災害対処の知見を共有
2月14日から16日、陸上自衛隊はホテルグランドヒル市ヶ谷(東京都新宿区)等で、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国および同事務局に対してHA/DR(人道支援・災害救援)分野における能力構築支援を行った。机上訓練や意見交換を通じて、参加者の災害対処能力を向上させ、地域的な課題への自律的かつ主体的な取組の推進に繋げることが目的だ。
参加者はミャンマーを除く9カ国から大佐・中佐級が各2名、事務局から1名が参加、日本からは陸上総隊司令部と隷下部隊の国際活動教育隊から各1名が参加した。HA/DR分野では2016年を皮切りに5回開催しており、今回がこれまでの総括的な意味合いを持つ訓練となった。
舞台はスーパー台風で甚大な被害を受けた東南アジアの島国A国を想定し、被災国であるA国の統合任務部隊(JTF)と、ASEANや域外諸国および国際非政府組織等からなる多国間調整所(MNCC)の運用や管理について議論を深めた。
報道公開された15日は、発災10日目におけるMNCCの役割等について3グループに分かれて討議され、最後にそれぞれ発表の時間が設けられた。
フィリピン国軍司令部のトレヌエヴァ大佐は「このような機会は協力関係の構築や相乗効果をもたらす。今後も経験の共有をしたい」等と述べた。また日本同様に自然災害が多く比較的対処能力を保持している点について「私たちの経験からASEANの中でもリーダー的な役割を果たせるのではないか」とも語った。
2012年から始まった自衛隊独自の事業「能力構築支援」。16か国1機関、約6000名に対して実施されてきた。2月のトルコ・シリア地震では、以前陸自の能力構築支援を受けたフィリピンの隊員が派遣されている。またHA/DRのために提供された機材も現地で使用されているようだ。 |