防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   987号 (2018年9月15日発行)
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国連アフリカ施設部隊早期展開プロジェクト
教官団が充実の帰国報告
 8月30日、陸上幕僚監部応接室で「国連アフリカ施設部隊早期展開プロジェクト(ARDEC)の一環として、ケニア国際平和支援訓練センターに派遣されていた陸上自衛官20名が小野塚貴之陸上幕僚副長(陸幕長代理)に対して帰国報告を行った。
 施行訓練を含めると6回目になる今回は、第4施設群(座間)を基幹とした派遣部隊(隊長・松居重樹2陸佐=4施群副群長)が、6月4日から8月24日まで現地にてガーナ国軍、シエラレオネ国軍及びナイジェリア国軍の施設要員に対して施設活動に必要な重機の操作や整備の教育を実施した。今回は初めてグレーダー等比較的難度の高い中級教育を実施した。
 隊員たちは日焼けした顔に充実感を滲ませながら「生徒の熱意を感じた」「言葉の壁は熱意とジェスチャーで乗り越えられた」「自衛隊の安全管理と時間管理について印象強く教えることができた」「休日は食事やサッカー等で交流を深めた」等、成果報告を行った。小野塚陸幕副長は「まずはゆっくり休んで、今回の経験を次の代に活かしてください。お疲れ様でした」と労いの言葉をかけた。
 これまで当教育を131名が修了し、そのうち63名がソマリアを中心に現場で従事しているという(今回教育修了者を除く)。

緊急登庁支援及び安否訓練を連続状況下で確認
<練馬駐屯地>
東部方面隊初
 練馬駐屯地業務隊(隊長・山口芳正1陸佐)は、8月24日から26日までの3日間、各種事態発生後を想定した訓練として、緊急登庁支援「子どもの面倒を見る施設」の開設・運営及び家族支援施策「安否確認」を一連の状況下で実施した。
 本訓練は、各種事態発生後に任務に赴く自衛隊員に対し、子どもを含む家族への後顧の憂いを最小限にし、災害派遣等に邁進させるための施策の実効性の向上を図ることを目的としており、連続状況下で実施するのは、東部方面隊では初の試みである。
 「子どもの面倒を見る施設」の開設・運営は、24日から25日にかけて実施し、この際、練馬駐屯地厚生センター内に子どもの面倒を見る施設として「ねりまキッズルーム」を開設した。
 練馬駐屯地所在4個部隊から、登録されている2歳から9歳までの子ども10名を、練馬駐屯地が独自で作成した「緊急登庁支援施策マニュアル」に基づき受け入れ、食事、入浴、就寝等の面倒を見て、これらの行動について検証した。
 受入当初は、緊張した様子の子どもも見られたが、面倒見隊員たちの親身なコミュニケーションにより徐々に笑顔を見せ始め、入浴、就寝も円滑に運営でき、最後には「帰りたくない」との声も聞かれ、施設に馴染ませる事が出来た。
 また、25日から26日にかけて、「指揮所訓練」及び「安否確認訓練」を実施して事態発生時における有機的な幕僚活動を実施し、必要な確認・調整及び点検業務について演練するとともに、部隊から家族の安否確認依頼を受けて、関係部外団体である「自衛隊家族会」と「隊友会」の担当者にこれを依頼し、実際にご自宅を訪問しての安否確認と、近傍の避難所への経路・現地確認を行い、関係部外団体、隊員家族及び練馬駐屯地業務隊の三者による安否確認手順について確認した。
 訓練の最後に実施した意見交換会では、安否確認を依頼した隊員から「有事の際に任務に赴く覚悟は出来ているが、家族の事が不安であった為、この様な施策は大変うれしい」という意見が出た。また実際に安否確認を行った関係部外団体員からは「昔から住んでいる町でも、年月を経て変わり少し迷ってしまう事がわかった。訓練に参加してよかった」と語った。
 訓練終了後に実施した検討会では、様々な視点から活発な意見が交わされるとともに、隊員家族からのアンケートによるご意見を得て、多大な成果を上げることができた。
 練馬駐屯地業務隊は、今後も部隊の即応性強化に寄与するため、真に役立つ緊急登庁支援体制及び家族支援体制の確立に向け、その実効性を高めていきたい。

ノーサイド
北原巖男
未知との遭遇

 質問です。
 「8月10日から12日まで東京ビッグサイトで開催。毎年夏と冬の2回実施され、若者や海外から沢山の皆さんが訪れます。今回、3日間の来場者数は53万人。そのイベントとは?」
 隣接する東京臨海広域防災公園では、「楽しく参加して高めよう防災意識」をキャッチフレーズに「有明防災フェア」が同時開催されました。自衛隊東京地方協力本部のブースでは、西日本豪雨の際の自衛隊による災害派遣活動の様子が展示されていました。
 駐日東ティモール民主共和国大使館も、主催者の一般社団法人DSC(Defense Forces Support Club)及び有限会社コミケットの協力のもと、初参加。自衛隊PKO・滋賀県の自治体から供与された6台の消防車・土砂崩れ・治水対策が手つかずの大きな川などの写真パネルを展示。また伝統織物タイスの展示・試着体験や有機栽培のカフェティモールの販売、東ティモール紹介パンフレットの配布等を行いました。
…冒頭の質問の答えは、「コミックマーケット」。略して「コミケ」。世界最大の同人誌即売会。本紙読者の皆さんの認知度はいかがでしょうか。ちなみに今回のは、「夏コミ」と言うんだそうです。
 このコミケ会場から有明防災フェア会場へは、コスプレのまま行き来できることから、アニメの世界から飛び出して来たありとあらゆる主人公や本物そっくりの各種制服姿(当人曰く「フェイクです」)の「コスプレイヤー」で溢れました。猛暑を吹き飛ばすエネルギッシュな明るさとクオリティの高いコスプレには感動を禁じえません。取り囲むカメラマンのなんと多いこと。
 そして東ティモールのブースを訪ねてくれた皆さん。異口同音に「去年は出ていませんでしたね。暑いですから気を付けてください」と声をかけてくれました。東ティモールについて矢継ぎ早に質問をされたり、女性のみならず沢山の男性がタイスの試着に挑戦、逞しい東ティモールの伝統衣装姿に変身していました。
 早速こんなSNSがアップされています。「無事東ティモールから帰ってきました!」「有明防災フェアの今回の目玉は、実は駐日東ティモール大使館ではなかろうか。2002年に独立を果たし、自衛隊のPKO参加もあって御縁はあれど、なかなか知る機会がなかった国。今回がフェア初参加とのこと。東ティモール産のコーヒーはボディと果実味のある酸が特徴的」「日本人の罪深さを知るために、知られていない事実を知るために、できれば行きたいんだよな…カンタ!ティモール東ティモール国とは何なのか?」「初手東ティモール勢がんばれ」「ティモール島に領土を持つ2つの国とは、東ティモールとどこでしょう?」等々。
 東ティモールの発信を通じて初めて実感した優しくて群れない多様なコミケフアンとの触れ合い。そしてそんな各人が、全国から世界から自然に集って来る魅力を有し、集った各人を自然に優しく受け容れているこの日本の文化。私には未知との遭遇でした。
 そしてそんなコミケフアンの各人の明日に、力いっぱいの声援を送りたくなりました。
 「頑張れ、みんな!」
 なおSNSの質問の答えは、「インドネシア」。ティモール島の西半分、いわゆる西ティモールは、インドネシアの東ヌサ・トゥンガラ州の一部です。
 東ティモールは、2002年5月20日にインドネシアから独立を回復。今やインドネシアとは未来志向の親密な関係にあります。2002年3月から2004年6月まで、自衛隊PKO施設部隊が道路や橋の整備等を実施しました。現在人口は、岩手県ほどの国土に約120万人。国づくりの真っ只中にあります。

北原 巖男
(きたはらいわお)
中央大学。70歳。長野県伊那市高遠町出身。元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長
未知との遭遇


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