防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   988号 (2018年10月1日発行)
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在日米軍の新司令官2名と会談
<山崎陸幕長>
 
在日米陸軍司令官
 9月12日、陸幕第1応接室において、山崎幸二陸上幕僚長は在日米陸軍司令官・ヴィエット・X・ルオン少将と会談を行い、我が国の防衛地域の平和と安定における陸上自衛隊と在日米陸軍との役割について意見交換を行った。
 ルオン司令官は、8月28日にキャンプ座間に着任したばかり。前職は在韓米陸軍第8軍副司令官(作戦担当)。
 会談は、陸幕副長、防衛部長、管理部長ら8名、在日米陸軍側は総合幕僚、主要専門幕僚ら8名が陪席した。
 山崎陸幕長は「またルオン司令官とともに我が国の防衛、またこの地域の平和と安定のために一緒に仕事ができることを嬉しく思っています」と着任を歓迎した。ルオン司令官は「近代化された防衛組織とともにこういう形でまたお会いできたことを嬉しく思います」と述べ、「日米同盟という強固な同盟に対して100%のコミットメントを今後も続けたいと思います」と親密な協力関係を強調した。
 ルオン司令官は、1965年7月生まれの53歳、ベトナム出身。
 
第3海兵機動展開部隊司令官
 9月20日、山崎幸二陸上幕僚長は陸幕第1応接室で、第3海兵機動展開部隊司令官兼沖縄4軍調整官・エリック・M・スミス海兵隊中将と会談を行った。
 会談は小野塚陸幕副長、各部部長らが陪席、米側は在日米軍副司令官らが同席した。スミス司令官は今年8月2日に着任したばかり。前職は第1海兵師団長。
 山崎陸幕長はスミス司令官の着任を歓迎し、「これまで築いてきた関係を礎として、スミス新司令官とともに我が国そして地域の平和と安定のために貢献していきたい」と述べた。スミス司令官は感謝の意を表するとともに山崎陸幕長の発言に同意。「陸上自衛隊のプロとしての組織に感銘を覚えている」と述べ、「我々の同盟関係を向上させ深化させる。この世界でも類のない同盟関係をさらに向上させたい」と強調した。

ジブチ災害対処能力強化支援派遣団
小野塚陸幕副長に出国報告
 平成30年9月21日から12月16日まで、東部方面隊及び施設学校の13名からなる「ジブチ災害対処能力強化支援派遣団」が、ジブチ共和国でジブチ国防軍に対し災害対処能力強化支援を実施することとなった。本事業は、「人道支援及び災害救助活動分野の教育における協力に関する日本国防衛省とジブチ共和国国防省との間の実施取決め」に基づき、ジブチ国政府との信頼醸成及び関係強化を図るために平成28年度から行われており、今回で3回目となる。
 教育を受けるのはジブチ国防軍の兵士17名で、油圧ショベル・バケットローダー・グレーダーの3機種の操作要領について教育を受ける。3年目の今回は、ジブチ軍兵士が教官としての技能を修得するため、機械操作に関する教育法を陸自派遣隊員が指導し、併せて評価を行う予定。今回派遣される隊員の中には3回連続で派遣される隊員もいる。唯一の女性隊員も2回目の参加だ。
 出発に先立ち、丹宗正敏2陸佐を団長とした13名は、防衛省を訪れ、小野塚貴之陸上幕僚副長に出国の報告をした。小野塚副長は「唯一の自衛隊海外拠点があるジブチ共和国で、陸自の存在感を示すことが大切。ジブチ軍の工兵部隊に対してしっかり教育して来て欲しい。ジブチ政府も陸自施設科部隊の能力の高さを知っているため、みんなの双肩に大きな責任が掛かっていると思うが、日本人らしい目線で指導を行い、ジブチの国作りに日本の心を残して来て欲しい」等と一人一人の顔を優しく見ながら激励した。「整備員として参加した昨年は、機械不可動ゼロとだったので、今年も頑張りたい」「文化の違いに負けないようにしたい」「PKOの経験を活かし楽しく教育したい」「人との繋がりを重視した通訳をしたい」などと意気込みを語った派遣隊員たち、迷彩服に付いている真新しい日の丸のパッチがキラキラと輝いていたのが印象的だった。

ノーサイド
<北原巖男>
大切な動きと一冊の本
 我が国のこれからの防衛政策の指針となる新しい「防衛計画の大綱」(防衛大綱)とそれに基づく「中期防衛力整備計画」(中期防)。その年内策定に向けた重要な作業が進められています。
 策定に先立って、政府は、三村明夫・日本商工会議所会頭(新日鉄住金名誉会長)を座長とするいわゆる有識者懇談会「安全保障と防衛力に関する懇談会」を設置しました。有識者懇談会の9名のメンバーの中には、黒江哲郎・元事務次官と岩崎茂・前統合幕僚長が、防衛省OBの実務経験者として参加しています。他に、北岡伸一・JICA理事長、加藤陽三・元駐米大使などもメンバーです。
 国民の自衛隊として常に国民と共にある自衛隊の防衛力、防衛力と車の両輪を成す外交・外交交渉の在り様、憲法をはじめ国際法等の法秩序、将来を見据えた先見性のある議論などを踏まえた意見集約が期待されます。
 この有識者懇談会に連動して、小野寺防衛大臣は、防衛省内に同大臣を委員長とする「将来の防衛力検討委員会」を発足させました。有識者懇談会の意見も踏まえ、専門的観点から検討を加えることとしています。
 こうした中、10月は、様々な自衛隊記念日記念行事が予定されています。
 13日は、防衛省のメモリアルゾーンにある自衛隊殉職者慰霊碑の前で、自衛隊最高指揮官である安倍内閣総理大臣が参列して、任務遂行中に殉職された隊員の皆さんに対する自衛隊殉職隊員追悼式がしめやかに実施されます。平成30年版防衛白書によれば、今日までに不幸にしてその職に殉じた隊員の皆さんは1900人を超えています。
 心からの敬意と哀悼の誠を捧げたいと思います。
 また防衛省・自衛隊の諸活動推進に尽力された方々や団体に対する防衛大臣感謝状の贈呈式なども行われます。
 翌14日は、陸上自衛隊朝霞訓練場にて、安倍内閣総理大臣出席のもと自衛隊中央観閲式が挙行されます。
 安倍内閣総理大臣は、新しい「防衛大綱」について、従来の延長上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めて行きたい旨の発言をされて来ています。
 黙々と、ひたすら与えられた任務の完遂に努め、いかなるときも国民の負託に応えて行く使命を有する自衛隊員の皆さん。観閲式では、そんな彼らに対し、安倍内閣総理大臣が最高指揮官として訓示します。
 このようなとき、毎週金曜日の午後は神田の古書店巡りと決めている熱烈読書家の知人から一冊の本を勧められました。作家・半藤一利さんの「ソ連が満州を侵攻した夏」(1999年7月 文芸春秋社刊)です。
 「防衛ホーム」紙の読者の皆さんの中にも、氏の「日本のいちばん長い日」をはじめ様々な作品を読まれている方が多いのではないでしょうか。
 半藤一利さんは、前掲の著書にて語っています。 "…ソ連がでてきたら日本陸軍の太平洋戦争における今後の全作戦構想は壊滅する。であるから、ソ連には出てきて欲しくはない。こうした強烈なる「来らざるを恃む」願望が、でてこないのではないかという期待可能性に通じ、さらにそれが「ソ連軍は当面でてこない」、起こってほしくないことは起こらないという根拠のない確信になっていたのである。"
 さらに曰く。 "…どんなに顕著な兆候が眼前にあろうと、「起きると困ることは起きない」という集団的確信のもとには、すべて無に等しいのである。その十日後にソ連軍は、日本人の永遠の恨みもへちまもない、全作戦正面から一斉に攻め入ってきた。"
 当該著書の帯には、「かくして百万邦人が見棄てられた…」の記述。
 自他共に認める「歴史探偵」半藤一利さん。「防衛大綱」策定作業が深化・加速化して行く動きの中で、歴史に学び活かして行く大切さを改めて感じています。
  
北原 巖男
(きたはらいわお)
元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事

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