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自衛隊ニュース   894号 (2014年11月1日発行)
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60周年の節目に航空観閲式
地上部隊 約740人、車両26両、航空機88機参加
 年に一度、自衛隊記念日中央記念行事の一環として、自衛隊の最高指揮官たる内閣総理大臣を観閲官に迎えて実施される中央観閲式。今年は10月26日に航空自衛隊百里基地において、安倍晋三首相を観閲官、江渡聡徳防衛大臣を主催者、齋藤治和航空幕僚長を実施責任者、中島邦祐航空総隊司令官を執行者、平本正法中部航空方面隊司令官を観閲地上部隊指揮官に、地上部隊約740人、車両26両、航空機88機が参加し航空観閲式として行われた。
 F-4が紅白の幔幕に彩られた観閲台の前を地上滑走した瞬間だった。「まだまだファントムも頑張っているんだなあ」。スタンドの見学席から嬉しそうな声が聞こえてきた。F-15、F-2、F-4が次々とスタンド前を通り過ぎていく。空自初就役から40年以上、生産終了から30数年。F-4ファントムのずんぐりとした銀色の胴体は煤けて鈍く光り、「ゴゴ…」という重々しい音が聞こえた。年輪を感じる古武士の如き佇まい。その前を走る、鮮やかな紺碧でコンパクトな機体を塗装したF-2。違いは一目瞭然だ。この日は次期戦闘機として防衛省が取得を決めたF-35の実物大模型も展示されたが、凹凸を無くしステルス性能を高めたF-35はF-2より更に小さく見えた。黒っぽいステルス塗装が異彩を放ち、如何にも近未来の日本を守る最新鋭機という印象を受けた。
 自衛隊の記念行事は過去を振り返り現在を見つめ未来に思いを馳せるためのもの。特に今年は防衛省・自衛隊創設60周年、航空自衛隊創設60周年だけに、例年にも増して歴史の重みや変化を意識しながら式典に登場した歴代の航空装備等を見つめていた。冷戦期にソ連機に対し数限りなくスクランブル発進したF-4。イラクの空を飛んだC-130。式典では、御嶽山の災害派遣でも活躍したRF-4の航空偵察が展示されていたが、過去には国内外問わず、災害派遣で多くの航空機が活躍した。他にも挙げればきりがない。数々のエピソードが走馬灯のように思い浮かぶ。
 現行主力戦闘機F-15による緊急発進、ブルーインパルスによる息もつかせぬ数々の展示飛行等を経て、式典のラストを飾ったのは60周年を記念し17機のT-4で60の数字を描いた編隊飛行。T-4で観閲式を締め括ったところに、日々の練成の蓄積こそ、抑止の一助となる(観閲式はインターネットで世界に配信)ハイレベルな操縦技術を実現し、空自60周年のスローガン「蒼き空を明日へつなぐ」目標を確実なものとしているのだ、という自負が感じられた。
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「世界で平和主義を実践する自衛隊」
安倍晋三首相
「『真に国民の自衛隊』。さらには、『世界で平和主義を実践する自衛隊』。隊員諸君。すべての日本国民が、そして世界が、諸君を信頼し、大いに頼りにしています。その誇りを胸に、次なる60年に向けて、力強い一歩を踏み出してほしいと願います」(安倍晋三首相の訓示より)

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