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自衛隊ニュース   2013年2月15日号
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北朝鮮への対応
中・露を含め国際社会と緊密に協力
日米韓3ヵ国防衛実務者協議で確認
 日米韓防衛実務者協議が1月30、31の両日、防衛省で行われた。西正典防衛政策局長、米国はリパート国防次官補(アジア太平洋安全保障担当)ほか、韓国からはイム国防部国防政策室長ほかが出席。
 協議の中で▼北朝鮮の核兵器および弾道ミサイル計画は国際的な平和と安全に対する脅威であり、朝鮮半島と北東アジア地域の平和と安定を損なうものである▼仮に北朝鮮が核実験を含む更なる挑発行為を行う場合には、北朝鮮は国際社会からの懸念を無視することで、直面する結果に対し責任を負うことになる▼日米韓は北朝鮮の核実験を抑制し、また弾道ミサイルの脅威に対応するために緊密に協力する。このプロセスを通じ、3ヵ国は中・露を含む国際社会と緊密に協力していく—ことを確認した。
 今回の協議では北朝鮮を含む地域情勢のほか、人道支援・災害救援、不拡散など日米韓3ヵ国を取り巻く安全保障に係る諸問題について意見交換を行った。

幅広い防衛協力を推進
小野寺大臣が豪国防大臣と電話会談
 小野寺五典防衛大臣は1月31日、オーストラリアのスミス国防大臣と電話会談を行った。
 小野寺大臣は「安倍新政権は基本的価値と戦略的利益を共有するオーストラリアをパートナーとして重視しており、スミス大臣と共に日豪・日米豪協力を深めていきたい」と伝え、また「2007年3月の日豪首脳会談で発表された安全保障協力に関する共同宣言以降、両国間の防衛協力・交流は着実に進展している」と述べた。これに対し、スミス大臣は「今後とも日豪・日米豪の協力を発展させるため緊密に連携していきたい」と応じた。
 その上で両大臣は、アジア太平洋地域における平和と安定を維持する上で、日豪や日米豪の協力は不可欠であり、PKOなどの国際協力、緊急支援活動、日豪あるいは日米豪の共同訓練、日豪間の装備技術協力といった幅広い防衛協力を進めていくことで一致した。
 冒頭、スミス大臣は小野寺大臣に、防衛大臣就任の祝意を示すとともに「東日本大震災に対してオーストラリアが協力できたことを光栄に思う」と述べ、また最後にアルジェリアのテロ事件での日本人被害者に対する哀悼の意を表明。小野寺大臣は謝意を示した上で「テロには断固とした対応をしていく」ことを表明した。

防衛費11年ぶり増
即応性向上のために

実員は増勢200名超
 防衛省の来年度予算案が1月29日、閣議決定した。南西地域での情報収集・警戒監視や安全確保に万全を期すために計287名(陸自94名、海自96名、空自97名)の自衛官を増勢し、部隊の即応性を向上させる。陸海空3自衛隊計の実員は22万5377名となり、200名を超える増勢は平成5年以来20年ぶり。
 米軍再編関係経費の地元負担軽減分などを除いた防衛関係費は4兆6804億円、対前年度351億円増で11年ぶりに増額となった。
 この増額分は、とくに装備品の即応性向上のために維持修理費、改修費を例年より大きく確保したことと、隊員の即応性向上のための教育訓練の充実による。
 具体的には▼修理費などの確保による護衛艦、哨戒ヘリコプターなどの運用拡大(97億円)▼早期警戒管制機と早期警戒機の運用拡大を支えるための燃料費、修理費、通信維持費などの確保(135億円)などや、また▼島嶼部への迅速な部隊展開と対応能力向上に資する訓練——統合演習(統幕)、方面隊実動演習(陸自)、協同転地演習(陸自)、米国などでの米海兵隊との実動訓練(陸自)における人数等、規模の拡大などによるもの。
 注目の装備品については、「周辺海域の情報収集・警戒監視・安全確保」のために、主なものとして▼新型汎用護衛艦5000トン型の建造(1隻701億円)▼潜水艦「そうりゅう」型9番艦2900トン型の建造(1隻531億円)▼固定翼哨戒機P—1の取得(2機409億円)▼掃海艦690トン型の建造(1隻183億円)▼救難飛行艇US—2の取得(1機123億円)。
 また、防空能力の向上のために次期戦闘機F—35Aの取得(5、6機目となる2機299億円)、領土防衛態勢の充実のために10式戦車の取得(14両139億円)、水陸両用車の参考品購入(4両25億円)など。

防医セミナーで講演の福岡伸一教授
「オタク少年は源流をたどりたくなる」
ロンドンで「息をのむ」発見
 今回の「防衛医学セミナー」で講演を行った福岡伸一教授はハーバード大医学部研究員、京大助教授などを経て現職。ベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』で一躍脚光を浴びた。専門は分子生物学。
 「去年の私と、今日の私とは物質レベルで別人になっている。生物学的には去年の約束を守らなければならない根拠は、どこにもない」などと笑わせながら、生命について分かりやすく話した。
 子供の頃は昆虫オタク。「色鮮やかなカミキリムシを見て『こんな虫が、どうしてこの世界に存在するのかなあ』と思ったことが私の原点」と自己紹介。「オタク少年は源流をたどりたくなる。両親に顕微鏡を買ってもらうと『こんな素晴らしいものを発明したのは、どんな人なのか』調べた」。
 17世紀のオランダで顕微鏡の発明者レーヴェンフックと交友関係にあった、画家フェルメール好きとしても知られる福岡教授。ステージ上の大スクリーンにその作品を映しながら、ロンドンの王立協会が保管しているレーヴェンフックの研究ノートに、フェルメールによると考えられる昆虫などのスケッチを発見した話も披露。「思わず息をのんだ。王立協会は気づいていない。これまでスケッチ、デッサンの類は1枚も残っていないとされてきた。相当な価値があるはず」。フェルメールの絵は現存37枚で1枚100億円以上。ちなみに福岡教授は「宝石のように世界の美術館にちらばっている」作品34枚をすべて観に行ったという(残り3枚は個人蔵、盗難などで不可とのこと)。
 最後に「フェルメールの絵は明確な輪郭線で世界を分けようとしていない。光の小さな粒を繋げることで世界を描こうとしている。我々が、どっぷり浸かっている機械論的生命観より、いかほどかマシな"動的平衡の世界観"をもっていたのではないか、そう思いながら私はフェルメールの絵を楽しんでいる」と話した。

部隊移動を完了 新庁舎落成祝う
潜医隊と横病教育部が田浦へ

 海自潜水医学実験隊(司令・佐藤道哉海将補)と横須賀病院教育部(部長・高橋隆夫2海佐)は横須賀基地整理統合事業に基づく久里浜地区から田浦地区への部隊移転を完了し1月17日、新庁舎落成記念事業を挙行した。
 記念式典には河野克俊海上幕僚長、横須賀市長代理、小泉進次郎衆議院議員ら多数の来賓を迎え、佐藤潜医隊司令は「新しい施設および装置を十二分に活用し、衛生と潜水に関する教育の充実、潜水能力の向上を通じて、海上自衛隊の精強と即応に貢献していかなければならない。先輩方の築いた伝統を継承しつつ、新しい潜水医学実験隊、新しい横須賀病院教育部を一丸となって作っていこう」と述べた。


 第852号紙面3面の「空自の准曹士と相当事務官等約3600名のトップ」は36000名の誤りでした。訂正してお詫び致します。


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