「新しい元号は、令和であります」
4月1日、国民が注視する中、菅官房長官から新しい元号が発表されました。
来たる4月30日に天皇陛下がご退位なされることに伴う改元です。憲政史上初めてのことです。皇太子殿下が天皇陛下にご即位される前に、元号が決定され発表されたことも歴史上初めてのことです。
「令和」は、日本最初の元号である「大化」から数えて248番目の元号とのこと。
一瞬、「令」の字に驚いた皆さんも多いのではないでしょうか。私もその一人です。元号に「令」の字が使われるのも初めてのことです。
ちなみに「令」の字形、下の部分は「マ」も正しいとのことです。
官房長官に続いて安倍首相は、直接国民に語り掛けました。
「…この「令和」には、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められています。…厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりの日本人が、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたい、との思いを込め、「令和」に決定いたしました。…この新しい元号も、広く国民に受け入れられ、日本人の生活に深く根差して行くことを心から願っています。」
テレビは、号外に一気に殺到する人々の姿や商魂逞しい「令和」商品が急ピッチで生産されて行く様子を伝えています。
「びっくりしました!」、「早速、君の時代が来たなと言われています」など、突然のことに興奮を抑えきれずに語る全国の「令和」さん達へのインタビューも。
今回は、どんな元号になるのかAIを含めた予想が盛んでした。国書から選ばれるのではないか、では「日本書記」か?「古事記」か?等々。
予想イベントで愛知の20代の男性が的中させたというから驚きです。(4月2日付け毎日新聞)出典は、「万葉集」巻五、梅花の歌三十二首の序文。
「初春の令月(れいげつ‥よい月。正月をほめていった。)にして、気(き‥あたりの気配)淑(よ)く風和(かぜやわら)ぐ。梅は鏡前(きょうぜん)の粉(ふん)を披(ひら)き、蘭(らん‥よい香りの草の総称)は珮後(ばいご‥珮は、じゃ香や香木の類を袋に入れて腰に下げたもの。後は、対句として用いた字で、意味は軽い)の香(こう)を薫(かお)らす。‥初春の正月の良い月で、気は良く風は穏やかである。梅は鏡の前の白粉(おしろい)のように白く咲き、蘭は匂い袋のように香っている」(「萬葉集(2)」日本古典文学全集 昭和47年5月小学館刊より)
なお、「これと似た漢文が、万葉集(780年頃成立)以前の中国の詩文集「文選」(530年頃成立)にある。…後漢の文学者であり科学者の張衡(ちょうこう)が詠んだ「帰田賦」には「於是仲春令月 時和氣清(これにおいて、仲春の令月、時は和し氣は清む)」とある。…著者が文選を参考にした可能性がある。」との報道もあります。(4月1日付けmediaNEWS)
こうした中、4月2日付け日本経済新聞「春秋」は、「…初めて国書から元号が生まれたとことほぐだけでなく、アジアと日本の文化の流れを大きな目で見つめる契機にすればいい。「令月」だってもとは漢籍にあり、梅の花を愛でる習わしもまた、海を越えてやって来た。外国人が増え、グローバル化が進む時代にふさわしい「令和」かもしれない。」と述べています。
「令和」の時代は、少子高齢化、人口減少、人出不足が加速化して行く一途の日本です。
日本に在留する外国人は、約264万人と近年増加しており、日本で働く外国人も、約128万人と急増しています。
「令和」が発表になった4月1日は、これから新制度の下、アジアの9か国から5年間で約34万5000人の外国人を受け入れて行く改正入管法が施行された日でもあります。
元号は決まりました。
5月1日から私たちは、「令和(REIWA)」に生き、「令和(REIWA)」を創り上げて行く主人公です。外国人の皆さんとの共生は、必要不可欠・大前提の時代です。
突然ですが、
「新しい出発です。皆さん頑張りましょう!令和を平和で豊かな時代にして行きましょう!」
北原 巖男
(きたはらいわお)
元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事 |