【米海兵隊と初の設置要綱】
防衛装備庁プロジェクト管理部プロジェクト管理総括官(陸上担当)鵜居正行陸将補は、2月8日、米海兵隊システムズコマンドを訪問し、米海兵隊システムズコマンド司令官アーサー・パセジアン准将及び米海兵隊戦闘研究所長クリスチャン・ウォートマン准将と会談し、米海兵隊との間で初となる軍種間技術交流に関する設置要綱に署名した。設置要綱では、陸上自衛隊と米海兵隊の双方に共通の利益となる協力分野の特定と、その推進を掲げた上で、これらの分野に関する技術情報の共有と日米協力強化の方針が盛り込まれた。プロジェクト管理総括官及び両准将は、今回の「設置要綱」に基づき、水陸両用作戦に関連する幅広い分野での装備・技術協力と装備品の相互運用性を強化していくことで一致した。
【技術交流にとどまらない幅広い分野での協力強化】
防衛装備庁と米海兵隊との技術交流については、将来の水陸両用技術に関する分野において、相互に関連する技術の紹介や研究施設を訪問する等、情報交換を通じて関係を深めてきたが、2年ほど前から、より踏み込んだ形での交流を模索。今回の会談においては、これまでの情報共有に留まることなく、具体的な協力案件に繋がる議論の枠組みが必要との日米双方の考えが一致した。設置要綱には、将官級会議の定期開催、水陸両用作戦に関する運用コンセプト、各種装備品、技術的要求事項について相互利益につながる協力可能な分野の特定、相互運用性の改善・向上と共同作戦能力の強化など、幅広い分野における米海兵隊との情報共有と協力強化の方針が盛り込まれた。
会談の冒頭、鵜居プロジェクト管理総括官から本設置要綱の署名にあたり、米海兵隊システムズコマンドからの積極的な協力・支援に感謝の意を表した上で、「将来の水陸両用作戦における装備品の能力を向上させ、かつ、相互運用性を高めるため、技術分野のみならず、運用コンセプトや装備品の要求性能等、様々な分野について議論し、共同研究・開発等の具体的な成果につなげたい」と述べると、パセジアン司令官は「本設置要綱は日米双方にとって歴史的なものであり、(1)海兵隊と陸自の友好関係の強化、(2)積極的な協力の推進、(3)水陸両用作戦における能力向上の3つの観点から意義がある。この機会を得られたことに感謝したい」と応えた。また、ウォートマン所長は両者の意見に同意した上で、「日本と米国の友好関係構築から約70年が経ち、これまで共に能力向上を図ってきたが、本枠組みによって能力向上に真の価値を生み出すことができる」と今後の議論に大きな期待を寄せた。
【共同研究・開発に向けて議論を加速化】
防衛装備庁では、将来の水陸両用作戦能力の向上に資するため、「将来水陸両用車技術に関する研究」を平成29年度から進めている。鵜居プロジェクト管理総括官は、「今後は本研究成果のみならず、我が国の防衛産業が有する様々な先進技術を積極活用し、米海兵隊との共同研究・開発等の具体的な案件創出に向け、本枠組みを通じて議論を加速させる所存。是非とも将来ゲームチェンジャーとなり得る装備品を米海兵隊とともに造り上げたい」と述べた。
防衛装備庁は今後、双方の興味分野に基づいた具体的な案件と対話の窓口を決定し、努めて早く第1回の会合を開催したいとしている。 |