時30分から防衛省A棟2階講堂で行われるためだ。今回、総合職・一般職・専門職・障害者選考など574名の新規採用者岩屋大臣から辞令を交付され、岩屋大臣は「常に国民に対する責任、国民の自衛隊に対する眼差しを忘れないでほしい」「新しい事に常に興味を持ち、学び続けて下さい」「同僚との専門性の違いを活かし常に助け合って下さい」と要望した。また障害者選考の採用者に対して「困難に直面した時、共に乗り越えようと手を差し伸べてくれる同僚と協力して、はつらつと仕事に取組んでほしい」などと訓示をした。
午前11時30分、平成の次の年号が発表されるとあって、多くの耳がテレビを意識し、ネットのニュース速報を注視していた。「令和」と発表された11時41分、防衛省内ではあちらこちらから「お〜」「へ〜」という声が聞こえた。
午後になると4年5ヶ月制服組トップを務めた河野克俊統幕長の離任式、そして陸上幕僚長を退任し第6代統合幕僚長となった山崎幸二陸将の儀仗・着任式が行われた。着任式で山崎統幕長は「将来に渡り、我が国の平和と安全、国民の安心と安全のため統合運用をさらに強化していくのが我々の使命であり時代の要請でもある」などと訓示した。
その後には海上幕僚長が村川豊海将の離任式が行われ、海上幕僚副長を退任し海上幕僚長に着任した山村浩海将の儀仗・着任式が執り行われた。着任式では、約200名の隊員を前に「大きな方向転換はこの2年が勝負だと思っている。トップダウンではなく、ボトムアップで業務に当たってほしい。引き続き明るく楽しく、ワークライフバランスにも充実した勤務環境を整えてもらうことを希望する」などと訓示。方針を「精強・即応」及び「変化への適合」とした。
儀仗広場の桜が風に揺れ始めた夕刻、西部方面総監であった湯浅悟郎陸上幕僚長の儀仗が行われた。一歩一歩巡閲する湯浅陸幕長は、眼光炯炯としていた。次いで行われた着任式での訓示では「30大綱に基づき、多次元な統合防衛力を実現し得る陸上防衛力構築に取り組み、将来に渡って通用する陸上自衛隊を作り上げていく」などと力強く語った。
防衛省の満開の桜は、市ヶ谷台が新しい時を刻んでいくのを見守っている。
式後、新規採用者の福富優香事務官(防衛政策局戦略企画課)は、「自らなすべき役割のひとつひとつに真摯に向き合い、日本の平和と安全を担う者としてしっかりと着実に歩んでいきたいです」。福山大輔事務官(防衛政策局防衛政策課)は「新元号が発表される本日に入省する私共は、次の時代またはその先まで平和で安心して暮らせる日本を受け継ぐ責任があると感じています」と意気込みを語った。 |