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   2006年2月15日号
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第4次イラク復興業務支援隊
任務果たし、無事帰国
家族と半年ぶり再会
森陸幕長「イラク支援活動のノウハウ引き継ぐ」
 第4次イラク復興業務支援隊約100名が1月29日、民間チャーター機で半年ぶりに無事羽田空港に帰国、同空港や市谷駐屯地で防衛庁・自衛隊関係者、留守家族をはじめ関係者多数の出迎えを受けた。翌30日には、防衛庁A棟講堂で帰国報告が行われた。防衛庁・自衛隊の高級幹部や留守家族多数が見守る中、盛大な拍手に迎えられて斉藤剛隊長を先頭に派遣隊員が入場、整列した。次いで、森勉陸幕長が登壇、全員で国歌を斉唱したあと、斉藤隊長が森陸幕長に対して「任務を果たし全員異常なく帰国しました」と力強く帰国報告した。引き続き、森陸幕長が小泉純一郎首相から授与された防衛記念章を派遣隊員を代表して斉藤隊長に伝達した。森陸幕長が訓示の中で、約半年間、留守を守ってきた派遣隊員の家族の貢献に感謝しながら、派遣隊員に対して「厳しい自然環境や政治情勢の変化、治安の不安定な中でりっぱに任務を果たしたことによって、派遣隊員一人ひとりの名がイラク復興に刻まれた。今後、諸官が築いた復興支援活動のノウハウを後輩に引き継いでいってもらいたい。長い間、ご苦労さま」と、その労をねぎらった。同日夕、額賀福志郎長官が大臣室で、木村太郎副長官、高木毅・愛知知郎両政務官、先崎一統幕長、森勉陸幕長をはじめ高級幹部の陪席のもと、斉藤隊長に第1級賞詞、防衛功労賞を授与した。

 イラク南部のサマーワで公共施設の復旧整備や医療支援活動にあたる、イラク復興業務支援隊第4次要員(隊長・斎藤剛1佐以下約100名=西部方面隊主力)が、1月29日午前、出国以来約半年ぶりに無事全員帰国した。
 隊員たちを乗せた民間チャーター機は、予定通り羽田空港に到着。自衛隊関係者らによって出迎えられ、3台のバスに分乗し市ヶ谷駐屯地へ向かった。
 駐屯地儀仗広場に到着した一行は防衛庁関係職員、自衛隊関係者、隊員の家族44世帯154人に出迎えられた。隊員たちはバスから降り立つと整列し、斎藤剛隊長が帰国の報告。続いて廣瀬誠陸幕副長が「長期にわたる厳しい環境の中での勤務ご苦労様。立派に任務を完遂し、大きな成果をあげて今帰った、隊長以下隊員の元気で爽やかな顔を見て誇りに思いました。今日はゆっくり家族の人たちと過ごしてください」と挨拶し解散した。
 解散後隊員たちはそれぞれ家族と抱き合い、再会の喜びをかみしめた。ある隊員の家族は、「主人が留守の間、子供が病気にかかったり、帰国の不安などがありましたが、本人の顔を見てようやく安心しました」とほっとしていた。また、帰国した隊員は、「まだ日本に戻ったという実感がありませんが、家族に会えたのが何より嬉しい。サマーワの環境になれることには苦労しましたが、現地での復興が進んでいることが目に見えました。イラク、クウェートの子供たちの笑顔は日本の子供とかわらなく忘れられません」と話していた。斎藤隊長は記者会見に応じ次のように話した。
 ―日本に帰っての感想は。
 「富士山を目にしたとき、日本に無事帰ったと実感しました。一人の事故もなく安全に、それぞれ与えられた任務を完遂でき、喜びをかみしめています」
 ―現地で苦労したことは。
 「最初に現地入りしたのが去年7月の初めだったので、毎日50度以上の暑さの中、中には体重を20kgも落とした隊員もいました。最初の1、2カ月は体力的にも精神的にも相当きつかった。2、3カ月位から活動も軌道に乗ってきましたが、任務以外は外に出ることなく、毎日朝から晩まで淡々と勤務してきました。活動自体については、イラクの人たちに感謝されていたと実感しました。サマーワ当局やエンジニアの人たちは、勤勉で協力的でした」
 ―現地で印象に残った活動は。
 「活動的に一番大きかったのは、ワルカとルメイサの2カ所の浄水場の補修を完成させたこと。ムサンナ県の一日1万4000トン位の配水量が増加し、県民一人当たり一日23リットル分の水の供給量が増加し、イラクの人たちに感謝されました。また個人的には、ラマダン後喜捨するために、養護施設に行って、施設の子供全員にジャンパーをプレゼントして喜ばれたことが印象に残っています。そのときの子供の笑顔と、一緒に写真を撮った時のことが忘れられません」
 ―現地の治安情況についてはどうか。
 「ムサンナ県は比較的安定しています。反対勢力の動きや、宿営地近くでの砲撃など、決して油断はできませんでしたが、想定内のことで、訓練どおり対処し、安全を確保しました」
 ―第5次要員への引継ぎにあたり何か。
 「我々の成果を引き継ぎ、さらにいいものにして欲しい」


日本の文化広める
<空手用品引き渡し式>
 空手用品の引き渡し式が1月18日、サマーワ宿営地で行われた。これは、全日本空手道連盟がイラク空手道連盟の要望により、空手道着100着とクローブ(拳サポーター)50組を派遣隊員を通じて届けたもので、日本とイラク友好の基盤育成につながった。
 引き渡し式には、イラク空手道連盟の会長をはじめ関係者多数が出席する中、斎藤剛4次業務支援隊長が空手用品をイラク代表者に贈呈した。斎藤隊長は挨拶の中で「空手に先手なし」「一撃必殺」「戦わずして勝つ」など、空手の厳しい教えについて触れながら「これらの寄贈品が心身の鍛練のみに留まらず、空手を通じた日本と世界各国との交流の拡大のために大いに活用されるよう」要望した。
 これに対して、イラク空手道連盟会長がムサンナ県のインフラ整備・補修などに尽力している自衛隊の活動に感謝しながら「日本が更に、イラクのスポーツ界の新興のため支援して下さることを期待します」と挨拶した。
 引き続き、演武大会が行われ、防大空手道部0Bで空手歴24年、数々の輝かしい戦歴を誇る斎藤隊長が、自ら模範演武を披露するとともに直接イラク人に指導した。演武後、斎藤隊長は「イラク側の演武に感銘を受けました。彼らの水準は、世界的水準にあります」と称えながら「イラク空手道連盟と全日本空手道連盟が今後も更に親交を深めることを期待します」と語った。

大臣感謝状受賞を祝う
中野新一日米友好協会会長
 富士日米友好協会会長の中野新一氏の国務大臣・防衛庁長官感謝状受賞を祝う会が2月5日、静岡県御殿場市駅前のホテルで賑やかに行われた。同氏は富士地区の自衛隊員との交流激励やキャンプ富士の米海兵隊員との友好などで知られており、ベーカー前駐日大使からも直接感謝のメッセージももらっている。
 会場には、齋藤斗志二元防衛庁長官をはじめ、地区の人たち、近隣首長、議員、防衛庁自衛隊関係者や米海兵隊員ら約300人が集まり賑やかだった。そのなかで中野氏は「今日の感謝状は自分ひとりがもらったものではなく、ここに集まっていただいた方々みんなのものです。これからも日本のために活躍してくれている自衛隊のために少しでもお役に立ちたい」とお礼をのべた。式典の最後には、キャンプ富士司令官のジェームスJ・テイバック大佐がたどたどしく万歳三唱をして場内が和んだところで懇親会になった。

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