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自衛隊ニュース   1032号 (2020年8月1日発行)
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防衛医科大学校

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自衛官は医官を尊重してくれる
卒業生が1学年に講話
 「そのため、こちらもその期待に応えてきちんと仕事をしないと恥ずかしいと思う。頑張っている自衛官のために自分にできることをしたいと自然に思えるようになる」とは、5年前に防衛医大を卒業し、現在は航空自衛隊熊谷基地に勤務している品田花絵2空尉。これは、7月20日に、防衛医科大学校医学科1学年に対して行った講話の一節である。
 入学式もなく、5月の連休に実家にも帰れなかった1学年に「自衛隊とは?防衛医科大学校とは?同期とは?団体生活で得るものとは?」などの話を年の近い卒業生から聞こうという趣旨で、「悩める後輩へ、学生時代と今後の展望」という演目で行われた。講話を後ろの方で聞いていたかつての指導官が、笑いながら嬉しそうに聞いていたのも印象的で、品田2尉が可愛がられていたということが伝わってきた。しかし講話によると、指導官の愛を感じられるようになるのは、卒業前頃からだそうだ。
 防衛医科大学校医学科1学年の全学生83名(女性22名男性61名)が一堂に集まり、真剣に聞く人・前のめりで聞く人・船をこぐ人・つまらなそうな顔をする人等様々だった。しかし、今時の言葉での講話は、心に響くカ所も沢山あったことと思う。何か壁にぶち当たった時にも、「あの時あの講師はこんなことを言っていたな」と思い出すことがきっとあると思う。悩みがあっても「時間が解決してくれる」「他の人の力を借りることを迷うことはないよ」「大人数で解決することは良いことだと思う、一人で抱えないで」という。講話というより年の近い先輩からのアドバイスという感じだった。
 品田2尉は、普通の医師は、医師としてのキャリアだけを積めば良いが、医官は自衛官としてのキャリアも積んでいかなければならないから、やりがいがあるという。自衛官は「医官がいないと安心して演習もできない」という。自衛官を大きく支える医官になる防衛医科大学校の1学年のこれからがとても楽しみだ。
 聴講者コメント
・寺薗 熙(テラゾノ ヒカル) 学生
 他の医学部と比べ特殊な面が日頃も卒後も目立つ本校のOGの方がその独自性を存分に活かしている姿を感じられる素敵な時間でした。
 私もこれからの学生生活を公私共に充実させられるよう、一日一日を精力的に暮らしていこうという思いが強まりました。
・渡辺 七愛(ワタナベ ナナ)学生
 品田2空尉の話は、今後のアドバイスとなったし、今後、自分で部隊の規律などに馴染むための、幹部としての自覚を身につけたいなと思いました。
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チームワークで4km完泳
体育学校で2学年が遠泳訓練
 将来の医官を養成する防衛医科大学校(学長・長谷和生、埼玉県所沢市)においても、防衛大学校等と同様に医師たる幹部自衛官に必要な体力の維持増進を目的とした訓練がある。そのひとつが、医学科2学年が挑む夏季定期訓練「遠泳」だ。「長さ」を追求する本訓練は毎年、三浦半島和田長浜海岸で4kmを泳ぎ切る伝統行事だ。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で同海岸が使用できないことと、宿泊や長距離移動を伴わない方法を検討した結果、同じ埼玉県の朝霞駐屯地にある自衛隊体育学校の専用プールを借りて実施された。
 訓練当日の7月16日、取材に向かうと、8時35分にスタートした第1班43名(男子28名・女子15名)が折り返しの約2kmを泳いだところだった。入学からこの日を迎えるまでの水泳の時間は、授業と訓練を合わせて約60時間。基本的には本訓練で水泳は最後のため、いわば集大成としての位置づけだ。訓練は、4人が横並びに隊列を組み、50mプールを平泳ぎで31周弱周回する。最前列にはペースメーカー、最後尾には隊列を確認する学生を一人ずつ配置するほか、2名1組でバディーを組み、お互いの状況を確認し合った。そして懸命に泳ぐ学生たちを、卒業生の医官を含む訓練教官ら7名が見守った。
 残り3周、体育学校で水泳の選手として活躍した訓練教官の落合誉通2海曹の檄が飛ぶ。海を見立ててビート板で起こした波が容赦ない。学生たちは残りの力を振り絞るように腕と足を必死に動かす。最後尾の学生も必死にくらいついていった。10時55分、ゴールの笛が鳴り響くと、学生たちからは歓声がわき起った。見事43名全員が完泳した。笑顔や疲労、どの表情も20歳前後の若者が見せる清々しい達成感で溢れていた。
 江藤遥香学生は、1週間前まではなんと5メートル程しか泳げなかったが、教官のつきっきりの指導で急成長を遂げた。浮輪をつけての完泳とはいえこの結果に「自信になりました。『やればできる』の精神で今後もがんばっていきたい」と笑顔で語ってくれた。本訓練を指導監督した2学年訓練教官の渡辺和也1陸尉は「団結力をもってがんばってくれた」と評価。また3時間の想定を大幅に上回る2時間10分でのゴールという結果に対して、「班の編成について昨年とは違い、早い人と遅い人を混在させることで、相乗効果が生まれた」と分析した。学生たちは遠泳完遂の自信を胸に、学業にもますます精進していくことだろう。

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