盛り上がり砕け散りゆく滝飛沫 折口桂子
水底に影を流して水馬 堀川利枝
風鈴の鳴りて生きゐし朝の風 加川師亨
手花火に集ひし子らのはしやぐ声 村上智樹
流鏑馬の祭場へ行く青田道 牧田桃苑
荒梅雨や不安かき立て救急車 江田雅子
島なれや玉葱吊す駐在所 燒リ智念
蒲の穂の葉を靡かせてより揺るる 畠中草史
一人づつ吊橋渡る登山口 宮本立男
亡夫の靴みがきて仕舞ひ梅雨明けぬ 原つたえ
いつもより早く子の起き夏休 森 佳世
追ふものの永遠にとどかず走馬灯 水島孝雄
梅雨空や鉄塔工事遅々として 岩城節子
孫からのプールの誘ひ受けてをり 関田絹江
選 者 吟
梅雨寒や一灯もなく寺務所守る 成川雅夫
(「栃の芽」誌提供)
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