【多国間による大規模自然災害の対処能力を向上】
1月29日から31日まで、防衛省及び陸上自衛隊相馬原駐屯地等において、「HA/DRに関する第2回日ASEAN招へいプログラム」が実施された。
日本が提唱する「法の支配」に基づく「自由で開かれたインド太平洋」において、インド太平洋地域の要に位置するのがASEAN諸国。そのASEANに対する日本による防衛協力の指針「ビエンチャン・ビジョン」に基づき、当該地域で近年多発する大規模自然災害に対して、多国間対処能力向上を目的としたのが当プログラムだ。
【日本等が中心に作成した標準手順書に基づく訓練】
今回、ASEANの災害対応に関する標準手順書(SASOP)の中で、日本とラオスが議長国として作成した、「支援国の軍隊が参加する際に適用される第6項付属書となる多国間調整所の標準手順書」に基づいて机上訓練等が実施された。
プログラムには、ASEAN全加盟国及びASEAN事務局の佐官級を招へい。防衛省・自衛隊から統幕・陸幕・陸上総隊・防衛研究所等の担当者が参加した。
30日、防衛研究所で行われた机上訓練は、大型台風によりA国で死者約2000名、負傷者約3万名、行方不明者約4000名の被害が発生したとのシナリオで行われた。参加者は4グループに分れ、それぞれが多国間調整所(MNCC)における「MNCC執行部」「連絡官グループ」「計画グループ」「運営グループ」「活動グループ」等の立場から意見を出して活発な討議が行われた。討議は発災後18時間、1週間、1カ月後の想定で行われ、その都度全体発表を実施した。
【日本とASEAN】
シンガポールのスブラマニャル陸軍中佐は、「多国間協力で各国がどのような意見を持っているのかを学ぶことは大変重要だ」と本プログラムの意義を述べるとともに、「一番大切なのは他国の支援を受け入れる態勢を素早く整え、それをいかに迅速に人命救助へと反映させるかだ」と強調した。また「日本の持つ災害対処における高い知見は、ASEAN諸国の対処能力を高めてくれる」と域外である日本の果たす役割へ期待を寄せた。また訓練中、原田憲治防衛副大臣が視察に訪れ「ASEANと日本の参加者が共に協力している姿は大変頼もしく、本事業の意義を強く感じた」と述べた。 |