防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1057号 (2021年8月15日発行)
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自衛隊高級課程合同卒業式
統合運用体制の更なる進化・発展の牽引者に
 7月30日、目黒地区に所在する統合幕僚学校(学校長・田尻祐介陸将)、陸上自衛隊教育訓練研究本部(本部長・田中重伸陸将)、海上自衛隊幹部学校(学校長・真殿知彦海将)、航空自衛隊幹部学校(学校長・柿原国治空将)は、合同による自衛隊高級課程卒業式を行った。式には来賓の松川大臣政務官、山崎統合幕僚長、吉田陸上幕僚長、西海上幕僚副長、阿部航空幕僚副長をはじめ学校職員ら合わせて約60名が参加し、卒業学生の門出を見守った。また海上自衛隊東京音楽隊の演奏が式に華を添えた。
 今期の卒業学生は陸上17名、海上10名、航空12名、タイとパキスタンからの留学生が各1名、合計41名。昨年9月1日から約11カ月にわたって、1佐から2佐の隊員が統合運用に関する知識技能を習得した。
 国内研修では、コロナ感染対策を万全にした上で、南西地域における現地研修を実施し、部隊の現況・安全保障の現状を肌身で感じとった。国外研修は中止となったが、イギリス、インド、ベトナムの在京国防武官を招待して、有意義なパネルディスカッションを実施した。
 卒業証書は、学生長の新原綾一1海佐、タイからの留学生Samosorn Sa-naguandi陸軍大佐およびパキスタンからの留学生Syed Muntazir Abbos Rizvi空軍大佐が代表して受け取った。留学生2名には、本課程への留学生受入れ20年を記念して作成された「統合高級課程留学生記章」が添えられた。なお、留学生受入れの累計は今期で6カ国43名となった。
 田尻統幕学校長は式辞で、「各種事態等への対応にあたっては、強い使命感と執念を持って各部隊等における任務遂行の原動力となるとともに、昨今の急激な情勢の変化に適応するため新領域への対応を含む統合運用体制の更なる進化・発展の牽引者となってもらいたい」と期待を述べた。松川政務官は訓示で、開催中のオリンピックにおける選手の活躍を挙げて「日本人としての誇り、タイ、パキスタンそれぞれの国の誇りを持って、これから諸官がますます発展していくことを祈念いたします」と述べた。山崎統幕長は「強いリーダーシップを発揮し使命を完遂せよ」「多次元統合防衛力の実現に向け果敢に挑戦せよ」の2つを要望。「本課程で身に付けた知識・技能を最大限に発揮し、多次元統合防衛力の実現に向けそれぞれの立場で果敢に取り組んでもらいたい」と訓示した。

雪月花
 賛成と反対。世論を二分したかのように賑やかだった東京五輪論争。開催してみると新聞テレビにクギ付けになってしまった感じの日本。オリンピック始まって以来のゴールドラッシュだからそれも当然だろう。防衛省自衛隊でも組織委員会の要請により約8500人が支援にあたっている。選手としても17人が出場しており早々に柔道女子78kg級で濱田尚里選手が金、フェンシングの山田優選手も団体で金メダルを獲得、ボクシング女子フライ級の並木月海選手が銅メダルを獲得するなど体育学校選手が大活躍である。57年前の東京五輪でも自衛隊の支援業務は未だに伝説のように語り継がれている。開会式の選手入場行進では防大生が制服でプラカードを持って先導したがその洗練された姿勢に国民は感動した。そして東京上空には航空自衛隊によるF-86Fのブルーインパルスが五輪を描き空を見上げる人たちは日本の実力に誇りを持った。国立競技場をはじめ関連施設での実直な警備などでも高く評価された。あの裸足の哲人アベベ・ビキラ選手がローマ大会に続きマラソンで史上初の2連覇を成し遂げたのも64年の大会だった。折返しの調布でアベベ選手ら上位のターンを見た後電車で引き返し、国立競技場入り口で帰ってくる選手を待ち受けた。トップはそのままアベベ選手、2位には自衛隊の円谷幸吉選手、そのあとにイギリスのベイジル・ヒートリー選手が続いていた。このままでゴールするものと思っていたがトラックに入って2位と3位が逆転していた。しかし円谷選手の悲壮とも見える必死のランに感動した国民の歓声は地鳴りのように日本中に響きわたった。円谷選手は自衛隊の誇りであり福島県の誇りから日本のヒーローになった。郷里の須賀川市には円谷幸吉メモリアルホールが建てられ、円谷記念マラソンも開催されている。朝霞の体育学校には円谷選手をはじめ重量挙げの三宅義信・義行兄弟選手のメダルなど五輪関係の記念品がいっぱい並べられている。また今大会でも沢山のメダルが追加されることになりそうだ。(8月4日記)

第6回
ゲッキーの突撃レポート
宇都外務副大臣に聞く

ゲッキー)
今日は、最近自衛隊とも交流の深い、オーストラリアについて聞きたいと思います。副大臣はオーストラリアに行ったことはありますか?

宇都)
コロナ前の2017年8月に、参議院議員として約1週間の期間、オーストラリア政府の主催する「議員交流研修プログラム」に参加しました。とても思い出に残っています。

ゲッキー)
オーストラリアの第一印象は、どんな国でしたか?

宇都)
第一に、オーストラリアは連邦国家であるという点です。連邦国家というのは、歴史的に州の誕生から成り立っていますから、連邦政府よりも州の権限がとても強いのです。日本でも道州制の議論が長らくありますが、「国の権限を地方に移管する」という考え方とは逆で、基本的に地方(州)で物事を決めていく自主性がとても強いのです。ですから国防に関しても(連邦政府の所掌ですが)、基本的に「自らの国は自らで守る」という意識が国民に浸透しているんですね。

ゲッキー)
日本と、国の制度が大きく異なる点は他にありますか?

宇都)
選挙制度がとてもユニークでした。特に国政は完全に「政党政治」で、人を選ぶのではなく党を選ぶというのが徹底しています。実は選挙において「候補者の名前を書く」形式の記名投票をしている国は先進諸国では日本くらいで、多くの国はマークシート等でのレ点記入式投票なんですよ。また、選挙に行かないと処罰される(罰金刑)というのも、民主主義をいかに大切にしているかという点で驚きでした。

ゲッキー)
防衛関係で、参考になる点はありましたか?

宇都)
首都キャンベラにある「オーストラリア戦争記念館(戦没者追悼碑)」はとても参考になりました。国立の軍事博物館なのですが、3つの目的を兼ねて運営されています。(1)戦死者(兵士)への慰霊顕彰、(2)国民に対する国防意識の啓発と歴史的価値のある戦争遺品の保存、(3)国防関連に対する知識の蓄積と研究です。日本にはこのような国が運営し、国防を総合的に啓発・研究する機関や施設がありません。私達が見学している最中にも、子供達が学校の授業の一環で見学に来ていたり、ご遺族が花束を持って、国家に立派に祀られている故人に会いに来ていたりする光景は、国家としてあるべき姿だと思いました。また更に感動したのは、この施設は大統領執務室に向かい合うように建てられていて、戦争遂行の決定権を持つ歴代の大統領は、この戦没者追悼碑を見て判断が間違っていないかを最終確認する意図が込められているのだそうです。

ゲッキー)
とても良い話ですね。自衛官の殉職者も、約2000柱を超えて市ヶ谷の敷地内に顕彰されていますが、一般の国民が普通にお参りできるような施設になればいいと思います。次に、オーストラリア軍について教えてください。

宇都)
オーストラリアは、総人口約2千500万人に対して、約5万8千人の陸海空軍を所有しています。(陸海空軍比=2‥1‥1)これは人口比で言うと、0・23%に当たります。軍の人数自体は自衛隊の約1/4と小規模ですが、米軍が人口比0・47%、自衛隊は0・19%と言うのを考えると、比較的国防に力を入れている国とも捉えることができます。自衛隊とオーストラリア軍との友好的関係は古く、これまでもさまざまな共同訓練等を行ってきましたが、近年は他国も加えた訓練・演習等が盛んに行われ、今年5月には、海上自衛隊により日米豪仏の共同訓練「ARC21」が行われています。日本と同じく太平洋に位置する島国・海洋国家ですから、色々な意味で協力できることが多いんですね。今後益々、連携を深めていきたい戦略的なパートナーです。

 宇都隆史(自由民主党参議院議員、現外務副大臣、元航空自衛官)
 昭和49年生まれ、鹿児島県出身。平成10年に防衛大学校卒業(第42期)、航空自衛隊入隊。平成19年に政治の道を志して退官。平成22年自民党比例区で参議院議員に初当選。


【訂正】
 8月1日発行号5面掲載の「令和2年度ワークライフバランス表彰」の見出しにおいて誤りがありました。正しくは「令和2年度ワークライフバランス職場表彰 陸自施設学校が内閣人事局長表彰を受賞 河野国家公務員制度担当大臣とオンライン懇談会」です。ここにお詫びして訂正させて頂きます。

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