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2007年2月1日号
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《論陣》
防衛省昇格で普通の国に
=対北朝鮮でも大きな意義と価値=
 防衛庁が1月9日に昭和29年の発足以来、53年ぶりに「防衛省」に昇格した。多々宿題を残しているものの、半世紀以上の歳月を経て、「普通の国」になれたことに感慨深いものがある。
 25年ほど前、米国のペンタゴン(国防総省)を視察した際、世界広しと言えども、国防をタマゴの半熟のようなネーミングでやってきたのは日本だけと知った。だから今回の庁から省への昇格は、日本がようやく世界に向けて「一本立ち」できたことであり、素直にうれしい。
 しかし、当時の日本敗戦では、米国や日本国民の中から「再び戦争をやってはいけない」という反省から「日本国憲法」が生まれ、9条(戦争の放棄)が生まれた経緯はやむを得なかったと思う。
 だが、今日の地政学では世界情勢といわず、アジア情勢は激しく一変している。北朝鮮の昨年7月のテポドン実験、さらに同10月の核実験を見ると、大げさに言えば日本人1億2千万人が、北朝鮮に「総拉致」されたような状況下にある。
一方で横田滋さん一家の娘さんが拉致され、この正月を迎えて30年目になる。横田さん夫妻に限らず、現在わかっているだけでも、20や30の拉致家族はろくに正月のモチもノドを通らないくらい心配だったことと察する。
 6カ国協議(米中韓ロ北日)を何度も重ねているが進展はない。昨年暮れの6カ国協議も核問題の討論そのものはあったにしても、拉致問題は全くといってよいほど日本は北朝鮮に相手にされていない。そのワンパターンの返事は「拉致問題は解決済み」―。
 日本人の醒めた目で見ている人たちは「日米安保があるから大丈夫」とか、日本は「非核三原則」(作らず、持たず、持ち込ませず)だからと、すまし顔で主張する人もいる。この心理は「日本は核を持たないのだから、核攻撃されることはない」という他人事(ひとごと)のような論理である。
 日本が一歩ゆずって「アメリカ頼み」もよし、「非核三原則」をモットーにするもよし。しかし、北朝鮮は今年もいつの日か、核実験の可能性は大である。
 そうした時に、日本がいくら経済制裁、金融制裁しようが、中国や韓国の甘い制裁では「ザルに水を入れている」ようなもの。
 となれば、日本は何らかの形で、さらに北朝鮮に圧力、制裁を加えることが重要だ。その一つとして今回の日本の「1・9防衛省」昇格は大きな意義と価値がある。
 黒船的存在のロシア人、イワン・ツェリッシェフ氏(新潟経済大教授)は、自著「日本を豊かにする3つの方法」(小学館発行)の中で「日本が軍国主義の復活を懸念することはナンセンス。文民管理、民主主義体制、市民社会が成熟している。むしろ現行の憲法上の制約で世界平和に充分貢献できない。憲法を改正し、普通の国にならない限り、他の国と同等の立場から自分の国益を守ることもできない」と説く。
 また同氏は「2002年、日本国民に知らされた恐ろしい事実がある。北朝鮮のスパイが長期にわたり次々と日本国内に侵入し、自宅の付近で日本の市民を拉致。普通の国であれば、そんなことを許すはずはない。(中略)普通の国ではない日本人の国民の安全保障に対する姿勢は、非常に軽率でのんきなもの」とも書いている。日本人の発言とすればすぐタカ派にくくられ一蹴される。しかし、この意見は一般に日本(人)は外国(人)からどう見られているか、という問いへの答えになっている。今、日本人自身が自信を持って国防を考え直さなければならない時代に突入している。

日赤から金色有功章受章
40年にわたり年間1000隊員が献血
《十条》
 十条駐屯地(司令・輪倉昇陸将)は、このほど献血協力による功績が認められ、日本赤十字社から金色有功章及び日本赤十字社東京支部長から感謝状を受賞した。
 同駐屯地は年間3回、1年間に約1000名を超える隊員が毎年献血に協力、昭和42年に献血協力を始めてから、今年で40年が経過した。この間における毎年の献血に対し、今回の受賞となったもので、受賞日が防衛庁の省移行日と重なり、記念すべき受賞となった。
 受賞の席で日本赤十字社東京都赤十字血液センター所長中島氏が、採血した血液は3日間しか保存が出来ないこと、日本全国で1日当たり1万5千人の献血が必要なこと、献血が個人の健康管理にも大いに役立つことなど、貴重な話を語っていた。
 受賞に際し、輪倉司令は「今後とも献血事業に積極的に協力する」とコメントした。

防衛医学推進研究スタート
防衛庁の省昇格や自衛隊の任務の多様化などに伴い、自衛隊への医療貢献の期待が高まっていることから、自衛隊医官に対する最新の医学情報の提供と防衛医学関連の技術向上が緊要な課題となってきている。
そのため、平成18年度から、防衛医科大学校を中心に自衛隊病院と各医学実験隊が連携して防衛医学研究を行う新たな枠組みとして、防衛医学推進研究が約2億6千万円の予算でスタートした。
この研究は、自衛隊の任務遂行に必要な国際活動医療、災害救急医療、健康管理、メンタルヘルス、特殊環境衛生の5分野22課題について、全国約280名の医官らが参加して行われるもので、研究の中心となっている防衛医大には、昨年10月頃から、主任研究者となった教授らのもとに、全国の部隊から分担研究者や研究実施者に指定された医官が続々と集結している。
現在、防衛医学研究センターの会議室では、部外講師を招聘するなど課題毎のセミナーが頻繁に開催されており、教授や医官との活発な意見交換が行われている。
この研究に参加した医官らは、久し振りの母校の雰囲気を懐かしむ時間もなく、研究課題の調査・研究に奔走している。特に、多くの医官は、研究を通して最近の先端医学・医療技術に触れ、その急激な進歩に驚愕している。
日頃から最新の医学情報に接することが少なく、また、医学に関する情報入手の場が少ない部隊の医官にとって、このような機会が与えられることは、本人の医療技術の向上はもちろんのこと、自衛隊員の健康管理の面からも大変有意義なもので、この研究への参加が、医官にとって、今後の自己研鑽の動機付けになるとともに、部隊に戻ってからも医師として信頼される存在になることが期待されている。
防衛医大では、今後、この研究が継続され、更に拡充されていくためには、1期生となる今回の研究参加者の研究成果に委ねられているとしたうえで、部隊の医官らが研究に参加する際に必要となる各種事務処理についても、今後更に関係先と緊密な調整が行われ、より円滑な研究の推進が図られていくとしている。

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