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自衛隊ニュース   2013年6月15日号
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「いま南の海で起きていること」
福本出・海自幹校長が東京大学で講演

 海上自衛隊幹部学校長・福本出海将は5月18日、東京大学本郷キャンパスで「わが国周辺の海洋安全保障—いま南の海で起きていること—」と題して講演を行った。同講演は東京大学国家・安全保障研究会の招請に応じて東京大学五月祭のイベントの一環として行われたもの。学生のほか五月祭に訪れた一般の人々が聴講に詰めかけ、昨今のわが国周辺の安全保障に対する関心の高さが伺われた。福本校長は冒頭に、冷戦期から現在に至る海上自衛隊の任務の変遷、特に海外における国際平和協力活動等の海上自衛隊の活動について紹介した。その後、東アジアにおける日本周辺を取り巻く軍事情勢、海洋を巡る安全保障環境などについて、ユーモアを交えながらわかりやすく解説した。特に三戦(輿論戦・心理戦・法律戦)から読み解くことができる中国の海洋戦略の分析について話が及んだときには、聴講者の表情も一層引き締まり熱心に耳を傾けていた。
 講演終了後には様々な質問が寄せられた。特に「偶発的な衝突を回避する意味でも、相互理解には人事交流が大事だと思うが、中国人民解放軍と自衛隊間の交流は行われているのか」という質問に対し福本校長は「昨年は日本と中国・韓国の関係にこれまでにない摩擦が生じ修学旅行など民間交流もキャンセルが相次いだ。海上自衛隊幹部学校では厳しい二国間関係の中にあっても本学学生の韓国研修は予定どおり実施し、韓国海軍の積極的な支援を得ることができた。また、本校が主催した次世代海軍士官短期交流プログラムには中国海軍の大尉が参加し、帰国前に『来日前に比べ日本に関する印象は大きく変わった。来てよかった』と述べたのが印象的だった。軍当局間の交流は互いの信頼を醸成するために極めて大事だと認識しており、艦艇の相互訪問、OBを含む高官の相互訪問など、積極的に行われている。世の中には、軍人は戦争を好む輩のような偏見を抱く方もいるが、防衛駐在官として各国軍人と交流した経験からも軍人こそが最も平和を愛する人種だと付言しておきたい」と回答し、会場からは大きな拍手が寄せられた。


親子・兄弟が引継ぎ
海賊対処水上部隊14次・15次間で
「はまぎり」「すずなみ」

 第14次海賊対処派遣水上部隊「きりさめ」、「すずなみ」と第15次海賊対処派遣水上部隊「あけぼの」、「はまぎり」は5月4日、ジブチにおいて護衛任務の交代を行った。
 14次隊「すずなみ」と15次隊「はまぎり」はともに青森県大湊基地から派遣されており、1組の親子、2組の兄弟間においても任務の引継ぎが行われた。
 「すずなみ」経理員長で父親の成田斉継海曹長と「はまぎり」補給員で長男の成田大樹海士長は、ともに4分隊員として各艦の経理・補給・給養衛生面に関する勤務に携わり、護衛任務に当たる乗員全員がいつでも万全の体制で全力発揮ができるように父親から長男へ任務が引継がれた。また、「すずなみ」応急員で弟の小枝美徳海士長と「はまぎり」電機員で兄の小枝孝徳海士長はともに3分隊員として艦の推進力、電力、造水等に関する勤務に携わり、艦が万が一の浸水や火災の時、いち早く対処し、全能発揮の態勢が構築できるよう弟から兄へ任務の引継ぎが行われた。さらに「すずなみ」航空機体整備員で弟の富江雅人3海曹(臨時勤務)と「はまぎり」搭乗員(センサーマン)で兄の富江秀人3海曹はともに飛行科員として搭載HSの運用、整備に従事し、海賊の脅威に対し空から警戒監視に当たり、接近する海賊をいち早く発見、商船を海賊の脅威から守るよう弟から兄へ任務の引継ぎが行われた。
 それぞれ任務を引継いだ親子、兄弟は、共に護衛任務を完遂し無事に大湊で再会することを固く誓い、14次隊は帰国の途に、15次隊は護衛任務に就いた。
 今回の親子、兄弟は、それぞれが職種は違えど、同じ職域であり「こうも職種の適性が似るのか」と思われる任務の交代であった。


欧州未経験空港で訓練
特別輸送機《航空自衛隊》

 航空自衛隊は、航空支援集団司令部、特別航空輸送隊、航空幕僚監部が参加した特別輸送機による国外運航訓練を5月29〜6月1日に行った。ヨーロッパ方面未経験空港の飛行経路、航空交通管制の状況、駐機要領などを確認し国外運航能力の向上を図るための訓練で、スペイン南部のセビリア空港、同国北西部のサンティアゴ空港、英国・北アイルランドのベルファスト空港でそれぞれ実施した。


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