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   2003年3月1日号
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防衛セミナーを開催 下関基地隊
12年前の湾岸戦争時に掃海部隊派遣
森田司令が自らの体験語る
 下関基地隊(司令・森田良行1佐)では1月27日、山口県防衛協会青年部会下関支部(会長・安成信次氏、会員数109名)で森田良行1佐が「ペルシャ湾掃海に想う」と題し、防衛セミナー講演を実施した。これは防衛協会青年部会の会員に対し、海上自衛隊が実施している任務に対して認識を高めてもらい、広く防衛意識の普及・啓発を図ることを目的として実施されたもの。
 当時、日本はペルシャ湾沿岸の産油国から、年間2億数千万トンの原油を輸入しており、原油を搭載したタンカーが、ホルムズ海峡を年間約2,500隻が通過していた。1990年8月2日、イラクは世界でも有数の産油国であるクウェートに侵攻・占領した。米軍の攻撃を阻止するため、海岸線に1,200個の機雷を敷設した。これによりホルムズ海峡を航行する船舶に重大な脅威を与えていた。
 湾岸戦争集結後、国際貢献を迫られた日本は総額130億ドルに上る資金援助を実施したが、ほとんど評価されず人的貢献を求める国際世論に押され、内閣は、1991年4月24日、安全保障会議及び閣議において自衛隊法第99条(機雷等危険物の除去)を根拠としてペルシャ湾への掃海艦艇の派遣を決定した。
 同年4月26日、自衛隊創設以来、初の海外任務としてペルシャ湾通行船舶の安全航行確保のため、遠く、ペルシャ湾に向けて佐世保、呉、横須賀から掃海艦艇6隻と隊員511人が出港した。当時、第14掃海隊司令であった森田2佐(当時)は、全般指揮官・落合1佐(当時)の指揮の下、掃海艇4隻、乗員188人を率いる派遣部隊の現場指揮官として、ペルシャ湾の掃海作業に当たった。
 森田1佐は、山口県防衛協会青年部会下関支部会員約100人を前に日頃の部隊支援に対する感謝の言葉の後、自らが、ペルシャ湾掃海派遣部隊の現場指揮官として派遣され、米国や英国、イタリア、フランス等9カ国から派遣された約40隻の掃海艇とともに気温摂氏50度、湿度98%、海水温度35度、毒クラゲ、サメ、また、砂漠からの細かい砂じんが舞う劣悪な環境下で6月5日から9月11日までの間、係維掃海や感応掃海機雷掃討等を実施したこと。パイプラインが有り現場で機雷処理が出来ないこと、新型機雷の情報不足、爆薬不足等の不安要因がありながらも、米海軍の協力や太平洋戦争の戦後処理の経験、家族や国民の支持・支援で、乗員の士気は高まり、一件の事故もなく、敷設された1,200個の機雷の総てを除去し、ペルシャ湾の船舶航行の安全を確保したこと。また、湾岸各国の在留邦人が大歓迎の慰労会を催してくれたことなどを当時を回想しながら語った。

練艦隊、乗艦実習へ
自衛隊・米軍基地など研修
 練習艦隊(司令官・杉本正彦海将補)は旗艦「かしま」、第1練習隊の「あおくも」「しまゆき」「あきぐも」に加え、護衛艦隊から派遣された護衛艦「はまゆき」の5隻(乗組員約700名)の陣容で1月18日、海上自衛隊幹部候補生学校第53期一般幹部候補生(187名、うち女性12名、タイ王国留学生2名、シンガポール共和国留学生1名)に対する乗艦実習のため江田内(広島県江田島)を出港した。

 この乗艦実習は、近海練習航海その1として候補生が幹部候補生学校を卒業して行われる近海練習航海その2及び、遠洋練習航海へ繋げる準備として、艦内生活への慣熟と艦艇乗組幹部としての一般的な知識、初歩的な技能を身につけさせるためのもので、航海中は候補生による操艦訓練、防火・防水訓練等の実習や、射撃訓練、ミサイル射撃等の見学が予定されている。

 また、訓練の合間を縫って西日本各地に寄港し、自衛隊、米軍基地及び防衛関連企業の実地研修も行われる。

練習艦隊5隻佐世保に寄港
杉本司令官が挨拶
 練習艦隊(司令官・杉本正彦海将補、練習艦「かしま」等5隻)は1月19日小雨振る朝、佐世保基地の隊員や関係者ら約200人が出迎える中、立神岸壁に入港した。
 岸壁では佐世保音楽隊の演奏と入港歓迎行事が行われ、佐世保商工会議所副会頭からの歓迎挨拶と長崎県知事、佐世保市長等12の機関並びに団体から乗組員や候補生の代表に花束が贈呈され、杉本司令官は「海軍時代から海上防衛の要である佐世保に入港できたことは候補生にとって思い出となり、また、何人かは幹部に任官して勤務することになると思うのでよろしくご指導をいただきたい」と挨拶した。
西力総監部や8師団を研修
 練習艦隊は1月23日佐世保出港までの間、海自佐世保史料館、三菱長崎造船所、陸上自衛隊西部方面総監部や第8師団の研修を行った。
 また、20日には地元諸団体による歓迎レセプションが佐世保市内で行われ、長崎県出身候補生7名の紹介と、候補生による「海を行く」等の隊歌が披露され会場は大いに盛り上がった。

第16回サラリーマン川柳コンクール(第一生命)
防衛庁 傑作集
  <優秀作品>
 小隊長!! 状況送れ 写メールで (近代戦闘U)
 派遣先 世界のどこかと 探す妻 (PKO心配妻)
 昇任は きらいなのかと 妻が聞く (枝園)

  <優良作品>
 女房の 井戸端会議で 知る任地 (グータラ幹部)
 準備よし 階級章と 針と糸 (もういいでしょう)
 行く先の 地名が読めぬ PKO (中東の空を仰ぐ男)
 言葉より メールが速い 新隊員 (中曹兵)
 イージス艦 それってアルミ スチール缶 (ゴミ当番)

  <良好作品>
 階級で 判断するなと 妻に言う (五時から仕事)
 退官日 妻子は海外 一人酒 (演歌人)
 入隊も 再就職も 狭き門 (防人親子)
 公開法 メモせぬ会議に 様変り (小心者)
 たまちゃんを 捜すより難儀 弾捜し (草の根)
 野営から 帰ったその日に 次はいつ (愛妻ママ)
 大不況 募集事務所は 大盛況 (うどんマン)
 防衛庁 省がないけど まっいいか (仙人)
 帰宅して 入浴してたら 非情呼集 (絶影)
 普通科に 定時制あるかと 受験生 (戦う事務官)
 WACだけ 手取り足とり 鬼班長 (無骨な新隊員)
 携帯が 家族の絆 遠隔地 (さびしがりや)
 この任務 君しか出来ぬと 高瀬舟 (海外派遣マン)
 誰だっけ 名前忘れて 皆班長 (健忘症)
 敬礼の 視線はいつも 肩におり (司令官)
 缶飯(かんめし)と カツパン食べて 子は育つ (引越し貧乏)
 実るほど 頭を上げる 幹部かな (A幹部)
 在りし日の 自分を偲ぶ 新隊員 (緑の狸)
 いつまでも あるとおもうな 階級章 (グータラ幹部)
 陸曹に なってよかった バブル期に (バブル陸曹)
 腕立てで なぜにあごより 腹が着く (すみとものペンネーム)
 3月も ボーナスあったの 公務員 (スパイラル)
 釜の飯 高学歴に 敗けぬ技 (古参助教)
 先任が 笑顔で手招き 来た!!勤務 (サンデー当直)
 携帯で 羽が伸びない 単身者 (エンジェルのおっと)
 自衛隊 辞めて気が付く よいところ (再入隊)
 夜間には 携帯メールで 無声指揮 (メール好き小隊長)
 補助官の そばにかならず ゲリラあり (演習玄人)
 上司にも つけてやりたい バウリンガル (ヤシマノ大狸)

<論陣>
インターネットは両刃の剣だ
=埼玉県の3人心中から想う=
 「人間の生命の重さなんて羽毛より軽いんだ。たヾ、一人だけで死ぬのは、あまりにも寂しい。だれか私と一緒に死んでくれませんか?」。パソコンのホームページが、そうささやいた。とたんに5人の"自殺志願者"が現われ、そのうちの3人が一緒に死んだ。ついさきごろ、埼玉県で起きた集団自殺のことである。26歳の男性に誘われて付いていった2人の女性は、ともに大学卒のいわゆるインテリであった。若者にとって「死」とはそんなに軽いものなのだろうか。生かすも殺すもパソコンのメールしだい。最近、パソコン、特にホームページを使った事件、事故が急増しているのは確かである。
 パソコンは表と裏の「顔」を作り出している。明るい点は、科学技術の発展に大きく寄与している。現況の把握、未来の予測、企業経営の合理化、そして各種情報を知る上でも、実に簡単に情報が得られる。ひと言でいえば、20世紀が生んだ最高の機器である。
 ところが、近年、"悪事"の面でも、幅広く横行しはじめた。新しい社会悪を作りだしてきた。その悪事は、時とともに、さらに悪質なものになってきている。麻薬取引きは単に国内的なものから、インターネットでの国際取引きになってきている。警察官、麻薬取締り官だけの手では、どうにもならなくなってきている傾向にある。
 売春もメールで知り合っての商売になってきている。一度も顔を合わせたことのない男女が売春、買春に走っている。ついさきごろ電子メールで知り合った南の島(青ヶ島)の男性課長が、わざわざ上京してきて買春した例がある。それも船、飛行機を乗り継いでの本土入りだったという。馬鹿馬鹿しいという以上に、あきれて物が言えない出来事だった。
 埼玉県の事件も単純といえば、あまりにも単純すぎる。死んだ本人たちは、それでいいだろうが、可愛いいわが子を24年間、26年間にもわたって育ててきた親たちにとってみれば、なんともやり切れないに違いない。「就職がないだけで死ぬなよ。将来まだ長いんだから」こう言いたくなるのは当たり前であろう。
 では自殺願望、心中願望者とは、そんなにたくさんいるものだろうか。それをホームページで調べたテレビ会社があった。さる2月半ば、そのテレビ会社が"死"に関するホームページを開いていくと、インターネット上で、その日に呼びかけていた自殺、心中願望者の数は、なんと『493件』もあったという。こんな数字を書くと、また増えそうな気持ちはするが、本音は「死んではなにも残らない。パソコンを、こんなことに使うな」との警鐘のつもりである。
 殺人事件にもインターネットが使われている例が多くなってきている。名前も教えていないところに、顔も知らない男性から呼び出しメールが送られてくる。メールの内容は実に甘い言葉で綴られている。つい、指定された場所に出向いてみると、いきなり、男にバックをひったくられようとした。大声をあげたら、男はナイフで女性の胸と首筋を斬りつけて逃走した。女性は救急車で近くの病院に運ばれたが、死亡した。大阪での出来事である。男の目的はただひとつ「お金が欲しかったのだろう」と警察官は語っている。
 ホームページは、確かに"両刃の剣"である。使い方ひとつで世の中の役にもたつ。例えば昔はさんざん苦労した「ボランティア集合の訴え」などは、ひと声かければ何十人もの善男善女が集まってきて社会のために無報酬で手伝ってくれる。学生たちの勉強のいいアドバイザーになってくれる。その教えで上級の学校に合格できたなどの話はあちこちで聞く。実に明るく、気持ちのいいインターネット活用法である。
 ところが一転、その使い方を狂わせるとホームページが牙をむくことを忘れてはならない。掲示板の管理会社も"自殺"の呼びかけには応じないことを決めはじめている。埼玉県の3人心中事件で男性が呼びかけた掲示板の管理会社(大阪市)は、事件の翌日から掲示板へのアクセスを停止する措置をとった。管理会社も「もうけ主義一辺倒から、この会社のように世を曲げない努力をしてもらいたい」。

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