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   2007年6月15日号
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9月、防衛施設庁を本省に統合
新体制目指しスタート
 6月1日、参議院本会議で、防衛施設庁の廃止、本省への統合などを内容とする防衛省設置法改正法案が可決・成立した。これを受けて、同4日、北原巖男防衛施設庁長官がD棟第1会議室で施設庁職員に対して訓示した。(全文は次のとおり)
(写真=「一致団結して頑張っていきましょう」と訓示する北原長官。)
 皆さんおはようございます。
 ご承知のように去る6月1日、参議院本会議におきまして、防衛省設置法並びに自衛隊法の一部を改正する法案が可決・成立致しました。ちなみに、6月1日、午前10時12分ということですが、投票総数188票のうち、賛成が175票、反対13票となっております。圧倒的多数をもちまして、法案は可決・成立した訳であります。申すまでもなく、この法案の最大の内容となっておりますのは、我が防衛施設庁を廃止し、防衛本省に統合することであります。
 昭和37年から今日まで、45年に及ぶ長きの間、諸君の先輩諸兄を始め、諸君自身、この国のため、国民のため、我が国の安全保障、或いは防衛政策を実行あらしめるため、また推進するために、本庁を始め、北海道から九州、沖縄に至る、全国各地にあって、各々一つ一つ違う背景、事情の下で懸命にはいつくばって、額に汗をし、胸を痛めながらも、この国のため、国民のため、関係自治体、或いは米軍を含めて、皆さんの理解を得るために頑張ってこられました。今なお、毎日頑張っておられます。
 そうした中におきまして、諸君は、最後の防衛施設庁職員となります。同時に、9月1日からスタートする新たな体制へ向けて、その体制を本当にしっかりとスタートできるように準備をすることができる唯一の諸君であります。最後のとりまとめをしっかりと行い、そして同時に新たなスタートに向けて準備を行う。その両方を同時にこの3ヶ月やっていかなければなりません。両方を一緒に行っていくことは、諸君を除いて、これまで諸君の先輩は誰も経験したことはございません。
 このことは、防衛施設行政が、これから益々防衛省が所掌する防衛行政の中で重要性を増していくということを示すものであります。それは、皆さん一人一人が現に従事している仕事を通じて一番感じておられることと思います。私達は、こうした大きな歴史の節目に立っている訳でありますが、新たな脅威ですとか、或いは多様な事態にしっかり実効的に対応していくといった観点に立ち、そして勿論私共が生起してしまいました談合事件、これに対するしっかりとした反省と取り組みは引き続きやっていかなければなりませんけれども、そうした中で、地元の皆さんの理解を頂きながら防衛政策や、そしてまたこの瞬間も動いている防衛省・自衛隊の運用などのニーズもしっかりと捉えて、一層迅速かつ適切に対応できるような防衛行政、また防衛施設行政にしていかなければならないと思っているところであります。
 その典型的な例は、米軍再編でありましょう。防衛施設庁が果たす役割というものがいかに重要か、そして全国各地の住民の皆さんがいかに諸君を頼りにしてるか、国の行政の中において、防衛施設庁の職員、防衛施設庁をいかに信頼し、頼りにしてるか、各々肌身で感じておられることと思います。これから、益々、色々な面で、事態の多様化に適切に対応していく必要があります。そうした中で、どうか皆さんには、先輩諸兄が築いてきた本当に暖かい皮膚感覚での、体温を感じる施設行政に引き続き取り組んで行って頂きたい。そのように強く思っているところです。
 法律が通りましたので、これから我々は新たな体制を築いて行きます。組織は人であります。諸君一人一人には、しっかりと、新しい体制を国民のものとして作っていく必要があります。防衛施設庁は本省に統合され、そして現地では今各地にある防衛施設局或いは支局が、地方防衛局になります。地方防衛局が担う業務については、各々ご承知とは思いますけれども、時間を頂き、ここでもう一度3100名諸君と気持ちを一つにしたいと思います。そういった観点から申し上げたいと思います。
 地方防衛局が担う事務は、大きく分けて3つに分けることができると思います。
 その一つは、我が防衛施設庁の地方支分部局として、各防衛施設局がこれまで担って来ました地方における施設行政に係る事務そのものでございます。関係自治体等との調整や或いは建設工事の発注などが含まれます。これらの業務は、漏れなく、全て新しい地方防衛局に引き継がれます。
 それから2番目でありますが、現在装備本部の地方機関、これには支部等がございますが、その支部等が担っております業務、即ち装備品等の原価監査等につきましても、今後、統合の後は、私共の地方防衛局が担当することになります。
 そして特に3点目でございます。防衛省の所掌事務を円滑に、そして効果的に実施するため、防衛政策に係る地方との各種の調整や協議などを行い、地方公共団体や地域住民の皆さんの理解、そして協力に関する事務を分掌することとしております。これは、例えば、米軍再編や多様な事態への対処への実効的な対応などの様々な政策課題に適切に対応するには、地方公共団体など地方との緊密な関係を構築していくことが防衛省にとって極めて重要であるとの考え方に立つものであります。
 私が今述べました3つを、今後私共の地方防衛局が担うことになります。これによりまして、防衛省の諸施策の企画或いは立案の過程で必要となる地方における全ての利害調整ですとか、或いは、意見集約などの事務が一層効率的に行うことができると、そういう考え方に基づくものであります。言い換えれば、それだけ大きい責任を新たに負うことになる訳であります。
 地方防衛局は、行政機関としての防衛省が行う事務全般につきまして、地方におけるその所要の実施機能を担う、そして地方における防衛行政の総合的な拠点にするんだといった大改革であります。 人ごとではございません。我々3100名、全国各地にいる防衛施設庁の職員諸君、大変な責任が我々一人一人にかかってまいります。名前が、防衛施設局の「施設」という言葉が単に取れるものなどといったことでは断じてないわけであります。
 今、私が申し上げましたように、9月1日以降、各局は大変な責任・使命を持つことになります。明日からは、各防衛施設局に本庁の地引次長そして冨永技術審議官が各々手分けをしてお伺いし、各施設局の諸君と親しくお話をし、考え方を共有して、9月1日に向けて、考え得る限りの準備をすることと致しております。
 諸君、今こそ、我々今この防衛施設庁に在る仲間は、共通の認識にたって、決意を持って、真に国民の負託に応えていく、それが我々の使命であります。組織は人であり、一人一人がその気持ちで、各々の持ち場持ち場で頑張って頂けなければ、国民の負託を受けたものとして、かつて誰もが経験したことのない、防衛施設庁始まって以来の事態にしっかりと取り組んで行く、問題解決をして行くことはできません。私も皆さんと共に、皆さんと一体となって、この3ヶ月間、全力で邁進してまいりたいと思います。
 新しい体制にしっかりとバトンタッチできるのは、諸君、我々一人一人であります。この防衛省の中にあって、それを可能とするのは、本庁並びに全国各地にいる3100名をおいて他にはありません。
 これから益々防衛施設行政は重要になってまいります。私達はこの防衛省の中にあって、地域住民の皆さん、或いは、地域住民のリーダーの皆さんたちと一番密接に接触する仕事をしています。皆さんには、これからも基地とか駐屯地とか演習場とか、そういった防衛施設等があることによって周辺の皆さんが受けている痛み等を、一人一人が皮膚感覚で感じるように努めながら、100%地域の人と同じように感じることはできないかもしれませんが、できないという前提にたつのではなく、少しでもその負担というものを皮膚で感じながら、我が国の安全保障施策、防衛施策の推進に努めていってもらいたいと思います。
 皆さんは国と住民の皆様の間に入って本当にご苦労をされています。しかし、地域住民の皆さんのお気持ちと国策の遂行とのぎりぎりの両立は可能であると信じております。一刀両断ではなく、できる限りの、皮膚感覚での誠意ある対応に今後共組織を挙げて取り組んでいきたいと思います。今も皆さんは頑張っていらっしゃいますが、引き続き大変だと思いますけれども、是非頑張って頂きたいと思います。
 そうした中で、「またか」と言われるかもしれませんが、我が防衛施設庁が生起した談合事件につきましては、どうか皆さん一人一人が、この事件によって失墜をしてしまいました国民の皆さんの信頼を回復するため、持ち場持ち場で全力を尽して頂きたいと思っています。
 何でもそうですが、築いてきた信頼というものは、あることによって、あっという間に瓦解を致します。それを再構築し、再び信頼を得ていくことは容易なことではございません。しかし、不可能ではありません。それができるのは、今ここに在る防衛施設庁職員一人一人であります。地味ではありますけれども、しかし確実な方法は、諸君一人一人の懸命な努力を通じて、国民の皆さんが「防衛施設庁には、あんたみたいなのがいるのか。しっかりやってくれよ。」ということであります。そうした積み重ねが大事だと思っております。一人では決して出来ません。100人でもできません。3100名が一体となってこの問題に取り組んでこそ可能になります。そのように思っております。
 先程申しました、防衛二法が成立する過程で、衆議院安全保障委員会において、また参議院外交防衛委員会において各々附帯決議が行われております。その内容については、私から皆さんに各々の時点でメールを送っておりますので御覧になっていると思います。衆議院安全保障委員会と参議院外交防衛委員会では、若干表現は違いますが、ほぼ同旨の5つの内容の附帯決議が行われています。その1番目、2番目は全て我が防衛施設庁にかかるものであります。 衆議院安全保障委員会の決議のうち、その2つを読み上げます。どうか皆さん「またか」という気持ちではなくて、この法案の採択の時に、またこういう内容の附帯決議がその1番目と2番目に置かれたという重さを一人一人が自分のものとして感じて頂きたいと思います。そして皆さん一人一人が各々の持ち場において、何かの時にはこれを思い出し、頑張って頂きたいと思います。
 その1、「防衛施設庁は廃止し、改編された防衛本省に同庁の機能を統合するに当たっては、入札・談合事件等の反省と教訓、国会における議論を充分に踏まえ、業務のより一層の合理化・効率化を図り施設行政に対する国民の理解が得られるよう透明性の確保に努めること。」これが決議の第1点であります。
 第2点、「施設行政にかかる内部部局の企画立案機能の強化に当たっては、防衛政策と防衛施設行政の密接な連携を図るとともに、地方防衛局が行う施設行政については、地域の実情に即したものとなるよう配慮し必要な情報の開示に努めること。」
 このように決議されています。どうか皆さん、一人一人、改めて肝に命じて、そしてしっかりと前を向いて進んで行こうではありませんか。
 防衛施設行政の将来は今ここに在る皆さん、3100名の皆さんの手にあります。そして9月1日の統合に向けて、今、懸命に検討が行われ、準備が行われておりますので、皆さんには、受け身ではなく、主体的に、積極的に皆さんの考え方、経験等を反映し、そして9月1日を迎えるように準備していって頂きたいと思います。決して受け身ではなく、積極的にやっていこうではありませんか。
 去る4月2日、私は皆さんに、新しい年度に当たりまして、挨拶をさせて頂きました。その際にも、久間防衛大臣から「防衛施設庁は防衛本省と一体となるけれども、その形式の如何を問わず、防衛施設庁の諸君にはこれまで一生懸命取り組み進めてきた防衛施設行政に誇りと信頼を持ってこれからも着実に進めていってほしい」というメッセージを頂き、皆さんにご披露させて頂きました。
 本日、6月1日の法律成立に際して、皆さんにお話をすることについて、改めて久間大臣に申し上げましたところ、大臣からは「今からがスタートであるから、しっかり施設庁職員には頑張ってもらいたいと自分が言っていたと伝えてくれ」との言葉を賜ってきました。皆さんにお伝えします。
 今からがスタートであります。だからこそ施設庁のみんな頑張ってくれと防衛大臣はおっしゃっておられます。
 我が防衛施設庁は9月1日をもって廃止をし、そして新たな体制にスタート致します。いたずらに過去を追うことなく、また未来を思い煩うことなく、これまでの経験をしっかりと学び、そして新たな体制に向けて一致団結して頑張って行きましょう。
 今、防衛施設庁に在る3100名一人一人は、今こそ防衛施設庁マン、防衛施設庁ウーマンとしての真価を発揮するときだと思います。
 その日をしっかりと迎えるため、一人一人がしっかりと前を向いて頑張っていこうではありませんか。我々は常に一体となって、この国のため、国民のため、厳正かつ公正な防衛施設行政の推進に遭進していこうではありませんか。
 以上です。

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