防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
スペーサー
自衛隊ニュース   986号 (2018年9月1日発行)
-
1面 2面 3面 4面 5面 8面 9面 12面

女性自衛官課程等修了1万人達成
<航空教育隊>
 航空教育隊(隊司令・山本方之1空佐=防府南)は、7月12日、第13期自衛官候補生課程1210名(内女性80名)の卒業式を実施した。本課程において、航空教育隊と前身である第1航空教育隊及び第2航空教育隊で実施した女性の課程等修了者数が1万人を突破し、卒業式の前日には、記念イベントとして第13期自衛官候補生課程の女性自衛官による1万人達成記念撮影が行われた。
 本課程を卒業した石橋寛子2士は「私も一人の女性自衛官として、これからも素直に元気に頑張っていきたい」と述べ、同じく山川華澄2士は「先輩方を見習い、早く一人前になって次へと繋げていけるようになりたい」と抱負を述べた。
 防衛省・自衛隊では、ワークライフバランスと女性自衛官の採用・登用のさらなる拡大を一体的に推進するため、様々な取り組みを行っている。山本1佐は「近年、意欲と能力ある女性自衛官の活躍の場はますます広がっており、航空教育隊においては、育児休業を取得する隊員のための代替要員の確保、男性隊員の家庭生活への参画を推進するための男性隊員の育児休業の取得の奨励、災害派遣などの緊急登庁時における子供一時預かり等、男女ともにワークライフバランスを実現しつつ、活躍できるための各種施策を力強く推進していく」と述べている。
 航空教育隊は、航空自衛隊における空曹士の基本教育を実施する部隊として、今後も優秀な人材を育成し、全国の部隊に送り出す。

浜松基地美術展207点を展示
 航空自衛隊浜松基地(基地司令・津田昌隆空将補)は、8月2日から7日までの間、つばさ会共催及びともしび会協賛の下航空自衛隊浜松基地美術展を南厚生センターにて開催(平成5年以降4回目7年ぶり)、期間中4日間で約900名が来場し、出展作品を堪能した。
 美術展のコンセプトを「創造の翼がここにある『豊かな情操と感性の集い』」として、特別展示作品第14代防衛大臣中谷元氏(書)、佐竹政夫氏、帆足孝治氏(絵画)、【故】高倉清雄氏(写真)のほか、隊員・隊員家族、基地OB、つばさ会及びともしび会会員ら100人から、絵画、写真、書、陶芸、工芸、模型などの207点が展示された。
 最終日は、浜松基地納涼の夕べに併せ、美術展の一般公開も行われた。展示会場に足を運んだ一般来場者からは、展示作品を熱心に鑑賞しつつ「隊員の文化的な一面をみることができ感銘を受けた」や、子供連れの家族からは「戦闘機の模型など航空自衛隊らしい作品も鑑賞できてよかった」との感想が聞かれた。

テーブル・ロフト訓練
<飛行点検隊>
 航空支援集団・飛行点検隊(入間)は、ノンテクニカル・スキルを実践する能力を向上させ、安全運航と任務達成に寄与することを目的に「テーブル・ロフト訓練」を実施した。
 ノンテクニカル・スキル(NTS)とは操縦操作や知識等分野に特化したスキル〓テクニカルスキル(TS)とは対称的に、分野に関係なく共通して必要となるスキルのことで、状況認識、意思決定、コミュニケーション、ワークロード・マネージメント、チームワークなどが該当する。
 訓練はシナリオに基づいて、「役割演技者」が情報提供や質問への応答を行い、「実習者」が問題解決を行うというセッション形式で進められた。そのやりとりを傍観し進行と気づきを促進させる「観察者」が最後にフィードバックを実施した。
 本訓練を通して、参加した隊員たちは「知識の忘却、技能の偏り、マインドやモチベーションの低下を押さえ、リフレッシュできた」「自己の強みや弱点を把握し、日々の飛行作業における要改善点等を認識することができた」など充実した内容に手応えを感じているようだった。
 現状及び将来予想される事態に備えて、飛点隊としては、今後とも、実施要領の更なる改善と頻度の向上を図り、安全運航や任務達成に寄与させて行きたい。

演奏のあと学校で特別授業も
<陸上自衛隊中央音楽隊>
 陸上自衛隊中央音楽隊(隊長・樋口考博1陸佐)は、6月16日に柏崎市文化会館アルフォーレで柏崎市主催の「陸上自衛隊中央音楽隊演奏会」を、翌17日には新潟テルサで「柳都新潟ふれあいコンサート陸上自衛隊中央音楽隊演奏会」を行った。両日とも副隊長である志賀亨2陸佐の指揮で「ワシントン・ポスト」から始まった。サキソフォン奏者の大西3陸曹独奏による「シーガル」やクラリネット奏者の石井3陸曹による「アイ・ガット・リズム」に観客は酔いしれ、ソプラノ歌姫こと松永陸士長による「ハート・オブ・ユア・ワールド」、アンコールでは「ハナミズキ」を披露し、隊員と観客が一つになった。
 また、16日には柏崎市立第一中学校で吹奏楽を学ぶ生徒の技術向上を目的に特別授業も行った。授業を受けた生徒からは「基本の基礎から学べて勉強になった」などの声も聞かれ、心に残る授業となったようだ。
 陸上自衛隊中央音楽隊は、日本を代表する吹奏楽団というだけでなく全国の陸上自衛隊音楽隊員に対する教育や、音楽を通じた国際交流への貢献、地域との絆作りとこれからも発信を続けていく。

読史随感
<第12回>
神田淳

 良寛の九十戒語
 良寛(1757/58-1831)は江戸後期の禅僧。越後で粗末な庵に住み、人に仏法を説くことはしなかったが、人々に親しまれ、人々を感化した。村の子供たちとよく遊んだやさしい良寛の姿が、人々の記憶にとどまって今日に伝えられている。
 良寛は越後出雲崎で代々名主を務める家の長男として生まれた。家督を継がず、18歳のとき出家。備中(岡山県)円通寺(曹洞宗)の国仙和尚のもとで20年近く修行した。印可を得て良寛は諸国を行脚したが、40歳のとき故郷越後に帰った。国上山の山腹の小さな草庵に住んで、子供らと遊び、詩歌を作り、書を書き、日々托鉢して暮らした。
 良寛には「九十戒」という、言葉に関する「戒め」がある。これは晩年の弟子貞心尼が書きとめたものであるが、この戒めがすばらしい。
 一、言葉の多き 一、物言いのきわどき 一、話の長き 一、講釈の長き 一、差し出口 一、手柄話 一、自慢話 一、公事(訴訟)の話 一、諍(いさか)い話 一、不思議話 一、物言いの果てしなき 一、へらず口 一、人の物言いきらぬうちに物言う 一、子供をたらす 一、言葉の違う 一、たやすく約束する 一、よく心得ぬことを人に教える 一、事々しく物言う 一、引き事(見聞きした事や本で読んだ事)の多き 一、ことわり(理)の過ぎたる 一、あの人に言いて良き事をこの人に言う 一、その事の果たさぬ内にこの事を言う 一、へつらう事 一、人の話の邪魔する 一、侮ること 一、しめやかなる座にて心無く物言う 一、人の隠す事をあからさまに言う 一、酒に酔いて理(ことわり)言う 一、酒に酔いたる人に理(ことわり)言う 一、腹立てるとき理(ことわり)言う 一、親切らしく物言う 一、己が氏素姓の高きを人に語る 一、人の事聞き取らず挨拶する 一、推し量りの事を真事になして言う 一、悪しきと知りながら言い通す 一、言葉咎め 一、物知り顔に言う 一、見る事聞く事一つ一つ言う 一、説法の上手下手 一、役人の良し悪し 一、よく物の講釈をしたがる 一、子供の小癪なる 一、老人のくどき 一、若い者の無駄話 一、引き事の違う 一、押しの強き 一、珍しき話の重なる 一、好んで唐言葉を使う 一、人の理(ことわり)を聞き取らずして己が理を言い通す 一、都言葉など覚えてしたり顔に言う 一、よく知らぬ事を憚りなく言う 一、聞き取り話 一、人に会って都合よく取り繕って言う 一、わざと無造作げに言う 一、悟り臭き話 一、学者臭き話 一、茶人臭き話 一、風雅臭き話 一、さしても無き事を論ずる 一、人の器量のある無し 一、あくびとともに念仏 一、人に物くれぬ先に何々やろうと言う 一、くれて後人にその事を語る 一、ああ致しました、こう致しました、ましたましたのあまり重なる 一、俺がこうした、こうした 一、鼻であしらう (以上九十ヶ条、一部省略)
 私は、言葉に表れる人間性をこれほど広く、深くみつめた戒めを、他に知らない。これを読むと、良寛がいかに高い知性と洞察力と、繊細で鋭敏な感性をもった人であるかがわかる。
 素朴で、子供らとよく遊び、人々と交わり、親しまれた良寛であるが、それは良寛の人間を厳しく見つめる仏道修行であったとの思いを強くする。
  
神田 淳(かんだすなお)
 高知工科大学客員教授
 著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』など。

NEXT →
(ヘルプ)
Copyright (C) 2001-2018 Boueihome Shinbun Inc