|
|
高村防衛大臣 着任訓示 |
|
このたび防衛大臣を拝命致しました高村正彦です。防衛大臣として、国の防衛という国家存立の基本にかかわる崇高な任務を担うこととなり、光栄に感じるとともに、その使命と責任の重みを痛感しております。我が国の平和と独立を守り、更には国際社会で我が国に求められている責任と役割を果たすため、全力を傾けていく所存であります。
防衛大臣着任にあたりまして、私の決意の一端を表明したいと思います。
今日の国際社会は、領土問題等の伝統的な国家間の関係から大量破壊兵器等の拡散や国際テロ等の新たな脅威や多様な事態に至るまで様々な課題に直面しており、防衛力に求められる役割も多様化しております。こうした状況下、国の安全を司る防衛省は、国家の未来を戦略的に考え、これらの脅威や我が国の平和と安全に影響を与える多様な事態に適切に対応していく必要があります。以下、防衛省の重点課題についての私の所信を申し述べます。
第一に、憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与える軍事大国にならないとの基本理念を堅持しつつ、弾道ミサイル防衛システムの整備など、新たな脅威や多様な事態に対応できる、多機能で弾力的な実効性のある防衛力を整備してまいりたいと思います。
第二に、様々な緊急事態への対応に万全を期してまいりたいと思います。実動部隊を抱える危機管理官庁としての防衛省・自衛隊は、テロや災害などの様々な事態において実効性ある活動を行っていく必要があります。
先般の新潟県中越沖地震における自衛隊の活動は、被災地の住民等から高く評価されました。防衛省・自衛隊に対する国民の期待と信頼に応え得るよう、万全の態勢を構築すべく務めてまいりたいと思います。
第三に、日米安全保障体制とこれを基調とする米国との緊密な関係を一層強化してまいりたいと考えます。
中でも在日米軍再編は、安全保障環境の変化に的確に対応し、在日米軍の抑止力を維持するとともに、基地が集中する沖縄県をはじめとする基地周辺住民の負担を我が国全体として軽減するために、是非とも日米合意どおりに早期に実現する必要があります。米軍再編特措法に基づく措置を適切に講じつつ、関係大臣と連携して、関係自治体・住民の理解と協力を得ながら、在日米軍再編の実現に万全を尽くしたいと思います。
また、新たな安全保障環境において日米両国が多様な課題に対処していくため、日米の「役割・任務・能力」に係る検討を推進して参りたいと思います。さらに、こうした日米の取組を基礎としつつ、豪州やインドといった価値観や問題意識を共有し得る国々との間でも、安全保障・防衛協力を進めていきたいと考えます。
第四に、我が国は、責任ある国際社会の一員として、国際平和協力活動に主体的、積極的に取り組んでまいりたいと思います。現在、自衛隊は、世界各地で、厳しい環境の下、国際平和協力活動を精力的に行っており、自衛隊の活動は現地の住民や政府のみならず、各国から高く評価されています。本年、国際平和協力活動が自衛隊の本来任務とされましたが、今後、防衛省としての国際貢献の在り方について検討して参りたいと考えます。
特に、次期国会ではテロ特措法の期限延長が控えております。国際社会による「テロとの闘い」は依然として継続しています。本法に基づく、海上自衛隊による給油活動等は、インド洋における海上阻止活動の不可欠の基盤となっています。我が国としては、国際社会の「テロとの闘い」に引き続き主体的、積極的に寄与するとの方針の下、本法を是非とも延長させる必要があります。
第五に、防衛省・自衛隊の情報保全体制の強化に取り組んでまいりたいと思います。国の防衛を司る組織として、厳格な情報管理が必要であるにもかかわらず、情報流出事案等が続発していることは大変遺憾であります。これでは、我が国の安全に重大な影響を与えるほか、同盟国からの信頼を確保することができません。国の防衛という任務を全うしていくため、情報保全体制の強化を進めてまいりたいと考えます。
防衛省・自衛隊の役割は増大し、国民の期待も高まっております。諸官においては、一人一人が、国民の安全と平和を担っているのだという任務の重要性とその責任を自覚し、高い士気と道徳心をもって、任務に邁進して頂きたいと思います。
私は、ここに、我が国の防衛に全身全霊で取り組むことを固く誓うとともに、諸官が各々に課せられた任務に、一丸となって取り組み、全うされることを希望し、私の着任の訓示と致します。 |
|
|