「自分で作る年金iDeCoとは?」(その1)
日本の公的年金制度は、国民年金と厚生(共済)年金の二階建て構造です。そして、三 階部分に相当する制度に退職等年金給付(被用者年金制度の一元化に伴い2015年10月1日 から共済年金の「職域加算」に変わる制度として導入された制度)や「個人型確定拠出年 金」、通称「iDeCo(イデコ)」があります。今回は、個人が自分自身の老後資金を準備す る手段であるiDeCoについて解説します。
1. 日本の年金制度は三階建て
日本の年金制度は、三階建て構造になっています。 すなわち、公務員や会社員などの第2号被保険者は、国民年金、厚生年金の二階建てに
加えて、三階部分に退職等年金給付(会社員には企業年金)があります。 一方、自営業などの第1号被保険者には、基本的に一階部分の国民年金しかありませ ん。ただし、付加保険料を支払い、付加年金を受給する方法や、任意で加入する国民年金
基金を利用することにより、1階部分を補うことができます。 しかしながら、第2号被保険者の被扶養配偶者である第3号被保険者には、二階や三階
部分に代わる制度がありません。
2. 個人型確定拠出年金iDeCoとは?
これらの年金制度に加えて、個人が自分自身の年金を作る手段として導入された制度 が、「個人型確定拠出年金」、通称「iDeCo」です。 iDeCoの特徴は、以下の3点になります。
1 自分で設定した掛け金額を拠出して積み立てます。
2 自分で選んだ運用商品(定期預金、保険商品、投資信託)で掛け金を運用し、老後の
資金を準備します。
3 受取額は、拠出した掛け金の合計額や、運用成績によって、一人ひとり異なります。
また、年金または一時金で受取ることができます。 iDeCoへの加入資格は、基本的に20歳以上60歳未満となっています。 また、掛け金の拠出限度額は、公務員等の場合は、月額12,000円、第3号被保険者は月額 23,000円となっています。
3. iDeCoの利点とは
iDeCoを利用することの利点は、次の三点になります。
1 積立金額すべて「所得控除」の対象で、所得税・住民税が節税できます。
2 運用で得た定期預金の利息や投資信託の運用益が「非課税」になります。
3 受け取るときも「公的年金等控除」又は「退職所得控除」の対象となります。
次回は、iDeCoの利用方法と利用例について解説します。
辻 章嗣
ウィングFP相談室代表 元航空自衛隊パイロット、ファイナンシャル・プランナー、社会保険労務士 |