|
|
世界レベルの大会でメダル獲得目指す 冬戦教
|
青森冬季アジア大会バイアスロンなど準備万全 |
|
本番へ向けて射撃練習をする選手たちの表情に迷いはない
(1月25日、真駒内で) |
|
陸自冬季戦技教育隊(隊長・岸良和典1陸佐)はスキー技術のエキスパートを養成するための教育や、積雪寒冷地における部隊運用の調査研究に加え、昭和37年より始まった「バイアスロン・スキーの教育訓練」を行う陸自唯一の冬季専門部隊。これまでオリンピックやアジア大会を含む数々の大会に出場、さらにワールドカップへの出場など国内外問わず活躍し優秀な成績を収めてきた。
今回の冬季アジア大会にも男女バイアスロン各6名、女子クロスカントリー2名がそれぞれ冬戦教から日本代表に選出された。
1月25日、アジア大会本番を目前に控えバイアスロン、クロスカントリーの各代表となった隊員が真駒内の冬戦教特別コースで最終調整を行った。この日は昨年11月からワールドカップやヨーロッパカップ出場のため欧州を転戦してきた「海外組」が帰国・合流して最初の練習日となり、軽めの調整が予定されていたが、練習する隊員たちは数日後に迫る本番への緊張感にあふれていた。
その緊張感ある練習にはいくつかの理由がある。冬季アジア大会では第1回(1986年・札幌)、第2回(1990年・札幌)とバイアスロンで優勝者を出したものの、ここ2大会はメダルこそ獲得しているが金メダルからは遠のいている。「目標は完全優勝。可能性は男女ともに十分あります」と語る小舘監督の言葉どおり、今大会は自国開催ということもあり冬戦教では主力級の選手を揃え、万全の態勢で本大会に臨んでいる。また、選手たちも全員「日本代表」とはいえ、実際に出場できるのは6人のうち4人。本番へは監督が選ぶ4名のみが出場できるとあっては選手もまだまだ気が抜けず、そしていつでも交代できるように6人全員が調子を整えておく必要もある。
そんな代表選手たちの練習はクロスカントリーのコースを走行後、射撃場に入りながら背中に担いだ銃を下ろし素早く腹這いの姿勢に。呼吸を整え50m先の5つの標的に向かい射撃。射撃を終え、立ち上がりながら銃を担ぎストックを持ち再びクロスカントリーのコースへ。
この一連の動作にかかる時間は1分に満たない。呼吸を整えるのに時間がかかればその分タイムをロスするが、標的を外すとペナルティを課せられる。まさに「静」と「動」の切り替えが必須となる。弾丸が命中すると金属製の黒い標的は白く反転する。外した標的は黒いまま残る。練習を見つめるスタッフは標的のどの方向に弾丸が逸れたか告げ、選手は次の射撃でまた微調整をする。選手によっては撃った瞬間に外した方向がわかるという。こうした練習で徐々に集中力を高め、練習終盤、全弾論中させる選手も多くなる。それでも競技本番では絶対安心とされる選手が外すことも珍しくないという。射撃技術だけでなくプレッシャーに強い精神力がものをいう。
選手たちからは「大会を楽しみたい」「世界選手権など次につなげたい」といった声や「目標は金メダル」と力強く語るものまでその思いは様々。しかし、皆が声をそろえて言うのは「日本代表としてがんばります」ということだ。アジアの強豪を迎え表彰台の「一番上」を目指し冬戦教の選手たちは大会に臨んだ。(小川郷太郎) |
|
出場選手等プロフィール
|
|
氏名、階級、年齢、血液型、出身地・出身校、趣味、座右の銘、主な戦績の順
<バイアスロン監督>
小舘 操(こだて・みさお)1尉
▽41歳(蠍座・A型)▽岩手県・一戸高校▽88年カルガリー五輪リレー競技=14位、89年宮様スキー大会国際競技会リレー競技=優勝・インディビデュアル20km=優勝、90年第2回冬季アジア大会リレー競技=優勝、92年アルベールビル五輪出場、94年リレハンメル五輸出場
<バイアスロンコーチ>
山瀬 功(やませ・いきお)准尉
▽48歳(射手座・A型)▽北海道・木古内高校▽86年第1回冬季アジア大会リレー競技=優勝・インディビデュアル20km=優勝・スプリント10km=3位、87年バイアスロン日本選手権スプリント10km=優勝
佐藤裕英(さとう・ひろひで)1曹
▽42歳(牡羊座・O型)▽秋田県・米古内高校▽86年第1回冬季アジア大会リレー競技=優勝、87年バイアスロン日本選手権リレー競技=優勝、88年バイアスロン日本選手権リレー競技=優勝、90年第2回冬季アジア大会リレー競技=優勝
<トレーナー>
遠山立春(とうやま・たちはる)1曹
▽35歳(水瓶座・B型)▽新潟県・村上櫻ヶ丘高校▽92年宮様スキー大会国際競技会リレー競技=優勝、92年バイアスロン日本選手権リレー競技=優勝・スプリント10km=2位
<ワックス>
井上 均(いのうえ・ひとし)2曹
▽33歳(水瓶座・O型)▽山形県・尾花沢高校▽95年北海道スキー選手権50km(F)=5位・リレー競技=5位
本間 哲行(ほんま・てつゆき)2曹
▽32歳(蟹座・O型)▽山形県・金山高校▽91年全日本選手権リレー競技=優勝・15km(C)=2位・30km(C)=4位、92年全日本選手権リレー競技=優勝
<バイアスロン>
菅 恭司(すが・きょうじ)2曹
▽33歳(牡牛座・A型)▽北海道・倶知安農業高校▽ガーデニング・日曜大工・ドライブ▽「己を信じる」▽98年長野五輪出場、02年W杯第6戦インディビデュアル20?=8位、02年ソルトレイク五輪インディビデュアル20km=20位、02年宮様スキー大会国際競技会リレー競技=優勝
遠藤智徳(えんどう・とものり)2曹
▽25歳(牡牛座・O型)▽山形県・東洋大学▽ドライブ▽「自信」▽02年全日本スキー選手権50km(C)=10位、02年バイアスロン日本選手権リレー競技=2位、02年宮様スキー大会国際競技会リレー競技=2位、02年ヨーロッパ杯第1戦20kmインディビデュアル=6位
笠原辰己(かさはら・たつみ)2曹
▽26歳(水瓶座・A型)▽新潟県・近畿大学▽ドライブ▽「努力」▽02年北海道選手権50km(F)=3位、02年全日本スキー選手権50km(C)=9位、02年バイアスロン日本選手権リレー競技=優勝、02年ヨーロッパ杯第1戦10kmスプリント=6位
目黒宏直(めぐろ・ひろなお)2曹
▽29歳(牡牛座・O型)▽新潟県・中越高校▽音楽鑑賞▽「勝負は土俵の外にある」▽98年長野五輸出場、02年W杯第6戦リレー競技=12位、同第7戦パシュート12.5km=24位、02年ソルトレーク五輪リレー競技=13位
能登 直(のと・すなお)3曹
▽25歳(魚座・A型)▽北海道・遠軽高校▽子供と一緒に遊ぶ事▽「チャンピオン」▽02年バイアスロン日本選手権リレー競技=優勝・スプリント10?=2位、02年宮様スキー大会国際競技会リレー競技=優勝・インディビデュアル20km=2位
井佐英徳(いき・ひでのり)3曹
▽26歳(獅子座・O型)▽新潟県・小千谷西高校▽マウンテンバイク▽「一石二鳥」▽99年冬季アジア大会スプリント10km=8位・リレー=2位、00年W杯第3戦パシュート12.5km=33位、01年W杯第7戦スプリント10km=39位
築舘郁代(つきだて・いくよ)2曹
▽25歳(山羊座・O型)▽青森県・青森大学▽特になし▽「前進あるのみ」▽01年バイアスロン日本選手権スプリント7.5km=優勝、02年W杯第2戦リレー競技=9位、同第3戦スプリント7.5km=30位・リレー競技=8位
鈴木香苗(すずき・かなえ)2曹
▽24歳(乙女座・AB型)▽福島県・日本女子体育大学▽読書・料理▽「努力は人を裏切らない」▽02年全日本スキー選手権5km(C)=4位・10?(F)=5位、02年W杯第2戦リレー競技=9位、同第3戦リレー競技=8位
田中珠美(たなか・たまみ)3曹
▽27歳(双子座・B型)▽富山県・富山第一高校▽映画鑑賞▽「前進あるのみ」▽00年世界選手権インディビデュアル15km=4位、01年W杯第3戦スプリント7.5km=4位、02年W杯第2戦スプリント7.5km=21位、同第3戦スプリント7.5km=16位
高野早苗(たかの・さなえ)士長
▽23歳(牡羊座・B型)▽青森県・野辺地高校▽音楽鑑賞▽「常念必現」▽01年宮様スキー大会国際競技会インディビデュアル15km=3位、02年全日本スキー選手権10km(PF)=8位、02年W杯第2戦リレー競技=9位、同第3戦リレー競技=8位
野口可奈子(のぐち・かなこ)士長
▽22歳(射手座・A型)▽北海道・旭川大学高校▽洋画、洋楽鑑賞▽「泣きながら笑おう」▽01年宮様スキー大会国際競技会インディビデュアル15km=優勝、02年ヨーロッパ杯第1戦7.5kmスプリント=4位・15kmインディビデュアル=4位、同第3戦15kmインディビデュアル=4位
佐藤祥子(さとう・しょうこ)士長
▽22歳(牡羊座・A型)▽山形県・真室川高校▽映画鑑賞▽「やればできる」▽02年バイアスロン日本選手権スプリント7.5km=4位、02年宮様スキー大会国際競技会インディビデュアル15km=5位、02年北海道選手権5km(C)=6位・15km(C)=優勝
<クロスカントリー>
曽根田千鶴(そねた・ちづる)3曹
▽24歳(魚座・A型)▽山形県・新圧北高校▽音楽鑑賞▽「心願成就」▽02年全日本スキー選手権5km(C)=優勝・10km(F)=優勝、03年全日本クロスカントリー音威子府大会5km(F)=優勝、03年サロモンカップ全日本クロスカントリー10km(F)=優勝
越田夕香(こした・ゆか)士長
▽21歳(蟹座・A型)▽北海道・喜茂別高校▽音楽鑑賞▽「努力」▽02年全日本スキー選手権リレー競技=優勝・5km(C)=3位・15km(F)=3位・30km(C)=2位 |
|
3面へ |
|
|