質問です。
「8月10日から12日まで東京ビッグサイトで開催。毎年夏と冬の2回実施され、若者や海外から沢山の皆さんが訪れます。今回、3日間の来場者数は53万人。そのイベントとは?」
隣接する東京臨海広域防災公園では、「楽しく参加して高めよう防災意識」をキャッチフレーズに「有明防災フェア」が同時開催されました。自衛隊東京地方協力本部のブースでは、西日本豪雨の際の自衛隊による災害派遣活動の様子が展示されていました。
駐日東ティモール民主共和国大使館も、主催者の一般社団法人DSC(Defense Forces Support Club)及び有限会社コミケットの協力のもと、初参加。自衛隊PKO・滋賀県の自治体から供与された6台の消防車・土砂崩れ・治水対策が手つかずの大きな川などの写真パネルを展示。また伝統織物タイスの展示・試着体験や有機栽培のカフェティモールの販売、東ティモール紹介パンフレットの配布等を行いました。
…冒頭の質問の答えは、「コミックマーケット」。略して「コミケ」。世界最大の同人誌即売会。本紙読者の皆さんの認知度はいかがでしょうか。ちなみに今回のは、「夏コミ」と言うんだそうです。
このコミケ会場から有明防災フェア会場へは、コスプレのまま行き来できることから、アニメの世界から飛び出して来たありとあらゆる主人公や本物そっくりの各種制服姿(当人曰く「フェイクです」)の「コスプレイヤー」で溢れました。猛暑を吹き飛ばすエネルギッシュな明るさとクオリティの高いコスプレには感動を禁じえません。取り囲むカメラマンのなんと多いこと。
そして東ティモールのブースを訪ねてくれた皆さん。異口同音に「去年は出ていませんでしたね。暑いですから気を付けてください」と声をかけてくれました。東ティモールについて矢継ぎ早に質問をされたり、女性のみならず沢山の男性がタイスの試着に挑戦、逞しい東ティモールの伝統衣装姿に変身していました。
早速こんなSNSがアップされています。「無事東ティモールから帰ってきました!」「有明防災フェアの今回の目玉は、実は駐日東ティモール大使館ではなかろうか。2002年に独立を果たし、自衛隊のPKO参加もあって御縁はあれど、なかなか知る機会がなかった国。今回がフェア初参加とのこと。東ティモール産のコーヒーはボディと果実味のある酸が特徴的」「日本人の罪深さを知るために、知られていない事実を知るために、できれば行きたいんだよな…カンタ!ティモール東ティモール国とは何なのか?」「初手東ティモール勢がんばれ」「ティモール島に領土を持つ2つの国とは、東ティモールとどこでしょう?」等々。
東ティモールの発信を通じて初めて実感した優しくて群れない多様なコミケフアンとの触れ合い。そしてそんな各人が、全国から世界から自然に集って来る魅力を有し、集った各人を自然に優しく受け容れているこの日本の文化。私には未知との遭遇でした。
そしてそんなコミケフアンの各人の明日に、力いっぱいの声援を送りたくなりました。
「頑張れ、みんな!」
なおSNSの質問の答えは、「インドネシア」。ティモール島の西半分、いわゆる西ティモールは、インドネシアの東ヌサ・トゥンガラ州の一部です。
東ティモールは、2002年5月20日にインドネシアから独立を回復。今やインドネシアとは未来志向の親密な関係にあります。2002年3月から2004年6月まで、自衛隊PKO施設部隊が道路や橋の整備等を実施しました。現在人口は、岩手県ほどの国土に約120万人。国づくりの真っ只中にあります。
北原 巖男
(きたはらいわお)
中央大学。70歳。長野県伊那市高遠町出身。元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長
未知との遭遇 |