結婚、子育て、マイホームなどの夢を叶えるためには、必要な資金を準備する必要があります。そこで、今回は二回にわたり資産を形成する方法について解説します。
1. 72の法則とは
「72の法則」とは、元金100万円を利率1パーセントで複利運用した場合、72年後に元利合計が2倍の200万円になるという法則です。
《72の法則》金利1%で複利運用した場合72年後に元利合計が元本の2倍になる法則
72÷金利=年数 金利1%:72年 金利1.0%:720年 金利0.01%:7200年
したがって、現在のように、低金利時代には、預貯金に資産をいくら預け入れていてもなかなか増えないことが分かります。
2. ポートフォリオとは
ところで、金融商品には、三つの性質があります。
流動性:必要な時に現金化できること
安全性:元本が減らないこと
収益性:収益が出やすいこと
ただし、この三つの性質を兼ね備えた金融商品は一つもありません。そして、一般的に、「収益性の高い商品は、安全性と流動性が低くなり」、「安全性と流動性が高い商品は、収益性が劣る」と言われています。
そこで、これらの三つの異なる性質をもった金融商品を組合せて保有することを考えます。この組合せを、「ポートフォリオ」といいます。
それでは、三つの資産を等しく保有すればよいかというとそうではありません。流動性資産は必要最小限に止め、安全性資産を中心に資産形成することになると思いますが、資産を増やすには収益性資産の利用を考慮することをお勧めします。
そして、収益性資産を保有することを投資といいます。
3. 投資と投機の違いとは
ここでは、投資に消極的な方にも積極的な方にも知っておいて欲しい「投資」と「投機」の違いについて解説します。
投資:株式や社債などを購入し、企業に資金を提供して、投資先の価値の向上を狙う。
投機:価格の変動に賭ける行為で、常に価格の変動を注視し、短期に売買を繰り返す。
投資においては、投資先の価値が高まることにより配当や株価上昇に伴う売却益を得ることができます。
一方、FX(外国為替証拠金取引)や株の短期売買などが投機にあたりますが、投機は、ゼロサムゲームと言われ「儲かる人と損する人の総和が同じ」となります。
4. 投資の基本とは
投資において、リスクを減らし安定した収益を得るための基本は、「時間と金融商品の分散」および「長期運用」です。
「時間の分散」とは、金融商品を購入する時期を分散し、少量ずつ買い増すことを言います。例えば、毎月一定額を拠出して同じ金融商品を買い続けると、価格が高いときには少量を、価格の安いときには多くの量を買うことができます。
また、「金融商品の分散」とは、株式と債権、国内資産と海外資産など性質の異なる複数の金融商品を組合せて保有することを言います。投資信託は、複数の金融商品を組み合わせた商品ですので、自分の好みに合った組み合わせの投資信託を選ぶことで金融商品の分散を図ることができます。
「長期運用」とは、資産の価格変動に一喜一憂せず長期にわたり保有することです。
次回は、自衛隊員の皆様に勧める具体的な資産の形成方法について解説します。
辻 章嗣
ウィングFP相談室代表
元航空自衛隊パイロット、ファイナンシャル・プランナー、社会保険労務士 |