自衛隊員の皆さん・家族の皆さんはじめ読者の皆さんがご覧になっている本紙 "防衛ホーム創刊50周年記念号" 。発行責任者は、防衛ホーム新聞社代表取締役社長の吉田佳子さん。
・・・今から50年前。
防衛庁(当時)・自衛隊に対する国内情勢は、今日では想像が出来ない程に風当たりが強く、防衛庁・自衛隊の皆さん、その家族の皆さんは、大変厳しい環境下に在りました。
こうした中、何としても自衛隊員の皆さんとその家族の皆さんを勇気づける新聞を作ろうではないか、ひたすらそんな思いを持って懸命に汗をかいて来られた方の一人が、吉田佳子社長の父君でもあり、社長を務められた所谷尚武さん(84歳・現在は同社会長)。
所谷さん曰く、「新聞の名前は、自衛隊員の皆さんを最も身近で支えておられる家族の皆さんを激励する思いを込めて、 "防衛ホーム" に決めていました。 "防衛ホーム" の理念は、発行当初から今日まで一貫しています。「自衛隊の出来ないことで自衛隊を応援する」。本紙が、常に国民の皆さんと共に在る自衛隊を担う自衛隊員の皆さんにとって、誇りと自信を持っていただく一助になれば、こんなに嬉しいことはありません」
所谷さんは、社長退任後の今も、同紙の看板コラム「雪月花」欄の執筆を続けています。自衛隊の皆さん・家族の皆さんに対する熱い声援は変わりません。
"防衛ホーム" 。
1973年(昭和48年)の創刊以来、半世紀の長きにわたり、自衛隊の皆さん・家族の皆さんに寄り添い、応援し、喜び、涙し、時に諫言もいとわず、一緒に歩んで来ています。
そして今、僕たちは、ロシアのウクライナ侵略や中国の覇権主義、北朝鮮の核・ミサイル開発など、これまでになく厳しい安全保障環境の真っ只中に在ります。防衛省・自衛隊に対する国民の期待は大変大きく、それだけに責任は重大です。
そうした中、自衛隊員そして家族の皆さんにとって、本紙 "防衛ホーム" は、いつもそばにいる小さくて大きな、かけがえのない「相棒」と言っても過言ではないのではないでしょうか。
「自衛隊員の皆さん、誇りと自信を持って任務遂行に取り組んでください。いかなる事態が生起しようとも、国民の負託に応え得る自衛隊であり、自衛隊員であってください。頑張ってください!」そんな思い・応援が紙面に込められている一号、一号です。本号は、創刊から数えて第1109号になります。
"防衛ホーム" の報道には、本紙ならではの大きな信念・特色が、少なくとも三つある。僕はそう思います。しかもそれらは僕だけでなく、きっと多くの隊員の皆さんや読者の皆さんも共有されているのではないでしょうか。
◎その一つは、本紙は、防衛省・自衛隊の幹部のみならず、全国の准曹士の皆さんに思いを致し、役割を重視し、声を受け止め、その発信に力を入れていることです。
その一例は、「統合下士官会同」についての報道にも見ることが出来ます。統幕・陸幕・海幕・空幕の最先任の皆さんが揃った写真と共に、「さらなる最先任制度の発展と准曹士の意識改革を進め、士気の高揚に一層奮励努力して行く事を改めて互いに誓い合ったところである」旨報じています。
また、各部隊最先任の皆さんが、毎号リレーでそれぞれの思いを綴っている「機略縦横」欄も、本紙ならではの企画だと思います。こんな記述もありました。「人知れずコツコツと頑張っている方に照明を当てることが私の役目の一つと考えています」、「隊員に声をかけ、声を聴く、そして部隊指揮官を補佐して任務完遂に努める。隊員が任務完遂後に "充実感" と "笑顔" が残るよう努力する」
◎例えば、国民の皆さんが身近に感じている自衛隊の災害派遣活動。厳しい被災現場で頑張っている部隊や隊員の皆さん。国民の皆さんから大いに頼りにされ感謝もされています。
忘れてならないことは、そうした部隊や隊員の皆さんの後方に在って、懸命にその部隊活動を守り、派遣隊員に対する支援を続けている隊員の皆さんの存在です。災害派遣のみならず、自衛隊の全ての活動について言えることですが、彼らが直接国民の皆さんの目に触れることは、まずありません。
本紙報道の二つ目の大きな特色は、ここにあります。
本紙は、強い信念を持って彼らに注目し、そうした裏方の隊員の皆さんにズット寄り添いながら応援をし続けて来ています。それぞれの任務に対する誇りと責任感、そして部隊相互や隊員同士の一体感・絆の醸成に、本紙が果たしてきた寄与は大変大きいものがある。そう思います。
◎本紙の三つ目の特色・信念は、「女性自衛官」に対する捉え方ではないでしょうか。僕がそれを強く感じたのは、昨年2022年3月15日付け吉田佳子社長の署名入りトップ記事です。3幕広報室長の大きな写真の下、吉田社長は、はっきりと書いています。「自衛隊でも素晴らしい役割を担ってきた女性たちが、陸海空幕僚監部の広報室長として揃った。・・・「たまたま3幕の広報室長が女性になっただけであり、女性が広報室長になったのではない」という事にはこだわろうと思う。今年は防衛大学校に女性一期生が入校し30年という節目の年。長い年月を経て適材適所で個性と能力を伸ばし要職に就く。その背中を後輩たちに見せ、日々邁進している室長たちにエールを送りたい。そして早くこれが普通になるように・・・。」
防衛ホーム社の皆さんは、本紙の発行に留まらず、自ら若者の街・東京秋葉原のど真ん中に進出したりするなど、様々な機会を創り、また捉えて、陸海空自衛隊の諸活動等の展示・PRにも力を入れて来ています。コロナの予防接種支援活動は記憶に新しいところです。
防衛ホーム社の社員数は、吉田社長はじめ僅かに8名。でも、現員約23万人の自衛隊員の皆さんそしてその家族の皆さんに思いを馳せ、エールを送り続ける吉田社長始めスタッフの皆さんの士気は高い。活き活きと、また楽しそうに、本紙の編集・発行業務や自衛隊PR活動等に取り組んでいます。
「天は、誠実な努力とひたむきな決意を、決して無視はしない」(京セラ創業者 稲盛和夫)
頑張れ、防衛ホーム!
北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事 |