まさに幼児からシニアまで!
老若男女を問わず爆発的な人気を博している「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」。
テレビニュースでは映画館の入り口に並ぶ皆さんの列を取り上げ、ワイドショーではゲストの皆さんのコメントや大ヒットの背景等を盛んに報じています。
時勢に遅れてはならじとばかりに、僕は、おっとり刃(刀)で早朝の映画館に駆け付けました。この時間にも拘わらず会場はマスク姿で少し密。
そこで初めて出会ったのが、煉獄さんでした。煉獄杏寿郎(れんごく きょうじゅろう)。炎柱。
煉獄さんの「精神の核」が発した熱い言葉と行動。
(以下の引用は、僕の記憶に基づくものであり、映画の中での正確な発言ではありません)
「何でもできるわけではないが、今日の自分より確実に強い自分になれる」
「俺の責任を全うする」
「限界を超えよ。心を燃やせ」
煉獄さんは、かつてお母さんから言われた生き方を立派に全うします。
「杏寿郎、なぜ人より強く生まれたか分かりますか?弱き人を助ける為、力を世の為、人の為に使わなくてはなりません。強く生まれた者の責任です」
再び煉獄さんの言葉。
「いかなる理由があろうとも、俺は鬼にはならない」
「戦い抜いた。守り抜いた」
「自分の心のまま、正しいと思う道を進んでほしい」
「弱くても不甲斐なさがあっても、心を燃やせ、歯を食いしばって前を向け」
「後輩のタテになるのは当然だ。若い芽は摘ませない」
「もっともっと成長せよ。君たちを信じる」
そして煉獄さんみたいにはなれないと嘆く主人公竈門炭治郎(かまど たんじろう)に嘴平伊之助(はしびら いのすけ)が飛ばした檄。
「信じると言われたら、それに応えるだけだ。生きて行かなければならない。苦戦しても」
作者である吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる)さんも、観客の皆さんに語り掛けています。「煉獄さんはつらい時も苦しい時も弱音を吐かず、家族や仲間を大切にする、前向きな人でした。皆さんも家族や、寄り添ってくれる人を、大切にしてくださいね」
劇中の「全集中の呼吸」シーンを思い浮かべながらの帰り道、駅の壁に貼られた自衛官募集のポスター「自衛隊のソレ、できます!」が目に入りました。
「人を助ける仕事?できます! 一生の仲間?できます! 広い世界?見られます!
国際貢献?できます! 自衛官ならできます!」
思わず今会って来たばかりの煉獄さん、そして炭治郎、伊之助たちが、自衛隊の部隊長や上司、先輩、同僚、後輩の皆さんたちに重なって参りました。
そして煉獄さんの「後輩のタテになるのは当然だ。若い芽は摘ませない」との強い思いは、もう一つの最近のニュースに対するタレントの武井 壮さんの考えと通じるものを感じます。武井さんは、東海大学野球部の活動が、一部部員による薬物使用が明らかになったことを理由に無期限停止処分とされたことを取り上げ、ご自身の意見を表明されています。
「まず、私の見解は活動停止に反対です。部員の中にはそんな不法行為とは縁遠くストイックに野球の技と体力を磨き続けている選手がいる。プロ野球の選手が不法行為をしてもチームは活動停止にならないのに、それよりも未熟で社会的影響も小さい、大学野球の学生の間違いで、チーム全員の努力が水泡と化すのには疑問を感じます。私はもし、大学時代に他の部員が不法行為を行って、部活動停止になっていたら今ここにいられた事は無いと断言できます。自分の人生のプランは跡形もなく崩れ、手にするはずだった幸福は零れ落ちていったと思います。そんな悲劇を生まないために安易な連帯責任に反対します」
僕の家の近くには、駒澤大学野球部の合宿所・グランドがあります。沢山の部員の皆さんが、いつも一生懸命練習に励んでいます。
そんな彼らの姿をネット越しに追いながら、若い一人ひとりの芽が安易に摘まれることなく、それぞれ逞しく育っていって欲しい、大切に育てていってほしいと心から祈るばかりです。
北原 巖男(きたはらいわお) 元防衛施設庁長官。元東ティモール大使。現(一社)日本東ティモール協会会長。(公社)隊友会理事 |