防衛ホーム新聞社・自衛隊ニュース
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自衛隊ニュース   1006号 (2019年7月1日発行)
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読史随感
神田淳
<第32回>

日本の国の誇り

 フランスの詩人、劇作家で外交官だったポール・クローデルは、「私がどうしても亡びてほしくない民族がある。それが日本だ。あれほど古くからの歴史があり、そのまま今に伝えている国はない。彼らは貧しい、しかし、高貴である」と言った。ポール・クローデルは、駐日フランス大使として1921〜1927年日本に住んだ。この言葉は、帰国後、第二次世界大戦中の1943年、パリの夜会での彼の発言である。
 私は年とともに、こういった日本評価が正鵠を得ており、我々の先祖、先輩が築きあげてきた日本が立派な国であることがわかるようになった。
 クローデルは「貧しいが高貴である」と言ったが、日本には善悪を美しいか否かで判断する「美の倫理」が存在している。日本には火事場泥棒を最も恥ずべきとする倫理が定着しており、被災地に略奪は起こらない。しかし世界的にはそうでない。戦国時代に来日した宣教師ザビエルは、「日本人は驚くほど名誉心が強く、武士もそうでない人も貧しいことを不名誉だと思っていない」と記している。日本人は正直と誠実を最も好み、術策を嫌い、人を信じようとする。日本の倫理における正直と誠は、神から見て曇りのない清らかな心のあり方といった宗教的な高みに達している。日本が長い歴史の中で培い、クローデルが高貴だと感じた日本の美の倫理は、明治の開国後も存続し、令和となった現在も消えていない。
 1945年、太平洋戦争における敗戦が日本の伝統的倫理に衝撃を与えた。一民族が戦争に敗れて、他民族に支配されると致命的ともいえる大きな影響を受ける。日本人は敗戦後日本という国に、そして伝統的な倫理道徳に自信を失った。GHQは占領政策として「ウォー・ギルト・インフォメーションプログラム」という、日本人に戦争の贖罪意識を植えつける教育プログラムを実施した。修身や歴史の教育が禁止され、日本は侵略戦争した悪い国だという観念を身につけさせた。そして日本の子供は日本の国に対する誇りがもてなくなった。中江藤樹、上杉鷹山、二宮尊徳などの偉人伝も学校教育から消えた。
チャーチルは日本の戦後を見て、日本は敗戦の影響を百年受けるだろうと予言したが、戦後74年経った今なお日本は敗戦の精神的影響を清算できていない。マスメディア、教育界、左翼政党において、戦後を支配した精神的傾向はなお色濃く見られる。「愛国心」、「国家」、「国防」といった言葉に否定的に反応し、国の安全保障に関する議論がまともに行われない。倫理道徳といったことがらに対して、虚無的に反応し、真面目な議論を避ける。戦後の教育空間で、子供は日本をよい国だと思ってはいけないといった考えを身につけて社会人となった。
 歴史家が言うように、国が誇りを失うと亡国の道を歩むだろう。日本が誇るに値する国だと思わないのは、日本を知らないこと、日本の歴史に対する無知からくると私は思う。日本の歴史を素直に知れば、日本が誇るに足る国であることがわかってくる。日本をつくりあげてきた先祖、先輩に感謝の気持ちがわいてくる。我々は国に誇りをもち、日本の伝統と文化を若い人に伝えつつ、自信をもって世界の中で生きていきたい。(令和元年7月1日)

神田 淳(かんだすなお)
 高知工科大学客員教授
著作に『すばらしい昔の日本人』(文芸社)、『持続可能文明の創造』(エネルギーフォーラム社)、『美しい日本の倫理』(https://utsukushii-nihon.themedia.jp/)など。


防衛省・自衛隊 地方協力本部
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マラソン大会でPR
<山形>
 山形地本(本部長・齋藤信明事務官)は、6月2日、「東根さくらんぼマラソン大会」において広報展を実施した。
 本大会は、東根市が主催し、陸上自衛隊神町駐屯地をメイン会場(スタート・ゴール)として開催され、今年で18回目。大会には県内外から約1万2500人がエントリー、赤く色づき始めたさくらんぼの果樹園地帯を駆け抜けるコースに、参加者はさわやかな汗を流しながらレースを楽しんでいた。
 今回の大会には、本部長、副本部長をはじめ山形地本部員もレースに参加。部員の1名は山形地本のキャラクター「花笠音頭之助」に扮し、自衛官募集のたすきをかけ、10kmを見事完走。沿道の応援に応え、手を振りながら、自衛官募集をPRした。
 駐屯地内の会場では、山形地本が自衛隊車両展示ブースの脇に広報ブースを設置。昨年に続き、東根市の公認キャラクター「タント君」と自衛隊がコラボした「令和開催記念さくらんぼマラソン限定オリジナル缶バッチ」を作成。広報ブース内に輪投げ会場を設け、輪投げ大会参加者にオリジナル缶バッチをプレゼント、自衛隊をPRするとともに大会を盛り上げた。広報ブース前には輪投げ大会に参加しようと長蛇の列ができ、大いに賑わった。オリジナル缶バッチを手にした参加者からは、「さくらんぼマラソン大会参加の良い記念になった」「迷彩柄がカッコいい」など喜ぶ声が聞かれた。また、今回はじめて「自衛官なりきりコーナー」を設置、コーナーを訪れた参加者達は、それぞれに陸・海・空の制服や迷彩服を身につけ、タペストリーの前や第20普通科連隊が展示したオートバイに跨り、思い思いのポーズで記念写真を撮っていた。
 山形地本は、「今後も県内で開催される様々なイベントを活用し、自衛隊をPRし自衛隊に対する更なる理解の促進と親近感の醸成を図り、自衛隊志願者の増大を図っていきたい」としている。
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広報官・プレゼン競技会
<熊本>
 熊本地本(本部長・濱田博之1陸佐)は、5月23日に合同庁舎内で、広報官教育としてプレゼン競技会を実施した。競技は学校説明会という設定で各人の持ち時間は15分間で実施した。各事務所等から選ばれた広報官が、その説明要領、物腰態度について、日頃の募集活動で培った技能を相互に競い、競技会は予想以上の盛り上がりを見せた。
 また、審査員は本部長を始め、副本部長、各課・室長及びリクルータとして勤務中の護衛艦あさゆきの山内3海曹及び西方後支隊の藤田陸士長の8名で実施した。特に審査員の中で最も高校生に近いリクルータの2名の隊員は、広報活動のプロである広報官を審査するということで戸惑いを感じつつも、熱心に審査に取り組んでいた。
 各広報官は、制限された時間の中で、パソコンを駆使した説明をする者、自身の体験を踏まえて説明する者、上級部隊が制作したDVDを視聴させる者など様々な手法のプレゼンを行った。広報官が保持している「聴衆の心をひきつける能力の高さ」に審査員始め応援で参加している各広報官も引き込まれるように聞き入っていた。どの広報官も優劣が付け難い競技状況であったが、最初にインパクトある自己紹介で会場の注目を一身に集めた、天草駐在員事務所の森田2陸曹が第1位を獲得した。
 熊本地本は、「今後も多くの学生等に自衛隊の活動や魅力についてPRすべく、広報官の育成にも尽力していく」としている。
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西方音楽隊巡回演奏会in唐津
受付には「唐ワンくん」も
<佐賀>
 佐賀地本(本部長・宮本善弘1陸佐)は、6月8日、唐津市民会館で陸上自衛隊西部方面音楽隊による巡回演奏会を実施した。演奏を楽しみに開場数時間前から訪れる来場者もいて、約1200の客席は多くの観客で埋め尽くされ、盛会裏で終演した。
 会場ロビーでは、自衛官募集や援護関連の広報ブースを設けるとともに、災害派遣活動などのパネルを展示し、積極的に自衛隊のPRを行った。また、受付には唐津城マスコットキャラクター「唐ワンくん」も駆け付け、来場者を歓迎した。
 演奏は本格的なクラシック音楽の第1部と美空ひばりメドレーやライオンキング等、誰もが耳にした事のある曲の第2部で構成され、観客は迫力ある生の演奏に耳を傾けていた。また、美空ひばりメドレーでは武雄地域事務所の広報官である松岡1陸曹が歌声を披露し、一段と盛り上がる演出もあり、演奏を聴き終えた高校生は「演奏する方々の一人ひとりの音と心がひとつになっていてすごくよかったです」と感想を述べ、演奏を行った音楽隊員も「お客様と共に楽しいひと時を過ごすことができた」と語っていた。
 佐賀地本は、「今後も地域における各種イベントを行い、自衛隊の更なる理解と協力を促進していく」としている。

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