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   2003年3月15日号
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待ったなしの自然災害に対処
静岡県指揮官会議開く
石川嘉延知事ら県幹部も出席
 静岡県で自然災害が発生した時の対処を話し合う、第1回静岡県指揮官会議が3月5日、空自浜松基地で開かれた。同会議には石川嘉延静岡県知事や、空自航空教育集団司令官の小田邦博空将、陸自富士学校長の田原克芳陸将のほか、県内の各基地・駐屯地の指揮官と、静岡県副知事、総務部長及び防災局長ら18名が出席した。13時から始まった会議は緊張感みなぎる中で予定時間をオーバーする白熱した討議が行われた。特に石川知事は今秋には自衛隊の幹部OBを県庁に防災調整官として配置するとの意向も明らかにした。(所谷尚武)

 この会議は、静岡県と県内に所在する各自衛隊が緊密な連携を行い、東海地震や富士山噴火等の自然災害発生時に、情報の共有化及び連絡調整等、災害対処のあり方を検討することを目的に、昨年11月中旬、陸自富士学校長主催による空自教育集団司令官及び静岡地方連絡部長の三者による予備会議を経て今回の会合となったもので、出席者全員から、このような有意義な会合は最低でも年1回は開催したいとの意見が相次いだ。
 教育集団司令部の会議室での模様は、全国紙やテレビでも伝えられ、待ったなしの自然災害への取り組みが注目されている。特にNHKでは5日の夕方のニュースからテレビ・ラジオで繰り返し放送された。
幹部OBを県庁へ
 会議は小田空将が議長になり、開会にあたり、「今日の会議を契機として実効性のある防災体制を築きあげたい。石川知事の出席に静岡県の熱意を今感じています。主催者として感謝申し上げます」と挨拶を行った。
 続いて挨拶した石川県知事は、「東海地震や富士山噴火等の自然災害発生時には、被箸状況を収拾・伝達することと救援が一番重要だ。これら両機能を兼ね備えているのが自衛隊。その意味でも本日、県と自衛隊の幹部級の指揮官が会合を持ったことは大変な意義がある。今年秋には自衛隊の指揮官経験者を県の防災調整官として迎えることにしており、自衛隊との連携を強めて本番体制を作る」と改めて自衛隊との連携の強化を強調した。
 この後、本格討議に入り空自航空教育集団司令部運用課長(栗林秀人1佐)及び陸自板妻駐屯地司令(田上健吾1佐)が、各自衛隊の東海地震災害派遣の現行計画について概要を説明。その席上、県と自衛隊の活動における相互連携や、自衛隊の統合運用の重要性等について活発な意見が交換された。
出席者の主な発言と感想
石川静岡県知事
「防災システムも旧式となり新しいものへの換装を図っている。また、機能別の訓練をすればするほど、多くの課題があることに気づく」
小田空将
「自然災害は阻止することはできない。災害時に県と自衛隊が共通の認識を持つことが重要だ。今後、地方自治体と自衛隊との密接な連絡体制を築き上げていきたい」
田原陸将
「自分はこれまで、諌早水害・北海道南西沖地震・阪神淡路大震災における災害派遣を経験した。これらの重要な教訓は、自衛隊と地方自治体との連携と、各自衛隊の統合運用である。自衛隊はいかなる場合にも対応できるように訓練されている。平素からこのような会合をしていれば大丈夫である」
中村幹生富士教導団長
「画期的な会合だった。災害現場で名刺を交換するようでは始まらない。このような会を定期的に行いたい」
瀧内健治静岡地連部長
「石川知事の危機管理に対する認識が高いことに感動した。陸・海・空自及び県庁と、バリアのない地連が全力で会議開催の調整の任に当たったがその甲斐があった」
林康彦静岡地連副部長
「最初は自衛隊内だけの横の繋がりでと、動いていた。県庁の参加は二回目からと考えていたが、災害には待ったがないので部長を先頭に第1回会議から県への参加を呼びかけた」

職能補導所で修了式
47期生11名、決意新たに
中央病院
 自衛隊中央病院(自濱龍興院長)の職能補導所(佐藤和夫所長)で3月5日、第47期生の修了式が行われた。
 同所は、自衛官の公務災害による身体障害を克服するリハビリテーション施設で、職能訓練を受け修了した隊員は今期の研修生11名を含め通算681名となった。
 式典では、国歌斉唱、更生指導成果報告が行なわれた後、佐藤所長より研修生一人ひとりに修了証書が手渡された。続いて、白濱院長が式辞に於いて、部隊や関係諸機関への謝意を述べるとともに「これからの将来を積極的に、向上心をもって、さらに活躍することを期待する」と修了生を激励した。また、来賓から祝辞が述べられると、修了生代表が「環境に甘んじる事なく、精神的にも肉体的にも精一杯努力しようと決意を新たにしている」と力強く答辞を述べた。
 また、各教室(パソコン・電子科、建築設計科、レタリング科、一般事務科ワープロ部門、木工科)には研修生による1年間の集大成である作品が展示され来賓、参列者はその技能の高さに感心していた。(塩田愛子)

雪像造りや音楽演奏で協力
 第3地対艦ミサイル連隊(連隊長=山本1佐)は、2月8日、9日の2日間行われた中富良野ウインターフェスティバル2003に協力しメインステージと滑り台の2基を制作して町民に贈った。
 今年のテーマは「冬と遊ぼう」で、高さ約6メートル、幅約14メートルのメインステージに高さ約3メートルの可愛いアザラシのタマちゃんの大雪像を制作。ステージ横の左には2レーンの子供用滑り台(長さ約14メートル)を作成し、終日子供達の歓声がさかんに飛び交い人気を集めた。
 また、上富良野駐屯地音楽隊は両日にわたり演奏協力を行い、前夜祭のオープニングセレモニーを盛り上げ、フェスティバルに華を添えた。演奏がはじまると手拍子や踊りだす子供達もいたり、会場には子供達の元気な歓声が上がっていた。

<論陣>
北朝鮮の軍事行動は何のため?
まず、経済・食糧援助の獲得
 日本から遠い国イラク。近い国北朝鮮。ふたつの国は一体、なにを考えているのだろう。サダム・フセイン大統領、金正日主席(軍事委員長)。ともに"独裁者"のレッテルをはられている。次々にカードを切り出して世界の注目を集めている。平和に向かおうとしているのか、戦争への道を進もうとしているのか。特にわが国に最も近い国北朝鮮の動きに視線を合わせて、その目的とするものを分析してみよう。
 先月、北朝鮮は危険な賭けとも思われることをやってのけた。まず、領空侵犯である。月末、北朝鮮空軍のミグ19戦闘機2機が、韓国との軍事境界線(海上上空)を領空侵犯した。2分後、スクランブル(迎撃)に飛びたった韓国空軍の戦闘機を発見、自国の基地にもどった。
 次に越境間題である。南北軍事境界(38度線)で相対じしている板門店で、北朝鮮軍の警備兵が、あえて20センチ、38度線を越えた。韓国の抗議で、北朝鮮の兵士は、すぐに北側に移動した。
 そして、最近の大きな出来事は北朝鮮が米朝両政府間で取り決められている"原子炉運転停止"の合意を破ってピョンヤン(首都)の北方にある寧辺の黒鉛原子炉を再稼動させはじめたことである。運転停止は、さる1994年に米国と北朝鮮との間で「こんご絶対に再稼動しない」ことを固く約束したものである。言葉どおり原子炉は国際原子力機関(IAEA)の手で封印されていた。
 ところが昨年10月に米政府筋が「北朝鮮は濃縮ウランによる核開発計画をもっている。封印は口だけだ」と北朝鮮を鋭く批判。これに怒った北朝鮮は12月、原子炉の封印を勝手に解除し、IAEAの査察官を国外に追放した。
 米国をはじめ世界各国が注目している黒鉛原子炉とはどんな施設なのであろうか。減速材に黒鉛を使う旧型の原子炉である。「そんなに古い形式のものなら、そう心配する必要はないではないか」と考えがちだが、ことはそんなに簡単なことではない。黒鉛式原子炉は天然ウラニウムを濃縮する必要がなく、ただ燃料棒に加工すれば使うことができるし、なんといっても稼動することで、プルトニウムが炉内ででき、この燃料棒を処理すれば"核兵器"の材料となるプルトニウム(兵器用)を抽出することができるのである。
 すでに、北朝鮮が2個の核爆弾を「保有している」と米国は分析している。いま、北朝鮮が保管している約8千本の核燃料棒を再処理すれば、ここ2、3年で、さらに6個から8個の核爆弾を保有できるというのだから「無視できない状況」なのである。北朝鮮が保有している核爆弾は比較的大型のもので、軍に配備されているノドンやテポドンUなどのミサイルには搭載できない。これが、いつ軽量小型の爆弾に改造されるかをしっかり見詰めておかなければならない。
 北朝鮮は、そのほか地対艦ミサイルの発射実験を行ったが、これは射程が短く、その存在は以前から分かっていた。
 領空侵犯、地上侵犯、原子炉の再稼動。北朝鮮はなぜ、いま、こんな危険な賭けともいえる行動にでてきているのか。ひとつは金大中氏にかわって、こんど新しい韓国の大統領になった盧武鉉氏ら新政権に対する"脅し攻勢"の一環だとの見方。さらに拉致事件解決で行き詰まっている日本に対するけん勢など、いろいろな見方がなされているが、北朝鮮の狙いは、中断している米朝間交渉を再開させるため「なにがなんでも米国を交渉のテーブルに引き出す」ことを実現させたいのであろう。
 米朝交渉は、"核問題"をめぐって完全に中断している。国内経済がひん死寸前にあり、人民が飢え切っている北朝鮮にすれば、米日韓、とりわけ"米国"からの援助を再開してもらいたい――が本音である。しかし、北朝鮮がこれらの国ぐにに「どうか援助をください」と頭を下げるわけにはいかない。もし全面降伏の形になると「独裁王国」はみるみる崩壊してしまうからである。そこで北朝鮮は、つぎつぎにカードを切り出して「米国引き出し」をしようとしている。米国も最近「食糧10万トンを援助してもいい」といい出している。どちらのカードが勝つか。よく見ておく必要がある。

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