予備自衛官等制度は7月1日に発足70周年を迎える。5月23日から27日の間、東京市ヶ谷等において祝賀行事や表彰、中央訓練等が行われ、全国から選抜された60名の予備自衛官等が参加した。
災害派遣で活躍
年齢制限等の緩和で充足率向上へ
予備自衛官等は普段は社会人・学生としてそれぞれの職に就きながら、年間決まった日数の訓練に応じ、有事や災害等のいざという時は自衛官として活動する。制度には、主に後方支援の任務に就く「予備自衛官」、第一線部隊の一員として活動する「即応予備自衛官」、自衛官未経験者を予備自衛官に教育する「予備自衛官補」の3つからなり、年間の訓練日数等や処遇が異なる。平成23年の東日本大震災での初招集以来、今年1月の能登半島地震まで8回の災害派遣活動に従事する等、戦後最も厳しい安全保障環境において予備自衛官等に対する期待は高まっている。防衛省も年齢制限や訓練期間の緩和、雇用企業に対する補償の充実を図り、予備自衛官等の充足向上を目指している。
国民との架け橋に
24日、防衛省では表彰式や講話が行われた。表彰式では、防衛大臣表彰(予備自衛官としての勤続年数が30年以上)10名と陸上幕僚長表彰(同20年以上)10名がその功績を称えられた。
森下泰臣陸幕長は訓示冒頭で、本職が多忙の中で招集訓練に応じる予備自衛官等に対して敬意を表した。また、「国民と陸上自衛隊の架け橋たれ」と要望、「予備自衛官として自らを鍛練する傍ら、雇用企業等で活躍することが国防に対するより多くの理解者を得ることができる」と述べた。
同日午後からは能登半島地震における災害派遣に、実際に従事した即応予備自衛官と予備自衛官による講話が行われた。「現場に行かないとわからないことがたくさんある」「被災者のお役に立てた」等と活き活きと話す姿に、聴講した予備自衛官等の士気も上がったようだ。(講話を行った2名のインタビューの様子は次号でお伝えします)
予備自衛官等制度のあゆみ
昭和29年7月 予備自衛官制度発足
45年5月 海上自衛隊で制度導入
61年12月 航空自衛隊で制度導入
平成5年3月 女性予備自衛官採用開始
10年3月 即応予備自衛官制度発足
14年3月 予備自衛官補制度発足、予備自衛官の災害招集の導入
16年6月 国民保護等招集の導入(予備自衛官・即応予備自衛官)
23年3月 初の災害招集(東日本大震災)
28年4月 2回目の災害等招集(熊本地震)
28年5月 海上自衛隊に予備自衛官補制度導入
30年7月 3回目の災害等招集(7月豪雨)
30年9月 4回目の災害等招集(北海道胆振東部地震)
令和元年10月 5回目の災害招集(台風19号)
2年2月 6回目の災害招集(新型コロナウイルス)
2年7月 7回目の災害招集(令和2年7月豪雨)
6年1月 8回目の災害招集(能登半島地震)
6年1月 予備自衛官補の採用時年齢要件を34歳未満から52歳未満に緩和 |