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自衛隊高級幹部が異動 2・3面
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51期421名、自衛隊幹部の道へ 防大卒業式
安倍首相「世界の平和と安定のために任務遂行を」
防衛省移行後、初の卒業生となった51期は帽子を投げ上げ、全身で感動に浸った
穏やかな春の日差しに恵まれ、桜の蕾も綻び始めた3月18日、防衛大学校(神奈川県横須賀市)の本科51期学生、理工学研究科前期課程第44期学生、理工学研究科後期課程第4期学生及び総合安全保障研究科第9期学生の卒業式が、自衛隊最高指揮官の安倍晋三首相を迎え、同校記念講堂で行われた。
午前10時、壇上に久間章生防衛大臣、小泉純一郎前首相をはじめ防衛省・自衛隊の高級幹部、衆参国会議員、各国駐在武官、来賓多数が陪席する中、安倍首相が臨場、防大儀仗隊による栄誉礼を受けた。全員で国歌を斉唱したあと、五百籏頭眞(いおきべ・まこと)校長が本科51期学生421名(うち女子30、留学生10)一人ひとりと各研究科代表に卒業証書を授与した。
学位記授与に続いて、五百籏頭校長が「防衛省移行後、初めての卒業生となり、この国の21世紀の多難な航海の中で新たなる活力をもって尽力するよう」、また「創立期の先輩の作詞した学生歌『朝に勇知を磨き、夕に平和を祈る、礎ここに築かん、あらたなる日の本のため』の言葉のとおり、諸君がこれからの生涯を通じて健闘することを祈る」と式辞を述べた。次いで、安倍首相が訓示の中でチャーチルの回顧録を引用しながら「思索し、決断する幹部であるよう」強調、「今後とも、努力を惜しまず文武両道、自ら研鑚を積み、世界の平和と安定という崇高な使命のために任務を遂行するよう」要望した。また、久間防衛大臣が、防衛省・自衛隊を取り巻く国内外の今日の状況について触れ、「前途洋洋たる新進気鋭の諸君が自衛隊の第一線に加わることを心から歓迎し、大きな期待を抱いている」と訓示した。来賓を代表して山崎正和阪大名誉教授が「一層のノーブレス・オブリージュの精神を養い、武人の矜持(きようじ)、騎士道の精華を一身に帯びて今日からの日々を送るよう願うとともに武運の長久と日々の充実の久しからんことを祈ります」と祝辞を述べたあと、五百籏頭校長に対して卒業生代表が力強く答辞。最後に、学生全員で声高らかに学生歌を斉唱し卒業式を終えた。
引き続き、一般幹部候補生任命・宣誓が行われ、森勉陸幕長が陸上要員198名(うち女子10)、吉川榮治海幕長が海上要員99名(同9)、吉田正空幕長が航空要員103名(同9)をそれぞれ任命、陸海空各代表が力強く宣誓したあと、壇上の安倍首相に宣誓書を託し、固く握手を交わした。式典終了後、恒例の帽子投げが行われ、卒業生一同、全身で喜びを表現していた。
次いで、同校陸上競技場に場所を移して、久間防衛大臣を観閲官に迎え、観閲式が行われた。来賓や卒業生、家族、関係者ら多数が見守る中、久間防衛大臣の巡閲に続いて、防大OBパイロットによる祝賀飛行や在校生の観閲行進が順次整斉と行われ、省移行後、初の卒業生となった51期生の前途を祝った。
(田中宏範、金澤修治)
(写真=防大OBパイロットの操縦する航空部隊が晴れ渡った小原台上空を祝賀飛行)
ゴラン派遣隊員から
防大51期卒業生へ
防大51期卒業生に対して、現在、ゴラン高原で任務遂行中の第23次ゴラン高原派遣輸送隊長の豊田龍二3陸佐(38期)と、UNDOF(国連兵力引き離し監視隊)司令部副広報幕僚の篠田英一郎1陸尉(43期)の両先輩からメッセージが寄せられましたのでご紹介します。
ゴラン派遣輸送隊長 豊田 龍二
防大51期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。小原台での修練のときを終え、今まさに自衛官として新たな道を進もうとしている皆さんは意欲に満ち溢れた表情をしていることでしょう。
私は、第23次ゴラン高原派遣輸送隊長の豊田3佐です。日本から遠く離れた中東のゴラン高原で42名の隊員とともに、国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)の中で、自衛隊の代表として、中東の国際平和に少しでも貢献できるように勤務しているところです。UNDOFでは、主にオーストリア、ポーランド、インド、スロバキア等の国々から来た軍人たちと協同して活動しています。日本隊は気候も風土も文化も違うこの地で、UNDOF内の兵站大隊の一部として、生活物資等の輸送、道路整備、故障車の回収、除雪等を主要な任務としています。また、陸・海・空の各自衛隊から選抜された隊員で構成されていますが、各隊員が「任務完遂」という目標の下に一致団結しており、統合運用がうまく機能しているといえます。
日本隊がUNDOFに参加するようになって、現在12年目を迎えています。最近では日本でもUNDOFの活動について報道されることも少なくなり、あまり目立たなくなっていますが、日本隊は黙々とこの地で活動を続けてきました。私自身、こちらで任務を開始してからまだ1ヶ月ほどですが、活動しているとあちこちで「日本隊は他の部隊と比べても士気が高く、規律も守られ、仕事も一所懸命やってくれる」という評価を耳にします。これは、第1次隊からこれまでの先輩方が真摯に業務に取り組んできた証であると思いますが、話をよく聞いてみると、決して特別なことをしてきたわけではないと感じました。国内で自衛官として訓練してきた成果をそのままこの地で発揮していることが、他国や地元の人々から高い評価を得ているようです。自衛隊がこれまで実施してきた教育訓練の質の高さを改めて思い知らされている毎日です。
私自身が防大の学生の頃、自衛隊の海外への派遣が開始され、カンボジアやモザンビークへのPKOに自衛隊が参加するというニュースを聞き、任官したらいつかは自分も参加してみたいなという漠然とした思いを抱いたものでした。しかしながら、10数年のときが流れ、皆さんも承知のとおり時代は大きく変化しました。海外での自衛隊の活動が本来任務に認められ、自衛隊は世界を舞台に活躍することが国民からも求められる時代になったのです。
卒業生の皆様が4年間で身につけた知識や技能、経験等は、卒業後幹部候補生学校を経て配置されるそれぞれの部隊で、必ず役に立つはずです。そして、皆様の着隊を部隊の仲間は心待ちにしています。皆様の今後の活躍の場は、国内外あらゆるところに存在します。防大で学んだ幅広い視野と知識を卒業後もさらに養い、部隊で活躍されますことを、ゴラン高原の地から、ここで国際貢献のために汗を流している隊員たちとともに期待しております。
失敗を恐れず、積極的に挑戦を
篠田英一郎1尉
防衛大学校第51期生の皆さん、御卒業おめでとうございます。
今、私は、ゴラン高原に展開しているUNDOF(国連兵力引き離し監視隊)の司令部で副広報幕僚として勤務しています。UNDOFには、日本の他、インド、オーストリア、スロバキア、ポーランドなどから軍人及び文民が派遣されており、中東の安定のために彼らと一緒に勤務しています。
皆さんは、小原台での4年間の修学を通じ、多くの知識と技能を身につけ、様々な経験を積まれたことと思います。これから陸・海・空の各幹部候補生学校を経て部隊等に赴任されますが、当初は目新しい事だらけで不安を感じるかも知れません。しかしながら、それは諸先輩達も過ごしてきた道です。どうか失敗を恐れず、元気溌剌として様々な事に積極的に挑戦してもらいたいと思います。初級幹部時代における経験こそが、今後の自衛官勤務における大きな基盤となります。
皆さんの活躍の場は、国内・国外を問わず幅広くあります。近い将来、皆さんと一緒に勤務できることを楽しみにしています。
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