「自分で作る年金iDeCoとは?」(その2)
今回は、「個人型確定拠出年金(通称「iDeCo」)」の利用法と活用例についいて解説します。
4. iDeCoに加入する方法
iDeCoを利用するためには、加入手続きが必要です。
(1) 運用機関を選定
運用機関は、証券会社、銀行、保険会社などがありますが、取り扱っている商品の種類、ホームページやコールセンターのサービス及び口座の管理手数料を比較して決めるとよいでしょう。
(2) 掛け金額を決定
掛け金額は、拠出限度額の範囲内で決めることになりますが、途中で変更することもできますので、無理のない金額で始めるとよいでしょう。
(3) 運用する商品を選択
運用する商品は、大きく分けて元本確保型の定期預金や保険商品と、投資信託に分類されます。税制優遇の観点からは、投資信託の方が有利ですが、商品の内容と信託報酬などを確認して自分自身の運用方針に合った商品を選ぶようにしてください。
なお、NPO法人確定拠出年金教育協会がホームページで提供している「iDeCoナビ」を利用して運営機関や商品を比較検討して選ぶと良いでしょう。
5. 年金資産の受取り方
積み上げた年金原資は、次の三通りの方法で受取ることができます。
(1) 年金として受取る
60歳以降に5年から20年の確定年金として受取ることができます。この際、公的年金等控除を受けることができます。また、終身年金を取り扱っている運営管理機関もあります。
(2) 一括で受取る
60歳以降、70歳になるまでに一括して受け取ることができます。この際、退職所得控除を受けることができます。
(3) 一括で受取る
運営管理機関によっては、(1)と(2)を組み合わせて受け取る方法を選ぶことができます。
なお、原則60歳から年金資産を受取ることができますが、iDeCoに加入していた期間が10年未満の場合は、受取開始が可能となる年齢が以下のとおり繰下げられますので注意しましょう。
加入期間10年以上 :受取り可能年齢60歳
加入期間8年以上10年未満 :受取り可能年齢61歳
加入期間6年以上8年未満 :受取り可能年齢62歳
加入期間4年以上6年未満 :受取り可能年齢63歳
加入期間2年以上4年未満 :受取り可能年齢64歳
加入期間1月以上2年未満 :受取り可能年齢65歳
6. iDeCoの活用例
現行規定では、公務員の自衛隊員が積み立てることのできる掛金は月額12,000円ですので、仮に40歳から60歳までの20年間積み立てたとすると掛金の合計額は288万円となります。これが、20歳から60歳までの40年間となるとその倍の576万円となります。
そして、20年間の掛金288万円が、仮に1%の利回りで運用できたとすると60歳の時点で約319万円の年金原資となります。これが、2%で運用できると約354万円になります。
次に、20年間の平均年収が500万円であったとすると、所得控除による節税額の合計が約58万円となります。また、平均年収が700万円であったとすれば、その節税額の合計は約86万円となります。
なお、自衛官が、60歳未満で退官した場合でもiDeCoを継続することができます。そして、2022年4月からは厚生年金の被保険者であることなどの条件を満たせば、加入期間を65歳まで延長することができるようになります。
20歳以上60歳未満の全ての人が利用できるiDeCoは、税の優遇制度もさることながら、受け取り方法が年金と一時金で選択できるなど、老後資金の準備手段として優れていることを紹介しました。
辻 章嗣
ウィングFP相談室代表
元航空自衛隊パイロット、ファイナンシャル・プランナー、社会保険労務士 |