予断を許さない国際安全保障環境。それに対する政府の大きな施策の転換。我が国の厳しい財政事情の下にあって大幅に増額された防衛関係費。
国民の皆さんは、こうしたことを目の当たりにして来ています。それは、防衛省・自衛隊、自衛隊員に対する期待が大きいことを、同時に、厳しい目で見ていることを示しているのではないでしょうか。
一言でいえば、平時における大規模震災対処はもちろん、わが国有事の防衛対処等、いついかなる事態の生起に際しても、防衛省・自衛隊、自衛隊員の皆さんはその責任を全うし、任務を完遂し、以て国民の負託に応える存在でなくてはならないというものです。「そもそも防衛関係費の大幅増額、防衛力・自衛隊の強化とはそのときのためではないか。頼むぞ!」そんな強い思いで見ていると言っても過言ではないと思います。・・・すでに隊員の皆さん自身が肌身で感じているかもしれません。
そんな隊員の皆さんに。
唐突ですが、現在放映中のNHKの朝ドラ「らんまん」。ご覧になっていますでしょうか?
「高知県出身の植物学者・牧野富太郎さんの人生をモデルとしたオリジナルストーリー。
好きなもののため、夢のため、一途に情熱的に突き進んでいく!
植物学者・槙野万太郎の大冒険・・・!
その喜びと発見に満ちた生命力あふれる人生を、美しい草花の情景とともに描き、日本の朝に癒しと感動をお届けします。」(NHKのHPより抜粋)
と言われても、全く関心の無い皆さんもいるでしょうし、厳しい任務形態や勤務時間などから「見ることはムリムリ」、そんな隊員の方々も多いことと思います。中には、「土曜日に一週間の総集編を楽しみにしている」皆さんもおられるでしょう。
「この朝ドラがどうしたのですか?」「自分と何か関係がありますか?」そんな疑問を抱かれるかもしれません。
そもそも、主人公は植物学者。皆さんは自衛隊員。選んだ道は途方もなく異なり、住む世界が全く違います。時代も異なり、牧野富太郎博士がモデルとはいえ、万太郎はあくまでもテレビの中の話し。自衛隊員たる自分には関係ない。そう断定したくなるかもしれません・・・。
僕も、皆さんと同じ自衛隊員でした。泣いたり笑ったり、悩んだり苦しんだり、逃げてしまいたくなったこともありました。落ち込んで自信を喪失したり、転んだりもしました。もちろん、嬉しかったことや感動したことも数多くあります。
そうしたことの過程で、いつもめぐり会ったり、自分の身近にいたことに気付いたのが、今回の朝ドラの主人公槙野万太郎さんそのもののような、或いは万太郎さん的な、そして万太郎さんと共通する何かを有しているような、そんな隊員の皆さんであり仲間であり関係の皆さん達でした。
〇彼らは、「好きなもののため、夢のため、一途に情熱的に突き進んでいく」誠実でひたむきな、まるで青春真っ只中のままの皆さんでした。
〇彼らは、「喜びと発見に満ちた生命力あふれる人生」を笑顔で、ワクワクしながら、旺盛な好奇心を以て挑戦を続けている皆さんでした。
〇そして彼らは、「美しい草花の情景」にひと時の安らぎを覚え、愛し、癒され、そして再び自らの人生の花を活き活きと咲かせようと一歩を踏み出し、僕の手を引っ張ってくれた皆さんでした。
今、真に大変な時代に、現職隊員の皆さんは、かけがえのない皆さんの人生を国民と共に在る国民の自衛隊員として生きています。
そんな「人間自衛隊員」の皆さんに、僕は「らんまん」由来のエールを、心を込めて送りたいと思います。
〇現在の彼らは、現職隊員である皆さん自身なのです。
〇現在の彼らは、皆さんの身近におられる多くの仲間や隊員の皆さんであり、関係の皆さんなのです。
猛暑が続きます。くれぐれも身体には気を付けてください!
応援しています!
Keep on Smiling!
北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事 |