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   2003年2月15日号
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東チモールで日本映画上映
隊員と現地の子供ら100人が交流深める
 東チモール第2次派遣施設群本部管理中隊(中隊長・阿部3佐)では1月31日午後7時30分から、ディリ宿営地近傍の独立広場で近くの住民を対象とした映画上映会を開催した。
 この日は、午後5時から雨が降り出し開催が危ぶまれたが、雨の中、上映1時間前から付近の子供たちが集まりだし、上映時間になると2〜30名の子供たちが集合していた。
 上映内容は、派遣施設群の活動を編集した広報ビデオと日本のアニメ映画で、時折歓声も上がるなど、来場した子供たちは満足した様子で、担当した本部管理中隊の隊員も誇らしげだった。上映途中、映画の音に誘われて、逐次地域の住民が集まり、午後10時の終了時には、約100名が集まっていた。
 撤収時には、雨もほぼあがっていたが、ぬかるんだ中、暗闇の中での撤収は大変だった。それでも、数人の子供達が撤収を手伝ってくれたお蔭で隊員の士気も上がり、撤収は思いの外早く終了した。このような光景から、この上映会は、地域の人たちと派遣施設群をつなぐ架け橋になったと確信した。

防研で「安全保障国際シンポジウム」を開催
 防衛研究所(柳澤協二所長)は1月21、22日の両日、「平成14年度安全保障国際シンポジウム」をグランドヒル市ヶ谷で開催した。
 これは、国内外の著名な研究者が一同に会して「軍事力の非伝統的役割と東アジアの安全保障」を議題に研究会を公開の場で開いたもので、防研創立50周年記念行事の一環として盛大に行われた。
 会場にはフィリピン、中国、オーストラリア、日本の4カ国、9名の研究者に加え、多数の聴講者が集まり、2日間の日程で安全保障、防衛論議が交わされた。
 1日目のオープニングセッションでは柳澤所長の開会挨拶のあと、元フィリピン大統領・フィディル・ヴォルデス・ラモス氏が「21世紀の軍事力の新たな役割」をテーマに基調講演。続いて、朝日新聞特別編集委員・船橋洋一氏が同テーマを日本の視点から講演した。
 討論会は高木誠一郎第2研究部長を議長に、4部で構成され、21日は「多様化する武力紛争と軍事力の新たな役割」について中国、防研が発表。大学教授のコメントをはさみながら、会場からは活発に質問が投げかけられるなど、興味深く有益な討議となった。
 翌日は各国が「軍事力の新たな役割・東アジアの経験と教訓」「東アジアの地域協力」について調査、研究内容をそれぞれ発表。最後に統合討議が行われた。

空幕長が優良提案褒賞授与
高崎1佐、最優秀に輝く
 航空幕僚監部では2月6日、平成14年度優良提案褒賞授与式が行われた。
 優良提案褒賞は、前年度空幕長に報告された「独創性、応用範囲が優れているもの」「改善後の効果が大きく他部隊等にも広く参考になるもの」のいずれかを満たした業務改善提案の中から、特に優秀な提案者に与えられるもの。今回は、約1万件の提案の中から、空幕で審査、選出した結果、航法計算プログラムの作成が優良提案とされ、高崎一司1佐(西部航空方面隊司令部、提案時は偵察航空隊所属)が受賞した。
 授与式は防衛庁で行われ、吉田正空幕副長、関係各部長が陪席者となる中、遠竹郁夫空幕長から褒賞状とメダルが贈られた。

市ヶ谷台で成人式
 市ヶ谷基地・駐屯地に所在する新成人隊員を祝う成人式の行事を1月15日に、陸、海、空自衛隊合同で実施した。市ヶ谷基地・駐屯地新成人者の数は、陸30、海8、空5の総勢43名。
 成人式には、陸、海、空司令と近隣協力団体(市ヶ谷自衛隊友の会)、各部隊長等が参列。参加者全員による国歌斉唱から厳かに始まり、主催の航空自衛隊市ヶ谷基地司令(渡邊寛人1佐)の激励の言葉と協力団体会長から、厳しくも暖かい励ましの言葉があり、成人者一同思いを新たにした。次いで、陸空の新成人代表が、希望にあふれた誓いの言葉を述べ、睦、海、空各司令と協力団体から記念品が手渡された。
 引き続き、強風の中、晴々しい希望に満ちた面もちで、市ヶ谷の地ならではの歴史を感じる記念館玄関をバックに、記念写真を撮ったあと、場所を移して祝賀会食が開かれ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地司令(藤井信二1佐)の乾杯で始まった。新成人者各人の抱負発表をBGMにしながら祝賀会食用メニューに舌鼓を打った。また、成人式を迎えた喜びをも噛み締めながら出席者全員が和やかに談笑。最後に海上自衛隊東京業務隊司令(小林幹夫1佐)の万歳三唱で祝賀会食は終了した。

<防衛庁人発令>
 1海佐に特別昇任、定年退職(海自東京業務隊付) 2海佐 齋藤 秀明
 1空佐に特別昇任、定年退職(第7航空団付) 2空佐 檜垣 哲雄
     (2月1日)
 1海佐に特別昇任、定年退職(横須賀海上訓練指導隊付) 2海佐 久保木一郎
     (2月2日)
 定年退職(航空救難団付) 1空佐 梅木 良寛
     (2月4日)
 1陸佐に特別昇任、定年退職(通信団本部付) 2陸佐 上妻 敏満
 1空佐に特別昇任、定年退職(第6航空団付) 2空佐 松本 一誠
     (2月7日)
 1空佐に特別昇任、定年退職(第1航空団付) 2空佐 谷 志郎
     (2月8日)
 1空佐に特別昇任、定年退職(航空総隊司令部飛行隊付) 2空佐 山本 政市
     (2月9日)
 定年退職(横須賀地方総監部付) 1海佐 加藤 正治
 1空佐に特別昇任、定年退職(第2航空団付) 2空佐 天坂 昭二
     (2月12日)
 1陸佐に特別昇任、定年退職(陸自武器学校付) 2陸佐 森田 次夫
 1海佐に特別昇任、定年退職(佐世保地方総監部付) 2海佐 河丼 道郎
     (2月13日)
 定年退職(陸自幹部候補生学校付) 1陸佐 池田 等
 1陸佐に特別昇任、定年退職(第1戦車群付) 2陸佐 黒川 一夫
     (2月15日)
 1陸佐に特別昇任、定年退職(中央業務支援隊付) 2陸佐 原 敬二
     (2月18日)
 1陸佐に特別昇任、定年退職(陸自九州補給処健軍支処付) 2陸佐 本多 洋一
 1海佐に特別昇任、定年退職(海自東京業務隊付) 2海佐 神橋 哲郎
 同(対潜資料隊付) 2海佐 田中 博文
 同(呉地方総監部付) 2海佐 松藤 信清
 同(下総航空基地隊付) 2海佐 小林 富雄
     (2月19日)
 1海佐に特別昇任、定年退職(小松島航空隊付) 2海佐 尾崎 和男
     (2月20日)
 1海佐に特別昇任、定年退職(舞鶴造修補給所付) 2海佐 京谷 茂
     (2月22日)
 定年退職(第1ヘリコプター団本部付) 1陸佐 田口 浩二
 1陸佐に特別昇任、定年退職(陸自衛生学校付) 2陸佐 椎名 治夫
 1海佐に特別昇任、定年退職(海自東京業務隊付) 2海佐 廣瀬 恵司
     (2月23日)
 定年退職(陸自化学学校付) 1陸佐 砂原 毅
 同(呉潜水艦基地隊付) 1海佐 蔵本 正夫
 1陸佐に特別昇任、定年退職(陸自研究本部付) 2陸佐 岩崎 健次
     (2月24日)
 1空佐に特別昇任、定年退職(空自第2補給処付) 2空佐 塚本 和行
     (2月27日)
 1陸佐に特別昇任、定年退職(警務隊付) 2陸佐 高山 時男
 1海佐に特別昇任、定年退職(阪神基地隊付) 2海佐 衛藤 正徳
 1空佐に特別昇任、定年退職(第11飛行教育団付) 2空佐 有井 正夫
 (2月28日)

教官採用のお知らせ
 陸上自衛隊では、次のとおり防衛庁教官の採用試験『二種試験(大学卒業程度)相当』を行います。
 <採用予定先、試験区分及び採用予定数> 陸上自衛隊少年工科学校(神奈川県横須賀市)▽情報2名▽音楽1名▽美術1名
 <応募資格> 昭和48年4月2日から昭和56年4月1日までに生まれた者で、高等学校教諭一種免許以上(情報、音楽または美術)を有する者又は平成15年3月までに取得見込みの者
 <受付期間> 1月24日(金)から3月10日(月)まで
 <試験日> ▽第1次試験 3月23日(日) ▽第2次試験4月14日(月)
 <試験場所> 神奈川県横須賀市
 <合格発表> ▽第1次試験合格者 4月4日(金)▽最終合格 5月上旬
 <その他> 受験案内は、〒162-0845東京都新宿区市谷本村町5番1号「防衛庁陸上幕僚監部人事部補任課職員人事管理室」 TEL 03-3268-3111(内線40282〜40284)まで、160円切手を貼ったあて先明記の返信用封筒(角形2号・長さ33・2cmX幅24cm)を同封して請求してください。

<論陣>
スパイ船『万景峰号』の動向を注目
目本が対韓工作の拠点
 北朝鮮の貨客船「万景峰号」は、やはり対韓国工作船だった。また、この貨客船は在日朝鮮人が集めたり、拠出した裏金をこっそり本国に送っている疑いも濃い。「万景峰号の日本寄港を中止できないものか」。拉致事件もからんで、ほとんどの日本人はそう考えている。
 万景峰号がスパイ船だと断定されたのは、さきごろ警視庁公安部が検挙した在日朝鮮人(七十二歳)の自供があったからである。この男は、在日朝鮮人総連合(朝鮮総連)の幹部を務めた朝鮮労働党統一戦線部に属した重要党員であった。統一戦線部は、北朝鮮の独裁党組織の一部だが、この任務は同党の最終目標である"南北統一"を実現するために、韓国内、日本国内に潜入、工作を実行している部門。七十二歳の男は、この対韓、対日工作の日本拠点の責任者であった。多数の在日韓国人を手なずけ、補助工作員に仕立てて、韓国内にいる補助工作員の親族や知人に接近させ、韓国内に秘密拠点を組織させたり、韓国内の軍事情報、在韓米軍の動向などを極秘裏に集めていた。対韓工作をしていたことは、警視庁公安部が行なった男の自宅の家宅捜索の際、北朝鮮からの指令書や、工作補助員の氏名などが暗号で書かれた文書が発見され、それが動かぬ証拠になった。
 では指令は、どのような形でその男に伝えられていたのか。公安部の調べに対して男は「過去八年間におよんで万景峰号の船長や裏の高級工作員に船内に呼び込まれて、細かい口頭指令や指令書を渡され、それに従って"工作"をしていた。また、韓国、米軍情報を船長らに伝えていた」と供述しているのをみても、一見、民間貨客船とみえる同船は、実は北朝鮮にとって「実に重要なスパイ船だった」のである。
 万景峰号は、これまで、たびたび日本のテレビニュースや新聞、週刊誌などに登場してきたが,そのほとんどのニュースは、北朝鮮の最高実力者である金正日氏に贈られる高級メロンや北朝鮮では、なかなか手に入らない食物や生活物資、家電製品の積み込みや在日朝鮮人子弟の修学旅行の光景などだった。
 ところが、日本の捜査当局や情報、金融機関などは以前から「万景峰号は日本から裏金を本国に密送しているのは間違いない」といっていた。事実、北朝鮮の工作員や船員、乗客たちが、在日朝鮮人の金正日氏への献金をはじめ本国の経済活動を援助するための拠金(外貨)をこっそり数多くのカバンや手提げに詰めて持ち帰ったというのである。当局は「いちばん多いときには一度に規定の十倍の数万ドル、数千万円の日本円が運ばれていたこともあるようだ」と語っているものもいる。
 万景峰号は北朝鮮と日本(新潟港など)を結ぶ不定期便で、在日朝鮮人たちの祖国訪問に利用されているが、こんどの事件発覚で北朝鮮の"スパイ船"であり、船長らはスパイ工作のための指令を在日工作員に伝える重要な諜報工作員であることが判った。七十二歳の男のほか、日本に潜んでいる別の在日朝鮮人も「三年前に万景峰号の船長から指令を受けた」と捜査当局の調べに自供しているところから、同号は常習的に情報を収集する船であることは明白である。同船の日本寄港回数は驚くほど多い。当局の情報によると、日本と朝鮮の間を少ないときで二十回、多いときには三十回以上も往復している。同船は排水量約九千六百トンの純白な美しい船で、さる一九九二年に在日朝鮮人の寄付など約八十億円で建造され、いまのが三代目。同船は日本への航海だけでなく、日本以外の国へも寄港している。例えば、昨年、美女応援団が有名になった韓国でのスポーツ祭典のときも、韓国の港に入港し、応援団のホテルがわりに使われたのは有名である。同船に積まれる物品についてこれまでは、一応、日本側の係官の検査を受けていたが、「検査がゆるやか過ぎる」との批判が上がったため、検査当局は「こんご一層厳しい検査を実施する」と語っている。こんどの"スパイ工作事件"について警視庁公安部では相当以前から事件そのものをつかんでいたが、日本国内での秘密組織を徹底して調査するため「泳がしていた」ふしが強い。いずれにしろ北朝鮮の動向にはしっかり注目していく必要がある。

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