防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1039号 (2020年11月15日発行)
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読史随感
神田淳
<第65回>

偉大な弘法大師空海

 弘法大師空海(774-835)は、昔より「お大師さん」として日本の庶民に親しまれ、信仰されてきた平安時代の高僧である。日本の仏教は一般的に鎌倉時代になって法然、親鸞、道元、日蓮などによって仏教として成熟し(鎌倉新仏教)、庶民に広まったとされ、それ以前の仏教は鎮護国家思想としてあまり高く評価されずにきた。
 しかし私は、平安時代の弘法大師空海こそ釈尊以来仏教史に出現した世界的な巨人で、日本仏教の到達した最高の人であったと思う。
 空海は日本真言宗の開祖であるが、空海の偉大さは一宗派の開祖にとどまらない。釈尊の始めた仏教は発展して数百年後に大乗仏教を生んだが、インドにおける大乗仏教の最後の発展形態が密教であり、空海は密教の完成者であった。
 空海の教えの中心は、「即身成仏」思想とその実践体系にある。即身成仏とは親からもらった身体のままで仏になることである。仏になるということは、「さと(覚)る」ということ。「覚り」を得て煩悩、苦しみから解脱する教えが仏教であるが、覚者となった釈尊のあまりの偉大さゆえ、凡夫が覚りを得るには無限の時間の修行を要し、生きているうちに覚者になるのは事実上不可能との考えが、密教以前の大乗仏教で支配的となっていた。これに対し、密教では誰でも生きている身体のまま速やかに覚者(仏)になれると説き、その実践方法を述べている。
 空海は、人は三密業によって即身成仏するという。三密業とは、身密(身体の活動)、語密(言葉の活動)および意密(精神の活動)である。実践者は、身密、語密、及び意密を大日如来(仏)になったように実践する。すなわち、手に印契を結び、口に真言を唱え、仏と同じように瞑想すると、大日如来と自己との間で加持が働き、成仏する。加持は、大日如来の慈悲と自己の信心との共鳴である。
 文藝春秋社の創始者で作家の菊池寛は言う。「日本の精神界の偉人として、また故国讃岐の大先覚者としての弘法大師の事績に親しんでいるうちに、だんだんその教理方面にまで心が引き入れられてきた。その教理の骨格をなす即身成仏ということばほど、大きな自尊心を人間に与えるものはあるまいと思う。文芸も宗教も科学も、一切がここに落ちつくような気がする。浄土教では極楽に行ってから成仏すると教えるそうだが、現世で成仏する方が、我々には意義深い。この即身成仏思想は、仏教を最も偉大な宗教にしている。その意味で弘法大師の教義は実に雄大だと思う」。
 空海の密教思想は、遠い平安時代の昔より、現在に至る日本人の宗教意識に大きな影響を与えてきた。密教では、現実世界(自然)は宇宙仏たる大日如来を象徴するものとして聖化される。宇宙は大日如来の身体であり、自然は大日如来の聖なる生命の充満する世界である。こうした密教思想が、自然を生命にあふれる世界と見る日本人の意識を育んできた。
 空海は万能の天才であった。空海の衆生済度活動は宗教にとどまらず、四国満濃池の築堤、庶民のための最初の学校である綜芸種智院の創設などに及んでいる。
 弘法大師空海は日本文化の恩人であり、日本の誇りである。空海の思想と事績は我々を勇気づけ、我々に限りない可能性があることを教えてくれる。国力低下の懸念される令和の日本に希望と力を与えてくれる。
(令和2年11月15日)

神田 淳(かんだすなお)
 高知工科大学客員教授著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』などがある。


防衛省・自衛隊 地方協力本部
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応急給食訓練
〜有事の給食活動〜
<築城>
 空自第8航空団(団司令・大嶋善勝空将補)は10月1日、有事の給食活動を想定した応急給食訓練を実施した。訓練は、業務隊給養小隊員16名が参加。給食施設から離れたグラウンドに野戦釜4基を設置し、ベテランが見守る中、若手給養員が中心となり昼食のハヤシライス約400名分を調理した。食事もグラウンドで行われ、消毒液による手洗い、密集を避けるなど、コロナ対策も徹底された。
 調理した給養員は「屋外で大量の調理や配食をするのは初めて。風がなく釜の火力も安定してたのでうまく調理できた」喫食者は「釜で炊くご飯は美味しい。青空の下で食事がとれて気分転換になった」と話した。
 訓練指揮官の大渕淳1等空尉は、「平時、有事に関わらず、隊員の活力となる食事を定時に提供するのが我々の仕事。給食施設が整備されていない場所で給食活動ができたことは一定の成果。今後もより実戦に近い訓練を行い能力の向上に努めたい」と抱負を述べた。
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機上医療訓練及日米共同部隊訪問
<小牧>
 航空機動衛生隊(隊長・田村信介1空佐)は、7月20日から21日にかけて第1、第3輸送航空隊の支援を受け、C-2に機動衛生ユニットを搭載した飛行環境下における機上医療訓練及び日米共同部隊訪問に伴う器材展示を行いました。
 機上医療訓練については、入間基地周辺空域及び松島から小牧(入間経由)の間実施し、患者の容態変化に伴う心肺蘇生等の医療活動をフライトクルーと連携をとり、医官以下5名で実施しました。特に、入間基地周辺空域では、長時間の訓練により、タッチアンドゴーが11回あったこと及び気象状況による機体の揺れが影響したことで、機上医療要員の顔色が時間の経過とともに変化し、自己の体調を整えながら医療活動を実施する極めて貴重な経験をすることができ、今後の機上医療活動に大きな資を得ることができました。
 日米共同部隊訪問に伴う器材展示については、三沢から松島の移動間に行い、在日米軍司令官及び統合幕僚長に器材説明等を実施しました。
 長時間の訓練を終了し、小牧基地到着後、機上医療要員の第一声は「充実した訓練でとても貴重な体験だったね」でした。改めて、機上医療任務の過酷さを実感しました。今後においても訓練を継続し、練度向上に努めていきたいと思います。
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リモート形式による入校式
<防府南>
 航空教育隊第2教育群(群司令・大垣雅之1空佐)は、8月21日に「第122期初任空曹課程」及び「第23期空曹予定者課程」の入校式を挙行するにあたり、新型コロナウイルス感染拡大防止対策の一環として、初めての試みであるリモート形式で行った。
 このリモート形式では、航空教育隊司令の代理執行者である第2教育群司令、立会者、教育担当教官及び代表学生がメイン会場の第2教育群会議室で、その他の学生は教育講堂に整列し、それぞれの状況をライブ配信しながら式を行った。
 式は、会議室での式典進行に併せ、互いにライブ映像を閲覧しながら行われ、学生達は、代表学生の号令の下に正々堂々と敬礼等の動作を行い、これまでの入校式と遜色なく実施することができた。
 第2教育群に入校した学生440名は、コロナ禍の中、10月下旬までの約2か月間、修学目標である「自ら考え行動できる空曹」となるべく教育訓練に励む。
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警備犬&担当者の皆様へファンレター届く!
警備犬レピー号心の声代弁 警備犬係 記
<三沢>
 皆さん、こんにちワン!私は3空団基地業務群管理隊警備小隊の警備犬レピーだワン!今年は、航空祭が中止になって、残念だワン!
 落ち込んでいた私ですが、なんと関西にお住いの方から素敵なお手紙を頂きました!とっても嬉しかったので紹介するワン!来年こそは、会えるのを楽しみにしているワン!
【お手紙本文】
 突然お手紙を差し上げる御無礼をお許しください。レピー号の「自称・固定ファン」です(笑)。本来なら今年もそろそろレピーちゃんや皆様に航空祭でお会いできたはずですが、中止になってしまったのでペンをとった次第です。
 暑い日が続く中で、任務にあたっていただきありがとうございます。レピーちゃん、サンちゃんはじめ、警備犬さんたちの様子も変わりないでしょうか…。来年こそは航空祭で会えますように。隊員の皆様も、警備犬さんたちも、そして私も(笑)、健康第一で過ごしましょう…!!コロナの影響もまだ、しばらく続きそうです。ますますご自愛くださいね!
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装備隊レーダー小隊 QCサークルチーム
「第018MS小隊」 奨励賞受賞
<新田原>

 10月23日QCサークル熊本大会が開催された。本大会には、整備補給群装備隊レーダー小隊から、QCサークルチーム「第018MS小隊」が出場しました。このチーム名は、新元号が令和へと変わったため、「れいわ」を「018」に変えて、某アニメとのゴロ合わせによって決定し、一致団結して活動に取り組んだ。
 活動内容は、メンバー全員が共通して「安全で効率的な整備作業への改善」に高い関心を持っていること及びこれまでの作業経験から、特にHUDマウント整備作業の方法が複雑であり、個人の整備経験の差によって時間を要することを日頃から問題意識として持っていたため、「HUDマウント取外し取付け及び調整作業に係る時間50%削減」を目標に設定し、活動した。
 活動期間中、目標の達成に向け会合を頻繁に開催し、各員の作業実績をもとに議論を重ね、若手ならではの斬新なアイデア、意見を積極的に取り込んだ解決策を考え検証を重ね思考錯誤した結果、目標を達成した。
 活動の原動力になったのは、「チームワーク」だ。理由として、メンバーが同世代かつ若いということもあり、それぞれが意見を出しやすく、話しやすい雰囲気であったため、非常に強いチームワークを発揮できた。
 今年度の大会は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、例年と異なり書類審査での開催となりましたが、提出した要旨原稿の体験談は、QCサークル活動の基本に沿った優秀な事例であり、日頃の努力と継続的な活動が顕著であることが評価され、奨励賞を受賞した。


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