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   2006年9月1日号
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日米監察業務の強化図る
 8月23日、在日米陸軍の視察のために来日中の米陸軍省監察総監グリーン中将が、陸上幕僚長森勉陸将を表敬訪問した。監察総監は、米陸軍省において陸軍長官直属の幕僚として、米陸軍全般の監察を統括する立場にあり、陸幕訪問は、平成10年以来、今回で2回目。
 グリーン中将は、第31防空旅団長、統合任務部隊(コブラ)司令官、米陸軍防空センター長(兼フォート・ブリス基地司令)などを歴任し、2005年3月から監察総監として勤務している。
 グリーン中将は、森陸幕長と陸上自衛隊による国際貢献活動及び日米パートナーシップの重要性について意見交換を行った。また、今回、陸幕監察官山本洋将補とも懇談を行い、日米の監察業務、監察幕僚の相互の関係強化について意見交換を行った。

《論陣》
北朝鮮の本当の姿はどれか
=軍は強化、民間祝典は中止=
 べつに北朝鮮を“敵”に回すつもりはないが、このところの北朝鮮の動向には理解できないことが多過ぎる。日本海にミサイルを撃ち込んだり、麻薬を持ち込んだり、北朝鮮地下核実験の準備情報には警察や自衛隊が目を光らせてくれているので別にびくびくはしない。しかし、こんどの凍結乾燥機代金を日本からマカオの銀行を経由して支払った不正輸出事件は注目させられた。というのはこの凍結乾燥機は一見すると医療用機器とみられがちだが、実はこの機械は恐ろしい「生物兵器」の製造には無くてはならない機器なのである。これで作った生物兵器を弾道ミサイルの弾頭部に装着して、日本に撃ち込まれたら、わが国への被害は想像するだけでも背筋が凍る思いである。毒ガスとともに細菌兵器を北朝鮮が保有していることは広く知られているが、それを製造するための機器が日本から不正に輸出されていたとは驚きである。
 この機械が不正に輸出されたのを探知したのは山口、島根両県警の合同捜査本部である。同本部はさる8月10日、軍事転用可能な凍結乾燥機を日本政府の許可を得ないまま台湾の商社に購入を偽装させて北朝鮮に密輸入させたとして在日朝鮮人の貿易会社「明昌洋行」の元社長金英根(58)=東京・杉並区方南町=を逮捕した。乾燥機の引き受け窓口は金正日総書記直系の貿易会社「朝鮮綾羅(ルンラ)と関係の深い会社である。
 同本部が凍結乾燥機が「おかしい」と狙ったのは、同機が、固体や液体を真空状態で乾燥凍結させる機械で、インスタントコーヒーやインスタントラーメンの製造には必要不可欠の装置。細菌を生きたままで長期保存でき、量産可能なので生物兵器製造に転用できるとして外国為替法で輸出が制限されている。
 金容疑者は、政府(経済産業省)の許可を得ずに、比較的輸出許可が甘い台湾の商社が発注した形で機械を北朝鮮に持ち込んでいた。代金の支払いも、日本の銀行を使わず、米国が金融制裁をしているマカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア」を通じて日本に送金されていた。この銀行は、北朝鮮が同国内で大量のニセドル紙幣を作り、このドル紙幣をマカオの「バンコ・デルタ・アジア」に持ち込み預金し、本物のドルを引き出したり、外国の金に変える、いわゆるマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した疑いがあるとして米国政府が昨年9月に米金融機関と同銀行の取引きを禁止した問題ある銀行である。機械本体の値段は約50万円。付属品や手数料を含めても約100万円を、なぜ、マカオの銀行経由で支払ったのか、凍結乾燥機を台湾の商社を通して輸入しなければならなかったのかなど「北朝鮮の真の狙い」を合同捜査本部は厳しく調べている。
 北朝鮮は軍事面でも、また新しい動きが出てきている。まず、韓国の有力紙・中央日報が「北朝鮮が7月中旬に、北朝鮮北東部の咸鏡北道花台郡舞水端里のミサイル発射基地の組立工場で保管していた長距離ミサイル「テポドン2号」1基を別の場所に移動させたことが衛星写真の分析から確認された」と報じた。この基地にはテポドン2号2基が配備されていたが、1基はさる7月5日に日本海に向けて発射されたことが判っている。
 また韓国の政府系研究機関・外交安保研究所が「北朝鮮の弾道ミサイルに関する報告書」で「北朝鮮が複数の中・長距離ミサイル地下基地を北朝鮮東部の日本海沿岸地域に建設中である」ことを明らかにしている。
 北朝鮮はノドン・ミサイル約200基、スカッド・ミサイル600基を保有しており、そのすべてが実戦配備されているのが明らかになっている。
 軍事面ではいろいろな動きを見せている北朝鮮だが、内政面では“相当苦しい”ようだ。まず、8月14日から16日まで平壌で開催する予定だった南北共同行事の「民族統一大祝典」が、北朝鮮からの一方的通告で中止された。また、北朝鮮が毎年世界中に大宣伝して実施されている芸術公演「アリラン祭」も、8月から10月までの“収入源”が中止になった。こうした行事の中止の理由は、7月中旬に北朝鮮を襲った大洪水で農場、住居などが大きな被害を受け「行事どころではない」というのが同国政府の方針だという。北朝鮮もたいへんのようだ。しかし、北朝鮮の地下核実験は日本人としては注目していかなくてはなるまい。

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