前回に引き続きライフプランニング(LP)の4つのステップについて説明します。
3.LPの四つのステップ
(3)資産と負債を分析する
現在または将来のある時点における資産と負債の内訳を、バランスシートを用いて分析します。バランスシートは、左側が「資産」の欄、右側が「負債」と「純資産」の欄で構成されています。そして、「資産」の欄は、資産の種類ごとに預貯金などの金融資産、生命保険などの保険金の解約返戻金、土地と家屋の不動産の欄で構成されています。「負債」の欄は、住宅ローンやカードローンなどの借入金の欄で構成されています。
また、「純資産」の欄は、資産の合計から負債の合計を差し引いた額が入ります。そして、左側の資産合計と右側の負債合計と純資産を合わせた額が等しくなることからバランスシートと呼ばれています。
このバランスシートを用いて、資産に比べて負債が多過ぎないか、保有している資産に偏りがないかなどを分析して、必要に応じて改善を図ります。また、この表で、資産合計から負債合計を差し引いた額である純資産が、その家庭の豊かさを表しています。
例えば、退職金の全額を金融資産に預け入れた場合のバランスシートと、退職金で住宅ローンを全額繰上げ返済して残金を金融資産に預け入れた場合のバランスシートを比較すると、二つのバランスシートで純資産の額は変わりませんが、金融資産の額が大きく違っており、住宅ローンを繰り上げ返済した場合は手元資金が少なくなることが分かります。
(4)万が一の事態に備える
LPの最後のステップは、家族が病気やケガをした時や世帯主が亡くなった場合など、万が一の事態に備えることを考えます。
そのためには、まず健康保険(共済)制度や年金制度などの公的保障制度を理解することが必要です。そして、公的保障を受けてもなお不足することが見込まれる必要な資金を生命保険などで補うことを考えます。
例えば、世帯主が亡くなった場合に備える生命保険を考えてみましょう。
まず、キャッシュフロー表から、残された遺族が生涯に必要とする基本生活費、住居関連費、教育費などの支出見込の合計額を見積もります。通常、この計算では、配偶者の平均余命まで積算します。
一方でその時点で保有している金融資産と今後収入が見込まれる遺族年金、配偶者の給与収入、死亡退職金などから準備可能な資金の合計額を見積もります。
そして、支出見込の合計額から準備可能な資金の合計額を差し引いた額が必要保障額と言われるもので、生命保険で準備しなければならない合理的な死亡保険金額となります。
4.LPの勧め
LPは、あなたとあなたの家族の夢を叶え、漠然とした不安を軽減するために、主として経済的観点から、将来を予測し、不足する資金を計画的に準備したり、不安を軽減するために必要な資金を合理的に準備したりすることに役立ちます。
20〜30歳代の方には、結婚、出産、子育て、マイホームなどの夢の実現に、40〜50歳代の方には、充実したセカンドライフを送るために、LPを始めることをお勧めします。そして、LPを始めるのは、早いに越したことはありません。なぜならば、時間を味方につけることができるからです。
特に、任期満了や50歳代後半で退職する自衛官は、早い時期からLPを考えることをお勧めします。
辻 章嗣
ウィングFP相談室代表
元航空自衛隊パイロット、ファイナンシャル・プランナー、社会保険労務士 |