東京都新宿区市ヶ谷にある防衛省は、A棟からF棟まである。ご推察通り、F棟は最後に出来た建物で、平成12年に檜町から移転してきた防衛庁(当時)よりずっと後、平成28年に目黒から移転してきた防衛研究所が使用するために作られた。防衛省左内門に近く「2位じゃダメなんですか」で有名な平成21年の事業仕分けを行なった国立印刷局市ヶ谷センターの跡地である。そして、防衛研究所の戦史研究センター史料閲覧室を使用する部外の方のために「加賀門」が新設され、年間約2300人が来館している。
戦史研究センター史料閲覧室は、陸海軍関連史料約10万冊、戦史関連図書約6万6000冊を所蔵。これを一般に公開し、史料に関する問い合わせや相談は年間約1350件を数える。最近は、ご遺族の方の来館も増えているという。
中核的な史料として、陸海軍省により作成及び編綴された陸軍省大日記(陸軍省が編輯した、明治元年から昭和17年までの公文書)及び海軍省公文備考(海軍省が編輯した、明治9年から昭和12年までの公文書)の2種類がある。この他、陸海軍の各種命令文書、部隊日誌、戦闘詳報などの史料も所蔵している。これらの史料は、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦など日本が関わった戦争を網羅しているため、国内外の研究者が訪れる。史料の一部は、防衛研究所及び国立公文書館アジア歴史資料センターのホームページから閲覧することも出来る。
7月22日までは、「大正のスペイン風邪と旧陸軍-新型コロナウィルス感染症への防衛省自衛隊の取り組み-と題し史料閲覧室奥の史料展示室で史料等の展示を行っている。陸軍関連所蔵史料として、大正10年頃の陸軍軍医学校防疫部での予防接種液の分注写真や「陸軍伝染病予防規則ニ定ムル以外ノ伝染病ニ対シ予防接種ノ件」とした大正8年12月から予防接種施行の陸軍省令を設け逐次予防接種に着手した時の史料なども展示されている。また、昭和4年に陸軍大臣が定めた「軍隊衛生学」の中には流行性感冒が記されており、予防として「口覆(マスク)を用い、含嗽(がんそう<うがいのこと>)を励行し、交通を制限し時々食器を煮沸し室内の掃除に注意すべし」とあり、興味深い史料が並べられている。
是非足を運んで見て頂きたい。
現在は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、事前予約制となっている。史料閲覧室は4人で使用するテーブルも1人での使用となっているので、詳細はHPをご確認頂きたい。
開館時間等
(1) 開館時間 平日9時から16時30分まで(令和2年2月より、月1回土曜日を開館)※現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、事前予約制としております。詳細はHPでご確認ください。
(2) 休館日 土曜日・日曜・祝日、年末年始、月1回土曜日開館日の翌々日月曜、その他
(3) 連絡先 03-3260-7102(直通) ※所蔵史料についての質問・相談も「相談係」へ
ホームページ
(1) 史料閲覧室HP http://www.nids.mod.go.jp/military_archives/index.html
(2) コロナ関係情報発信(史料室関連のみ)
・展示「大正のスペイン風邪と旧陸海軍-新型コロナウイルス感染症への防衛省自衛隊の取組-」 http://www.nids.mod.go.jp/military_archives/index.html・戦史秘話第5話「大正のスペイン風邪パンデミックと帝国陸軍」
http://www.nids.mod.go.jp/publication/secret_story/pdf/2020/secret_202004.pdf |