防衛大学校防衛学教育学群の浦口薫准教授が、日本防衛学会・猪木正道賞奨励賞を受賞し、10月22日に実施された第6回猪木正道記念・安全保障研究会の中で受賞式が行われた。
日本防衛学会・猪木正道賞は、わが国の防衛と安全保障並びに国際平和に関する分野における学術研究の振興並びに広く研究者の育成に寄与することを目的として、優れた業績を上げた個人またはグループに対し授与されるもの。
海上封鎖の統一的な評価基準を提示
今回の浦口准教授の受賞は、本年3月に出版した単著『封鎖法の現代的意義 -長距離封鎖の再評価と地理的限定-』(大阪大学出版会)が評価されたことによるものである。同書は、2度の世界大戦で英国が実施した長距離封鎖の合法性と海上封鎖の現代的意義をめぐる論争に一石を投じ、海上封鎖の統一的な評価基準の提示を試みたものだ。特に、17世紀以降今日に至る海上封鎖の国家実行、判例及び学説を網羅的に分析し、これを軍事科学技術の発展と有機的にリンクさせることで、長距離封鎖が合法であることを明らかにしたことや、海戦・海運環境の変化や戦争違法化等の20世紀以降に生起した状況が及ぼした影響の観点から封鎖法を捉え直して法的性質を明らかにし、海上封鎖が現代でも有効な海戦の方法であることを示したことが評価され、今回の受賞となった。
後輩たちの励みに
浦口准教授は、現在も防衛学教育学群で教育と研究に精力的に取り組んでおり、今後、益々の活躍が期待される。今回の受賞に際して、本人からのコメントは以下のとおり。
執筆に際しては、私自身の海上勤務で得た知見をふんだんに盛り込むとともに、通説に果敢に挑んで新しい理論を提示する等、実務的にも学問的にも十分な議論に耐えうるものを目指しました。この努力が受賞という形で評価されたことを大変嬉しく思っております。指導・助言をして下さった皆さまや長期にわたり応援して下さった皆さまに、この場を借りてお礼を申し上げます。今回の受賞を励みに今後もより一層真摯に教育と研究に精進していきます。今回の受賞が後輩達の励みになり、私のチャレンジ精神を受け継いでくれれば、これほど嬉しいことはありません。 |