東北方面警務隊(隊長・清野純一1陸佐)は7月5日、仙台駐屯地に東北方面隊区内の警務科職種部隊(第305保安中隊、第6・9師団保安警務隊)の隊員を一同に会して、平成19年度東北方面警務科職種部隊合同競技会を開催した。 この競技会は、警務科職種部隊隊員の鑑識能力の向上及び保安部隊隊員と警務隊隊員の警務科職種隊員としての意識の一元化を目的として、東北方面総監部、第6及び第9師団の全面的な協力を得て実現したもので、競技内容は、仙台チーム、青森チーム及び神町チーム(各チーム8名)の3個チームを編成し、鑑識技術について競うものだった。各チームは、警務隊と保安部隊の隊員が混合で編成されており、各隊員は警務と保安にこだわることなく、チームの一員として一心同体となって各検体(鑑識活動の対象)に取り組んでいた。
駐屯地体育館に設けられた競技会場は「指紋」「足跡」「総合鑑識」のブースと「写真撮影」エリアに区分され、各会場で真剣な鑑識活動が繰り広げられた。各検体からの指紋及び足跡の採取はそれぞれ最適な採取方法が異なるうえ、失敗が許されない一発勝負であることに加えて、写真撮影の回数も1回に制限されたためか、陸奥の涼しい気候にもかかわらず、各選手の額には汗がにじみ出ていた。「総合鑑識」は、木片に付着した血痕・毛髪、灰皿に残った煙草の吸い殻を現示して、最近の鑑識技術の主流となっているDNA鑑定に資するための証拠の採集技術を競うものだった。
会場においては応援者の声援や鳴り物による応援は一切禁止されて、一般的な自衛隊の競技会とは一風異なる粛々かつ緊張した雰囲気の中、選手達は2時間の競技時間を最大に活用して、試行錯誤しながらも、捜査実務を通じて、また参考資料などから得た知識をふんだんに発揮して慎重かつ懸命に採証活動を行っていた。
競技会の結果、甲乙つけがたい接戦を制し、優勝は「神町チーム」、第2位は「青森チーム」となった。また、競技が終了した日に実施された「懇親会」においては、警務隊の隊員と保安部隊の隊員が終始、練成訓練期間の苦労話を語り合い、激励し合うなど、非常にうちとけ合い、今後のさらなる協同の強化や団結を誓い合っており、競技会の実施目的は十分に達成できた。
なお、競技会には宮城県警察本部から鑑識課員を審査員として招き、今後の更なる鑑識能力向上に資する助言があったほか、東北管区警察局、宮城県警察、海上保安庁第2管区海上保安本部及び宮城海上保安部から多数の関係者を招待し、司法警察職員相互の理解を深めるとともに信頼を醸成した。
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