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自衛隊ニュース   2013年6月1日号
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平成25年度遠洋練習航海
「隊員一人ひとりが日本国の代表であるという自覚を」

河野克俊海上幕僚長
「平成25年度遠洋練習航海部隊出発に際し壮行の辞」より抜粋

派遣期間:5月22日〜10月30日(162日)
訪問国:18か国(19寄港地)
航程:約30000NM(海里)=約55000km
派遣部隊:人員約730名
「かしま」艦長・大野敏弘1佐
「しらゆき」艦長・川内健治2佐
「いそゆき」艦長・青木操2佐

 今年のコースは、ハワイを経て太平洋を横断、パナマ運河を通り、大西洋を横断し欧州に至り、スエズ運河及びインド洋を経て東アジアに至る18ヶ国19寄港地を訪問するものであり、162日間の長途となる。
 諸君は、それぞれの国が有する歴史や文化、国情に直接触れることにより、我が国との関係の重要性について認識を新たにすることと思うが、外交・防衛の分野にとどまることなく、自らの体験をもって幅広く柔軟な思考力を涵養し更に視野を広げてもらいたい。そして、遠洋練習航海部隊の隊員一人ひとりが日本国の代表であるという自覚を持ち、諸君が寄港地で発信する有形無形のメッセージが、各訪問国との今後一層の関係強化につながるということをしっかりと心に留めるとともに、各地における研修やレセプション等の機会を通じた各国軍人等との交流により、海軍の役割というものについて認識を深めてきてもらいたい。
 諸君が航行する海域は、全世界の経済を結ぶ三大洋の海の道、シーレーンであるとともに、帝国海軍が日英同盟の下、盟友のために第一次世界大戦の地中海においてドイツ海軍と戦い、先の大戦においては、米・英海軍と激戦を繰り広げた海域でもある。諸官は、先人が祖国のために尽くした貢献に思いを巡らすとともに、尊い犠牲を偲びつつ、この航海を海上武人としての素養を高める良き機会として研鑚に励んでもらいたい。


宮内庁式部職楽部指揮者が客演
小野寺防衛大臣も約1850人と共に堪能
創隊62周年記念定期演奏会 陸上自衛隊中央音楽隊

 5月19日、東京池袋にある東京芸術劇場コンサートホールで、昭和26年創隊の陸上自衛隊中央音楽隊(隊長・武田晃1陸佐)による創隊62周年記念第139回定期演奏会が行われた。
 豪華な客演のある中音定期演奏会。今回は、宮内庁式部職楽部指揮者として天皇皇后両陛下主宰の国賓を招いて行われる宮中晩餐会や午餐会、洋楽演奏会の指揮者を務める「北原幸男」氏が客演指揮した。武田隊長の迫力とはまた違う迫力で、音楽の繊細さを改めて実感した。身を乗り出し、目を見開いて見ていた男性は「凄いコラボだ、感無量」と感激した様子。当日は、招待者・抽選当選者合わせて約1850人が、コンサートホールを埋め尽くし身体の芯まで染み渡って来る音色に酔いしれていた。
 日比谷野音の音楽演奏に続き、今回も演奏会を鑑賞された小野寺五典防衛大臣。武田隊長が舞台から「本日は小野寺防衛大臣もおいで下さっております」と紹介すると場内にはどよめきが。大臣が立ち上がり手を降ると大きな拍手が涌いた。「防衛大臣と同じ演奏会を聞けるなんて」と喜ぶ人も。
 演奏も勿論素晴らしかったが聴客のマナーの良さも際立つものがあった。これもやはり素晴らしい指揮の下で行われる素晴らしい演奏だからこそなのだろうか。


涙の初優勝
体育学校 平井3陸尉
柔道選抜選手権

 5月11日、福岡国際センターで全日本選抜柔道体重別選手権大会が行われ、体育学校から浅野大輔2陸尉(男子66kg級)、平井希3陸尉(女子57kg級)、十田美里2陸曹(女子48kg級)が出場した。浅野、十田の2選手は一回戦で敗退したものの平井3尉が念願の選抜選手権初優勝を果たし、今年度唯一の国際総合大会である東アジア大会代表の座を獲得した。中学時代から天才と呼ばれながら五輪出場に手が届かず、苦しい時期を過ごしていた。引退も念頭に置き、「最後の試合になるかもしれない」覚悟で大会に臨んだ平井3尉は、優勝が決まった瞬間に感極まって喜びの涙を流した。


海自医官が支援
タンカー乗組員の負傷
帰国途上の「すずなみ」

 5月8日から9日にかけ、アデン湾での海賊対処任務を終え日本に向け航海中の護衛艦「すずなみ」乗艦の海上自衛隊の医官が外国船舶乗員に対し医療支援を行った。8日の夕刻、オマーン国マドラカ岬の東約180kmを航行中の石油タンカーから、乗組員1名が頭部に裂傷を負ったため医療支援の要請が無線通信された。これを請け「すずなみ」から医官ら3名がヘリでタンカーに移動し、診察・応急処置を行った。患者の容体は安定したものの、設備の整った病院での治療が必要と判断。翌日夕刻にオマーンへの負傷者の搬送が調整され、医官らは「すずなみ」に帰艦した。


再びアデン湾へ
15護隊「はまぎり」出国

 大湊地方隊(総監・三木伸介海将)は4月7日、派遣海賊対処行動水上部隊第15次隊、第15護衛隊「はまぎり」(艦長・佐藤哲郎2海佐)の出国行事を実施した。この日、大湊は爆弾低気圧の影響で荒天が予想され、式典は屋内での開催と思われたが、早朝から曇り空ではあるものの穏やかな天気となり、予定どおり大湊基地第1突堤で行われた。
 出国行事には、むつ市の宮下順一郎市長をはじめ、むつ市、各自衛隊支援団体、日本船主協会関係者及び隊員、隊員家族など約450名が参列し、大湊地方総監が「しっかりと任務を全うして欲しい」と防衛大臣訓示を代読すると、はまぎり艦長が出国挨拶で「任務を完遂し、総員元気に大湊に帰ってきます」と決意を語った。
 大湊音楽隊の勇ましい演奏に合わせ、来賓、家族、隊員などが見送る中、ふきのとうがようやく芽吹き始めた大湊から灼熱のアデン湾に旅立った。
 「はまぎり」の派遣海賊対処行動は平成21年10月に続き2回目であり、大湊からの派遣は連続3回、通算6回の7隻目となる。


江田島に新名所
海自歴史ゾーン初創設
1術校

 海上自衛隊第1術科学校(学校長・鍜治雅和海将補)は今春、海上自衛隊歴史ゾーンを創設した。
 江田島は旧海軍兵学校の歴史と伝統の地として世界中の海軍にその名を知られていた。現在、1術校は「艦乗り」を育成するための教育機関の一つとして幹部候補生学校を含め、幹部、曹士年間3000名弱の学生に対し江田島の地で教育をしている。
 江田島地区には旧海軍時代の歴史的建造物の他、教育参考館に旧海軍に関する歴史的資料等が数多く展示されている一方、海自に関する資料等の展示が今まで存在しなかった。そこで海上自衛隊創設60周年を機に海自の艦艇の装備品や、1術校、幹候校の教育資料として使用していた教材等を活用し、艦内生活、年表・艦艇模型、装備品及び写真パネル等のテーマごとに展示し、学生のみならず、一般の見学者にも両校での訓練の概要及び海自の歴史と各種訓練、災害派遣等の活動を広く知ってもらおうと江田島クラブ2階で公開している。今後も同所が江田島地区の新たな見所の一つとなることが期待される。


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