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   2003年3月15日号
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『もっとすばらしい国にしよう』の歌声響く
派遣隊員が国づくりを支援
過酷な環境下、WACも一丸となって任務完遂
(1面からつづき)
姿が解るとか話しているが記者は悪路で車は右に傾いたり左に傾いたりでノド元までつきあげてくるものを我慢するのに精いっぱいだった。
 スアイに駐留する2中隊(中隊長・藤井達也1尉)は4カ所の作業現場まで、宿営地から車両で1時間半から2時間かけて移動しなければならない。これまでに汚水処理場、道路補修等を行ってきた。また、スアイとマリアナでは飲酒が一切禁止されているため課業後、隊員の疲れた心と体を癒すのはきまって宿営地周辺に集まってくる子供達の明るい笑顔。さらに美しい夕やけと海を眺めながらランニングをして健全なストレス解消に励んでいた。
 2次隊最後の大仕事となるのは3中隊(中隊長・渡邊雅仁1尉)が実施するマリアナスタジアムの復旧工事だ。荒廃したスタジアムの外柵、観覧席、トラック改良、排水設備等の再構築は大がかりな上、マリアナ地区特有のスコールが作業の予定を狂わせる。それでも隊員たちは弱音を一切吐かず、最大52名の原地役務と力を合わせて急ピッチで作業に取り組んでいた。
 また、日本の貢献策として、地元新聞等の報道で大きな注目を集めていたのが、施設機材の操作教育だ。西チモールに点在するオクシ(4中隊(中隊長・西谷修一3佐))も含めて日本隊が展開するすべての地域で実施され計51名を養成。今後の国の発展の上でも重要な人材育成の一端を担った。スアイで教育終了の認定書を手にしたアンジェリーノさん(20)は「運転経験はあっても、メンテナンスの知識は全くなかった。自衛隊と接しながら高度な技術をマスターできて心から感謝している。次の仕事にも役立てたい」と抱負を聞かせてくれ、マリアナではジュルースさん(26)が「ここで得た技術を今度は自分が役務の人に教えたい。この国で働き、この国を平和な国にしたい」と意気込みも強く、将来の夢を語っていた。
受講者は、教官の動作を一つも見逃がすまいと必死だった
 大坪群長はこのPKO活動の中で"働く2次隊"をキャッチフレーズに日本の貢献を国連にアピールしてきたと半年間を振り返る。主要幹線道路、給水所の運営等はもちろん、オエババ村の灌漑水路など時に東チモール政府をもまき込んで地元住民との交流を深いものにしていった。
 3月16日には2次隊はすべての任務を完了させ帰国するが、派遣中、市民との交流の中で発掘、佐々木3曹(音楽科)が譜面化した「東チモールの国」という曲がある。"もっとすばらしい国にしょう"と歌われるこの歌は、3次隊にも引き継がれ、すでに国連職員にも浸透、地元住民の愛唱歌として今は広がっている。
晴れて修了証書を手にした受講者から大坪群長らに感謝を表すタイスが贈られた(スアイで)
マラリア大流行!!
 東チモールでは、この時期マラリアが大流行している。スアイの医務室にも地元の患者が多数駆け込んだり、ディリでも症状に苦しむ子供の姿を目のあたりにした。
 WACが課外のランニング中に知り合いになった宿営地裏の民家を記者が村上弘子2尉と一緒に訪ねた時、村上2尉の顔を見たとたん「ヒロコ、ヒロコ」とはしゃぎ回る長女のアリーナちゃんの元気な顔。しかし家の中では妹達がマラリアにかかったとのことで町医者が2人を診察中だった。驚くべき事に注射器はお湯ですすぐだけの使い回し。末娘は目がただれ、村上2尉も心配そうに見守っていた。家族は夫婦と1男4女の7人家族。一家は突然の訪問にも笑顔で歓迎してくれ、コーヒーでのあたたかいもてなしを受けた。
マラリアに感染しても仲良しに変わりない
3次隊引き継ぎ作業も大詰め
 3次隊の到着に備えて、隊員達はテント張りや、物資の仕分け作業に汗を流し、群本部でもこの入れ替え時期には夜中まで作業に追われていた。郵送課に勤務する大崎香織2尉は、貨物の輸送、人の移動の手続きの書類作成、PKF司令部との調整に追われる毎日。しかし、「忙しくても仕事は楽しい。やらなきゃいけない自覚をもってやれている」と実に精力的だ。また、幹部として各国の軍隊との交流を持つ機会が多く、友人も多く出来たという大崎2尉だが、「海外ではあたり前のように女性が司令部要員などで多数派遣されている。日本としても機会があればどんどん女性隊員を海外派遣してもいいと思う」と話していた。
やさしい医官と充実の設備で病気になっても安心
隊員の感想
荒木聖史3佐(第4科長)
 
道路や橋はいずれ朽ちても、我々が頑張っている姿が子供たちの心の中に生き続けてくれて、この国の将来のためになる事だけを願っている。また、部下である大崎香織2尉については、頭がきれて、たくましく、将来楽しみな人材と高く評価している。
富田正二2曹(2中隊機材小隊)
 
教育を通じて、その国の人の日常的な面が見え、感謝をされている事を身をもって感じた。覚えた現地語はあいさつと「ディアク(いいぞいいぞ)」。初めはどうなることかと心配したが技術もほぼ身についてチモールもいい道路ができるのではないか。
吹越茂3尉(2中隊1小隊長)
 
苦労した点は言葉だが、派遣されて約3カ月で、現地語を日常会話までマスターした。操作教育の原地役務の受付窓口として語学力を生かす中で、彼らは本当に楽しい人たちばかりだった。できることなら5年後、10年後マリナをもう一度見てみたい。
高橋亮3曹(1中隊2小隊)
 
世界の人のために役に立ちたいと思いPKO参加を希望した。自分なりに納得できた。
小川友紀雄3曹(1中隊2小隊)
 
女性隊員は任務の上では特に意識しないが、医官がWACなのは、小学校の保健室のようで安心でき、病気になった時のよりどころになった。また、今までは他国の軍人といえば米軍しか知らなかったが、国連の多くの軍人と交流できたことが一番よかった。
女性隊員コメント
島崎加恵3佐 本管中隊衛生班・医官
「今回の派遺は薬は豊富で衛生面も万全で環境は良好。週に3回の国連各国とのメディカルミーティングは大いに参考になった。少しぐらいの不自由があっても一度はPKOに参加してみては!!」
村上弘子2尉 本管中隊・臨床検査幹部
「医務室勤務ということもあり、女性がいると患者が来やすい、看護の面でもゆき届くというプラス面はあると思う。逆に暴動事件の時には任務上での外出の制約も厳しく、単独行動は禁止され、女というもどかしさを痛感した」
大崎香織2尉 群本部・輸送調整幹部
「女性だからといって肩ひじ張って無理矢理に頑張るのではなく、与えられた仕事をきっちりこなす。それだけで充分だと思う。施設群は様々な職種の集まりでそれぞれ能力、考え方、仕事のやり方が違う。それらを若干、見取り図にして感じて見る事ができ、非常に勉強になった」
小滝奈穂2曹 本管中隊・受入後送
「(医務室での)歯科助手をしていたが、親知らずがうずくなど、患者の中にはここに来てのストレスによる歯痛が少なくなかった。勤務中は、疲れた時に来たくなるようなほっとできる心のオアシスとなる医務室を心掛けた」
佐藤亜希子士長 本管中隊・無線通信
「原隊では施設課で通信をやっていたが、今回初めて通信課の人たちと任務を共にできて非常に勉強になった。マリアナで電波調整をしていた時、地元の子供達がたくさん集まってきた事が印象的だった」
佐藤真紀3曹 本管中隊・装輪操縦
「他国の軍人との交流はもちろん、同じ自衛官同士でも異なる任務、部隊の人の話を聞いて、共に生活して貴重な体験が出来た。個人的にはWACにもどんどんPKOに参加してほしい」
厚海真理士長 本管中隊・装輪操縦
「何もかもが初めての経験で今までにない内容の濃い6カ月間だった。他部隊から集まったWAC達と一緒にPKO活動に携われた事が一番よかった」

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