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自衛隊ニュース   1116号 (2024年2月1日発行)
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機略縦横(69)
第7師団最先任上級曹長 准陸尉 向井 努
感 謝

 ありがとう。
 心の中で思っていても、
なかなか言葉にして伝える事は、簡単な様で勇気のいる事だと思います。
 自衛隊生活に限らず、社会で生活していく中において、毎日1回はその様な気持ちを伝える場面が必ずあると思います。
 陸曹になって10年も経てば、そこそこの実力が身に付き、経験を重ねれば重ねるほど、周りへの感謝と謙虚な気持ちをもって、取り組まなければなりません。
 部隊は「人と人との繋がり」です。お互いの信頼関係を高めるには謙虚さがない
と人は集まってきません。
 謙虚さは今からでも身に付けることができます。相手を祝う心と感謝の気持ちは、言葉にして伝えると本当に気持ちの良いものです。
 「ありがとう」「おめでとう」の声が行き交うことで、思いやりのある職場環境を作っていってほしいものです。
 自衛隊生活37年、自衛官として残り僅かでありますが、これまでのたくさんの出会いと上司・同僚、家族に感謝、ありがとう!

雪月花
 再造林という言葉が近頃よく聞かれるようになった。50年60年昔に植えた樹木が伐採され植林放棄地になりかかっている、この伐採した跡地に新しい苗木を植えようとする、大袈裟に言えば国土保護活動である。先の戦争で伐採され「まるまる坊主のはげ山はいつでもみんなの笑いもの」と歌われたはげ山に植え付けたスギやヒノキなどは、今や見事な美林に成長して伐採の手が入るのを待っている。数年前に起きたウッドショックで木材が高騰している状況もあり、中国や米国などへ40年50年物の輸出も増えているようだ。
 筆者も中学生の時、祖父に連れられて急斜面の山肌にスギやヒノキを植えたことを思い出す。先日この山を見に行ったがしっかりと根を張り枝も生き生きとしていた。あれから何年も枝打ちをしたり下草も刈る作業も行いながら60年が経過している。これ以上放っておくと古木になり立ち枯れが増え、また大きくなりすぎると価値が下がるので山主は早く処分をしたいのだ。60年前、筆者の通った高校では東京ドーム20個分ほどのとてつもなく広い山林を購入し全校生徒がヒノキやスギの苗を植えた、それが今ちょうど切り出し時期になっており連日トラックで搬出されている。だが切り出した跡地への対応はまだ聞かされていない、切りっぱなしではまた「まるまる坊主のはげ山」になるのではないかと心配になる。
 地方によっては再造林率70%を掲げる自治体もある。その手段として山林事業者以外の民間企業への呼びかけを行い、1ヘクタールあたり10万円を支援したり草刈り機やヘルメットなど資機材購入費の半額を補助している。植樹と伐採また植樹のローテーションがかみ合わさることが理想だが。

第1回統幕最先任等会同
全国から61名が参加
活発な意見交換行われる
 年が明けて間もない令和6年1月15日と16日、防衛省にある統幕第2大会議室において、全国各地から最先任等及び付、業務陸曹等を含む合計61名が参加して「統幕最先任等会同」が開催された。
 初日の冒頭は、吉田統幕長の「准曹のリーダーたちへ」と題して訓話があった。次いで各幕防衛部による陸自・海自・空自に関する講義があり、意見交換会へと流れて行った。
 2日目は、統幕人事育成班長により「准曹隊員の統合教育目標等」について発表及び意見聴取があった。次いで、村脇正伸陸自最先任上級曹長、北口武史海自先任伍長、高着弘康空自准曹士先任による発表。人事制度について陸海空の違いを認識するためテーマを「准曹士隊員経歴管理基準について」とした。
 やはりそれぞれ興味があるのか、質疑応答がとても活発で、さすがは准曹のリーダーたちである。今回は能登半島地震への災害派遣のため陸自中部方面隊最先任上級曹長と海自舞鶴地方隊先任伍長の参加は叶わなかったが、空自中部航空方面隊准曹士先任は、参加者達に輪島で被災しながらも救助活動等に日夜励んでいる隊員の実情を伝えるため、中空司令官に許可を得て本会同に参加した。参加者は、「改めて統合の重要性を感じた」「いい機会をもらえた。今後も陸海空一緒に進んでいきたい」「震災で頑張っている隊員の実情を聞けてよかった」などと、今後活用できる事項を多く持ち、部隊に普及するべく、それぞれの勤務地へ帰隊した。

防衛医科大学校病院DMAT
(災害派遣医療チーム)を派遣
 元日の北陸地方を襲った「令和6年能登半島地震」。余震が相次ぎ、今なお困難な状況が続いている中、防衛医大病院では、埼玉県知事からの要請に基づき、防衛医科大学校病院DMAT(災害派遣医療チーム)を編成し、派遣した。
 DMATとは、大地震及び航空機・列車事故などの災害時に被災者の生命を守るため、被災地に迅速に駆けつけ、救命治療を行うための専門的な訓練を受けた医療チームでのことである。
 今回の派遣にあって、防医大病院DMATは2チームが編成され、各チーム医師1名、看護師2名及び業務調整員1名の4名とし、2チーム合計8名で構成し、1月21日から同月23日まで(現地活動期間)を第1陣が、1月24日から同月26日まで(同)を第2陣が、それぞれ派遣された。
 第1陣は1月20日の早朝7時半頃に、第2陣は3日後の同月23日のほぼ同時刻に、防医大病院を出発した。それぞれの出発時には、現地での活躍と無事の帰院を祈念し、派遣隊員の家族や医大教職員による派遣隊の見送りを実施した。
 現地に到着した防医大病院DMATは、能登中部保健福祉センター(石川県七尾市)内に設置された能登中部保健医療福祉調整本部を活動拠点として、主に七尾市内や志賀町内の避難所・福祉施設の環境評価、避難者の健康評価等の実施や、患者搬送調整を指示する調整本部の補佐業務を行うなどして、被災地での保健衛生や医療活動に貢献した。

NATO本部で活躍 派遣隊員が帰国報告
 令和3年11月から約2年間、北大西洋条約機構(NATO)本部の軍事幕僚部・協調的安全保障局に派遣されていた冨永麻美2陸佐が、1月19日に木原稔防衛大臣へ帰国報告を行った。本派遣は幅広い分野での協力を目的とした「日・NATO国別パートナーシップ協力計画」の一環であり、冨永2佐は政策計画課国際機関/NGO協力班で、NATOの各種計画の立案と実行に関する業務に従事した。NATO本部への自衛官の派遣は4人目、協調的安全保障局へは初めてであった。昨年11月からは、同局で五十嵐尚美2佐が活躍中だ。
 ※NATO本部の軍事幕僚部・協調的安全保障局政策計画課国際機関/NGO協力班‥NATOと国連、アフリカ連合、欧州安全保障協力機構、NGO等との協力案件の調整が主業務。本部はベルギーの首都ブリュッセル

ソロモン諸島に対して
不発弾処理の能力構築支援
 1月23日から31日まで、自衛隊はソロモン諸島で能力構築支援を行う。陸上自衛隊武器学校教官4名と防衛政策局インド太平洋地域参事官付1名を首都ホニアラに派遣、ソロモン国家警察不発弾処理部隊8名と、旧日本軍弾種に関する知見や一般市民への啓蒙方法に関する知見の共有を行う。国家防衛戦略の中で、太平洋島嶼国との能力構築支援について、軍以外の沿岸警備隊等も対象の検討とする、とされており、今回のソロモン諸島が個別の国としてはその初めての事例となる。
 ガダルカナルの戦いから80年以上経過した今でも、100発以上と言われる不発弾が残存するソロモン諸島。暴発事故による一般市民の犠牲も絶えない。ソガバレ首相等から支援要望を受け、自衛隊は昨年2月から現地調査を実施していた。これまで豪軍が処理部隊の要員養成を行っており、今後は豪軍とも調整をしながら支援を行っていく。
 1月19日、派遣団が鬼木誠防衛副大臣に対して出国報告を実施。鬼木副大臣は「歴史的にも深い関係を持つ重要なパートナーであるソロモン諸島の友人に対し、きめ細やかで親身なサポートをしてくれることを期待します」と激励した。

第15次UNMISS司令部要員
陸幕長に対して出国報告
 1月17日、第15次南スーダン共和国ミッション(UNMISS)司令部要員として派遣される、吉森雅哉3陸佐(兵站幕僚要員)と鈴木若菜1陸尉(航空運用幕僚要員)が、陸幕応接室で森下泰臣陸上幕僚長に対して出国報告を行った。
 吉森3佐は「日本の代表として、日本人の特徴であるその緻密さ・精密さを発揮するとともに、同僚の日本人、他国の方々と連携して任務を完遂できるよう頑張っていきたい」、鈴木1尉は「海外勤務において、日本人としてどのような場面においても恥じることなく堂々と任務に邁進していきたい」とそれぞれ意気込みを語った。
 森下陸幕長は、「本任務は、国連に協力する事業としては大きな柱のひとつで責任は重い。情勢がいつ変わるかわからない状況での任務は非常に大変だとは思うが、しっかりと成果を上げてきてほしい。頼むぞ」と送り出した。
 吉森3佐は各国部隊の補給を管理・監督する業務を、鈴木1尉は航空輸送の計画作成や運行当直業務を首都ジュバの司令部で行う。派遣期間は約1年を予定。兵站、航空運用幕僚以外にも情報、施設幕僚各1名が派遣されている。

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