令和初の3月。
卒業式やさまざまな人生の節目のとき。親しくなった友人とも別れのときです。
間もなく卒業式を迎える高校生達の卒業文集が届きました。(公益財団法人古岡奨学会第38期生・文集「奨学」)
目に留まった同じ「わが友」と題する二人の生徒の一文(抜粋)。
Aさん「私は高校三年間で学んだことがあります。それは「自身の挑戦の中」には必ず「友人の励まし」があるということです。彼らのおかげで自分に自信を持て、「自分らしさ」を認めることができました。このことから人は友人がいることで挑戦しようと思えるのだと思います。この学びから私は決意したことがあります。それはどんなときも「目の前の一人を大切にする」ということです。リーダーとは前に立って皆を引っ張ること以上に、どこまでも一対一の関係を築いて、一人一人をきめ細やかに励ましていける人だと思います。」
Bさん「沢山の友人に囲まれるのは幸せなことかもしれません。しかし、友人が少ないからといって不幸だということも決してないと思います。私は、気を遣わずに何でも話し合える親友という存在がたった一人いるだけで幸せだと感じられました。出会ってくれてありがとうと心から伝えたいです。」
18歳の二人の高校生と僕との間に在る大きな年齢差や人生経験・社会経験などの違い。それらを超越する何かが胸に迫って参りました。
そんなとき、地元の長野県上田市にいる高校時代の級友から日帰り招集がかかりました。目的は久しぶりに会おう。新幹線で、JRで、車で、各地から彼の家に駆け付けたクラスメートは11名。飲み物食べ物は持ち寄り。自家産の世界一大きいクルミや「うえだみどり大根」、野沢菜の漬物、佃煮や煮物、シメは拘りの絶品手打ち蕎麦。
高校卒業後、Mywayを突き進んでいったクラスメート。いつも心配し励まし続けてくれました。何の遠慮もなく、いつも耳の痛いことを言われっ放し。あれから50年有余、改めて友達との出会いに感謝し、鎧を脱いでいる自分を実感する機会となりました。
去る2月11日に亡くなられたプロ野球「月見草」の野村克也さん。「勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし」等さまざまな名言を残されています。
そんな中には、リーダーシップについて次のような言葉もあります。
「リーダーシップとは人を動かす、先を読むこと。人を動かすのは、生きがい、夢、希望、目標、目的、ビジョン、興味、関心。」「部下を "信じる" というのは、リーダーの重要な資質。」「"叱る "と" 褒める"というのは同意語だ。情熱や愛情が無いと、叱っても、ただ怒られているというとらえ方をする。」「組織は、リーダーの力量以上には伸びない。」
そして出会いについては、こうも述べています。
「縁を大切にすると、人生はより豊かになる。」
今まさに旅立ちを迎える皆さん、友達と離れ離れになろうとしている皆さんに贈りたいと思います。映画「カサブランカ」の中のセリフですが、彼・彼女にあなたの口から直接伝えてください。
"Today is the beginning of our beautiful friendship!"
北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事 |