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   2007年11月1日号
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仙台高検検事長が講議
「体験的捜査論」力説
捜査現場35年間を語る
《東北方警》
 東北方面警務隊(隊長・清野純一1佐)は10月2日、仙台駐屯地に仙台高等検察庁検事長・大塚清明氏を講師として招き「体験的捜査論」について講義を受けた。
 大塚検事長は、昭和20年、愛媛県生まれで、東京大学法学部を卒業の後、東京地方検察庁で検察官に任官、その後、函館・京都・宮崎・大阪・広島・名古屋の各地方検察庁、高松高等検察庁及び最高検察庁など、全国八つの高等検察庁管内のすべての検察庁で勤務している。この間、法務総合研究所所長を勤めた1年間を除く35年間、捜査現場を歩き続けている。
 講義を聴講した東北方面隊管内の警務科職種部隊隊員約90名は、大塚検事長の35年という長期にわたる自らの現場捜査と捜査指揮の実体験に裏打ちされた具体性と臨場感溢れる講義に興味深く聞き入り、「体験的捜査論」を脳裏に深く刻み込み、職務遂行への決意を新たにしていた。
 講義は、大塚検事長が自身の経歴をたどりながら、順次その当時の記憶に残る事件捜査上の教訓を話すというものであった。特に、被疑者の供述調書を作成する際の注意事項として、それぞれの調書が短く、一つの事項が何通もの調書に分けて記載されているため心証の取りにくい調書を「ささがきゴボウ調書」と呼称したり、その他にも「輪切り大根調書」、「ハンバーグ調書」のように、講義の随所において、その本質を分かりやすく比喩するなど、講義は聴講者の興味を引き、かつ、脳裏に深く刻み込まれるものであった。また、検事長の豊富な経験を通して培われた捜査の方法論について、後輩の育成のために自ら作成した「捜査の吟味」という数え唄や、いろは47の「捜査いろは唄」を紹介した。
 捜査いろは唄は、幾多の捜査現場に臨んだ者にしか得られない捜査上の教訓を七五調の唄にして説明したもので、どの句も耳に心地よく、かつ、記憶に残りやすく、聴講者は講義終了後も1句1句を至るところで口ずさんでいた。
 さらに、捜査活動の要諦として「三つの吟味」、「調書の三つの押さえ」、「捜査官に必要な三つの習慣」及び「捜索の三つの目的」について、聴講者の記憶に残りやすいように簡明に示した。こうした中で、交通事故の現場写真を拡大鏡で詳細に観察し、小さく写りこんだ傘の存在から事故の真相を明らかにしたという経験を踏まえ、捜査における客観的証拠の吟味の重要性についても説明した。加えて、捜査員の先入観に対する戒めとして「種々の新たな角度からの分析」の重要性についても力説した。
 講義終了後は質疑応答に移り、聴講者からは、経験豊富な検事長から直接講義を受けるという機会を最大限に活用して、今後の捜査実務に役立てようと、活発な質問が出た。大塚検事長はこれらの質問に対して一つ一つ丁寧に具体例を挙げて答えた。
 熱意溢れる講義は、1時間半の予定時間を約20分オーバーし、大盛況のうちに終了した。
 東北方面警務隊は、引き続き、有識者からの意義深い講義を受ける機会を設け、隊員の職務遂行能力の向上を図っていくとしている。
 なお、大塚検事長は講義に先立って東北方面総監部を訪問し、宗像久男東北方面総監らとともに和やかな雰囲気の中で会食した。また、東北方面警務隊の現況について報告を受けるとともに、仙台駐屯地防衛館を訪れ、各種の資料を見学するなど、自衛隊に対する理解を深めた。

「西郷隆盛」を偲ぶ
《12普連=国分》
 第12普通科連隊(連隊長・高橋正州1陸佐)音楽部は9月23日、「西郷隆盛130周年記念祭」の音楽演奏支援をした。
 この支援は、西郷隆盛公没後130年、生誕180年記念の年にあたり、賛同する遺族関係や一般参列者約300人の見守る中、南州墓地で行われた。
 音楽演奏の中では、明治時代鹿児島で政府軍側の薩摩軍音楽隊32名が敵方の大恩「西郷隆盛」と西郷軍に対し、泣きながら吹奏した「惜別の譜」など、西郷隆盛にゆかりのある音楽を演奏し、参列者一同で偉人「西郷隆盛」を偲んだ。
 また西郷隆盛奉賛会理事長であり、子孫にあたる西郷隆文氏も、音楽部の支援に大変感謝し、「西郷隆盛130周年記念祭」の音楽演奏支援を終了した。

イラク派遣を終えて シリーズ
空自第12飛行教育団 整備補給群補給隊
3空尉 塚野将樹
物品の防塵措置に万全期す
 みなさん、こんにちは。この度、本紙に投稿する機会を与えられましたので、本紙ご愛読の方々、ご家族の皆様に、クウェートでの勤務環境及び生活環境について、簡単ながら紹介させて頂きます。
 日本を出発し、約27時間の長旅を終え、12月21日にクウェートに到着した我々11期後段者は、最初の一週間くらいは、時差ボケや暖房設備の少ない環境の中での寒さに悩まされました。今では、現地での生活環境にすっかり溶け込んでおり、気温も日本の初夏を思わせるほどの暑さに達し、日中に浴びる日差しは、肌ばかりだけでなく、目にも作用し、サングラスなしには、屋外作業は困難です。
 食に関しては、イスラムの戒律、慣習を遵守し、豚肉とアルコールは口にすることはできませんが、提供される食事は、給養スタッフの創意工夫により、見事に克服されているため、大変満足しています。また、そのおいしさゆえ、体重の変動には細心の注意を払う必要があります。そのため、勤務する隊員の多くが食事の量を気に留め、課業時間外に時間を見つけては、運動等をして体調管理に努めています。
 さて、業務に関してですが、我々補給小隊の任務は、迷彩服や靴、帽子といった個人装具から、航空機の整備に必要な部品、また生活環境に必要な文房具や備品といった様々な物品を取得・保管し、適時適切に各職場へ提供することにあります。
 地理的特性上、砂塵が大量に倉庫等に進入してくるため、物品の防塵措置には万全を期し、物品棚にオーバーレイをかける等、創意工夫をもって、物品の保管管理には細心の注意を払いながら、勤務に邁進しています。また、航空機に対する給油支援、地上燃料の燃料補給及び現地部隊の在庫になく、緊急で航空機補用部品が必要な場合については、米空軍から支援を受けており、燃料給油に関する給油の依頼や米軍部隊に対する部品の在庫状況の確認等を慣れない英会話を駆使して、調整にあたっています。表現力は、向上したとは言い難いですが、身振り手振りを交え、会話上、重要とされる単語を強調することで、当初抱いていた語学に対する不安感は払拭され、私たちの意図が十分、通じることがわかりました。
 このように、日本とは大きく異なる勤務環境の中で、我々は、それぞれの持ち場で精一杯、がんばっています。ご家族の皆様におきましては、真っ黒に日焼けした我々が無事、日本に帰るのを楽しみに待っていて下さい。
(※派遣期間中の現地で執筆)

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